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4/21/2012

心霊現象の科学をめぐってーその16 Nandor Fodor

心霊現象の科学をめぐってーその16 Nandor Fodor その1ユング

 今回はハンガリー人のNandor Fodor というひとの本について。「Between Two Worlds」。

 わたしがParapsychologyに関心を持ったきっかけについては、拙著の中の”心霊現象の科学への私の歩み”という文章で展開しました。1975年のことです。それからの数年間はこの領域の本を買い集め、読みふけるということで過ごしたように思います。この種の本のカートン・ボックスが15箱ほどあって、その中から、今探している様々な本を見つけ出すのは力と時間の要る大変な作業です。

 D. Scott Rogo の The Haunted Universe にも引用のあった、Nandor Fodor の「Between Two Worlds」 という本がみつかりました。

 この中に、”The Incredible Psychic Life of Dr. Carl G. Jung” という項目があります。これを読んで、わたしが知らないでいた事実をみつけ、D. Scott Rogo の影響もあって、なぞが一つ解けたような気分になりました。

 私は拙著のなかの”ユングの自伝”に関する文章で、ユングの魅力を紹介したつもりです。そして、ストーというBritishの学者がユング再評価をしながら、肝心のサイキックの面をNegativeに見ている事に対して、わたしは否定的な評価を与え、わたしならユングの活動の70%がこのサイキックに関連しているというようなことをつけくわえておきました。さらに、最近、亡くなった吉本隆明が「書物の解体学」という本のなかで、ユングをとりあげ批判している、その批判の仕方があたっていないということについても触れておきました。

 今、このNandor Fodor という人の1964年に出版されたこの本を読んで、わたしの感想は正しかったとわかりました。このハンガリー人はPoltergeistに関する本を書いたので、フロイトとも直接あってはなしたようです。

 吉本隆明の場合もストーと同様、ユングのサイキックの面を否定することで批判したつもりになっています。丁度、この”心霊現象の科学をめぐって”の第一回目でベルグソンや小林秀雄をとりあげて、”世の中に起きる不思議”にどう対応するかという話を展開しましたが、吉本もいわゆる科学万能主義にちかく、サイキックなどインチキ、ペテンという考え、態度であることは彼の文章の展開を見ればあきらかです。従って、まさにベルグソンのなかにでてきた夢で精神感応を体験した女性に対して、有名なドクターがそれは”偶然の一致”ということで片付けてしまい、自分でそういう不思議なことが起きるという可能性に疑問を持ち、解決しようという方向に進まなかったケースと同じなわけです。従って、サイキックな現象を信じるユングそのものの展開に彼は疑問を持つわけです。

 しかし、ユングはサイキックな現象が起きるということを信じる以前に、自分がサイキックであったわけです。科学的証明以前にサイキックはOut-of-body-Experienceが可能だとか、Ghost体験だとか、Psychokinesisとか、Telepathyとかが本当に起きることはわかっているわけです。他の人に信用してもらおうと思うと、実験のできない現象では苦労するわけですが、ほかのひとがどう思おうと、サイキックは自分の正しさはわかっているはずです。

 このNandor Fodor を読んで、わたしが今、知ったこと、それはユングの家系はみなサイキックであったということ、お母さんもそうであったし、祖父母はGhost Seer として有名だったといいます。そして、ユングのドクター論文はMediumに関する研究であったということは、わかっていましたが、なんとそのMediumはユングのイトコである16歳の女性、そのMediumにControlとしてあの世からのメッセージを伝播したひとが、ユングの祖父であったということがわかりました。しかも、ユングはその16歳のイトコに恋心を抱いていたとか。そして、このイトコは26歳で無くなり、ユングにとって、生涯に及ぶ影響を与えたとFodorはいいます。

 ユングとフロイトの関係はふたりの偉大な心理学者の決裂にいたりますが、その過程で重要な事件がおきます。吉本も”解体学”で例示しているところですが、Rogo風に説明すれば、サイキックであったユングが緊張したフロイトとの対立の中で、サイキック現象が本当に起ることをみせようとして、会話の途中で爆発音がしたそのあと、ユングがさらに確信をもってもう一度爆発音がするでしょうといい、そして実際、おきるわけです。吉本はここをフロイトがユングの熱狂に巻き込まれた幻聴と解釈していますが、Parapsychologyをまともに勉強した人は、これがいわゆるPoltergeist現象だとすぐにわかります。サイキック現象を否定する吉本ははじめから、まちがった論拠によっているわけです。

 ユングが若い頃にBread Knife が音をあげて4つに割れた、そのナイフを生涯机の引き出しにいれていたとう話は有名です。写真を撮って、Parapsychologistの有名なJ.B.Rhineに送って分析してもらったことも知られています。今、わたしはこのFodorを読んで、なんだ、とわかりました。サイキック カール・ユングはTelekinesisi Poltergeist現象を起こせる人だったので、自覚しないで、ユングの対フロイトとの緊張の中で、サイキック・エネルギーがKnifeの破裂を生み、フロイトとの対談中に爆発音を生んだのです。


 Nandor Fodor 1895-1964
面白い事に、Fodorがサイキック現象に興味を抱いたのは、わたしが既に紹介してきたHereward Carringtonのサイキックに関する本に接してだったといいます。そして、Arthur Conan Doyle にも直接あって話をし、本格的なParapsychologistの道を歩みながら、同時に精神分析のほうもマスターし、ジャーナリストとしても活躍したという三足のわらじを履いた人だったようです。

 次回、Nandor Fodor その2 で コナン・ドイルとFairiesについて、Fodorの解釈を入れながら展開します。

村田茂太郎 2012年4月21日

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