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2/23/2012

Zane Grey のWesternとアメリカ南西部の自然


Zane Grey のWesternとアメリカ南西部の自然

最近、わたしはZane Grey のWesternを数冊読む機会がありました。まずはじめに読んだのが、Man of the Forest という本で、題に惹かれて読み始め、すぐにその魅力にとりつかれました。この本は1920年に出版されて、アメリカのベスト・セラーNo.1になったといわれています。(この種の資料はFrank Gruberの”Zane Grey"という伝記から採用。)読んでいて、なんとなくその理由がわかるような気がしました。第一次大戦が終わり、世の中はすさんだムードがただよっていました。一方では軽薄な(?)ダンスや音楽がはやり、他方では戦争に参加して傷ついた兵士たちがたくさん苦労に耐えねばならないような有様だったのです。この本はそういうときに、別世界ともいえるアリゾナのWhite Mountains周辺を舞台としたPrimitiveな自然を生きる男を主題にして、都会からやってきた二人の女性がWildな自然の中で生きる魅力を見つけるという単純なテーマで、しかし、Wildな自然の魅力を逞しく描いて、西部劇らしくない西部劇をうみだしていました。小説の半分ほどはまさにWildな自然の中での生活の困難さと魅力を描き、わたしにはその魅力がよく理解できました。White Mountains 周辺は実は私がアリゾナでも大好きな地域であったのです。何度も訪れたBig Lakeの背後にそびえる山並みがWhite Mountainsなのです。小説は1920年に出版され、ストーリーは1880年ごろを扱っていたはずで、今から100年以上前のはなしになり、当時、1880年代にはまだアリゾナにGrizzly Bear がいました。(アリゾナ最後のGrizzly Bearが如何に殺されたかは有名なAldo Leopoldの”Sand County Almanac"のなかの”Arizona and New Mexico"というところ、そのなかのEscudillaという箇所でふれられています。)したがって、この話の中にもGrizzly Bearが登場し、しかも主人公Man of the Forestは探し出して見つけても撃ち殺さず、熊は家畜を1,2頭殺すだけで、自然淘汰に役立っているからと都会から来た女性に説明します。これは、Aldo Leopoldが死んでから出版された(1949年)上記Alamanacで見事に描き出されていることですが、1920年にZane Greyがすでに同じ結論に達していたのを知ることは喜ばしいことです。ともかく、このMan of the Forest は自然の中で生きる魅力を見事に描きだし、わたしはすばらしいという印象をもち、Zane Grey の Westernというものの魅力を見直すことになりました。


続いて、Call of the Canyon を読みました。1924年出版で、舞台はアリゾナのSedonaとNew York。なんとこの本は西部劇というよりは当時の現代劇で、第一大戦で傷ついた男がアリゾナSedonaのWildな自然の中でいきかえったようになり、それに対して、婚約者であった金持ちの女性がニューヨークから男を連れ戻しにSedonaを訪問するというこれも単純な話で、SedonaでWildな生活ぶりを目撃し、体験し、しかし、やはり男をつれもどそうとして拒否され、ひとりむなしく引き上げる。しかし、いったん、味わったWildな生き方が忘れられず、都会のほかの男たちの求婚もことわり、他の女たちとの生活にもあきたらず、自分のもとめるものは、Sedonaにいる男との生活だと悟ってSedonaにかえってゆくという話で、自然対都会という単純な設定といえますが、ここでもアリゾナのWildな自然の中での生活の魅力を上手に描いています。この小説は書かれている途中からサイレントの映画化がSedonaではじまり、今では1920年代のSedonaを捉えた映画として貴重な存在となっていますが、Filmは失われ、最近、2010年頃ロシアで発見されたと私の友人が知らせてくれました。彼女はSedonaが今ほど有名になる以前、1950年代に子供の頃をおくったといいますから、それより30年も前の記録となると、興味が湧くのも当然です。今もSedonaの自然はきれいですが、SeasonにはクルマのRushで渋滞が日本と同じ何マイルと続く有様で、わたしは訪問客のためにすばらしい自然環境を破壊されている住民たちを気の毒に思ったほどです。



今日はこの辺で終わります。次回はZane Greyの最も重要な作品、Riders of the purple sage とThe rainbow trail について。最後に、またアリゾナの写真を添付しておきます。
最初の写真はMogollon Rim (マギヨン・リムと発音)といわれる見事な森林。アリゾナを砂漠と思っている人には信じられないような美しい原生林地帯。残りはWhite Mountains を背景とした周辺。今でも、この周縁にはElk(角の生えた大鹿)がたくさん居て、わたしがWinnでテント・キャンプしたとき、森林の向こうの縁にたくさんいるなと思ってみていたら、なんと夜中、テントのすぐそばまでElkが何頭もやってきたのにはビックリ。20世紀の終わり頃でこの調子というか、まだWildが残っているのだから、1920年以前となると確かにGrizzly BearもほかのWild Life (Wolfなど)も居たのは間違いないことだと思いました。


村田茂太郎
2012年2月23日

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