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1/18/2013

「心霊現象の科学」をめぐって-その53  S. Ralph Harlow 「A Life after Death」(1961年)を読む その1 この本について 再読して 総論


「心霊現象の科学」をめぐって-その53  S. Ralph Harlow 「A Life after Death」(1961年)を読む その1 この本について 再読して 総論 

 この本の書評をアマゾンで調べて見てみたら、だれも書いていない。どうしたことか。これは名著である。私はShigeの名前で、あとで感想を書き込もうと思っている。ともかく、ものすごく面白い。

 私がはじめてこの本をUsed Bookで買って読んだのは1976年、今から36年以上前のことである。一日で264ページの本を読み終わっているから、まあ、面白かったに違いないが、私の記憶には残っていなかった。当時は、Life after Death 関係の本がいっぱいでまわり、それは主に Near Death Experiences 臨死体験とReincarnation 転生 であったため、特に目立った印象を残さなかったのであろう。

 私が今回この本を楽しめたのは、今は私も年をとり、友人・知人・近親者で亡くなった人も多くなって、明日を知らぬ命、“死”は他人事でないと思い始めたからであろう。そして、最近のわたしの読書内容から、すべてが、より深く理解できるようになり、何度も紹介したMaurice Barbanellの“This is Spiritualism”を読んだおかげで、SpiritualismMediumがよくわかるようになり、アメリカの友人のおかげで、私自身、ひとりのMediumと電話で会話をもてたこともあって、この古い本を非常に興味深く読むことができたということであると思う。素晴らしい本であった。

 Dr. Harlow18851972)はHarvard Universityなどの出身で、哲学と宗教学でPh.D.をとり、主に Smith Collegeで哲学と宗教学を講じながら、外国(Turkey, Greece など)でも客員教授をつとめて外国滞在も長かった。キリスト教の専門で、CongregationMinisterでもあった。自分の妹がPsychicの能力を発揮しはじめ、友人知人にParapsychologyの有名な研究家をたくさん持っていて、自分もこの心霊現象の科学の領域の熱心な探求者となった。Parapsychology 研究で有名なDuke UniversityDr. J. B. Rhineにこの本は献呈されている。

 この本を読みながら、おどろいた、あるいは感心したのは、Dr. Harlowが世界的に有名で代表的なMediumあるいはPsychicの演出する現場に何度もEye Witness として参加していることで、自分自身のサイキックな体験(サイキックであった妹が死後に示した)と、こうした世界的に有名なMediumParapsychologistとの交流の現場が紹介されているわけで、すでに充分な理解力に達したわたしには本当に素晴らしい本であった。内容が豊富で、さまざまなサイキック現象に関する内容が紹介されている。ほとんどどれもこのドクター夫妻が直接体験しているのだから、今の私から見れば本当にうらやましい限りである。

 Maurice Barbanellの「This is Spiritualism」という本も面白かったので、何度かに分けて紹介したが、この本も一回ですませるにはもったいない内容をもっているので、何度かにわけて紹介したいと思う。

 Dr. HarlowはまだHarvardの学生であったときに、アメリカを代表する世界的な哲学者・心理学者であったWilliam James教授と何度も会話をもつことができたらしい。

 Jamesは心霊現象の科学に対して、まじめに関心を持ち、有名な、Medium Mrs. PiperSéanceに積極的に参加したりして、インチキが多いからといって無視するのではなく、ひとりでも本物のサイキックがいたら、科学者は誠実に探求しなければならないと言って、自分がその道をたどったわけであった。

この本によると、Jamesは本物のサイキックMediumが時にインチキTrickをすることもよく知っていて、それは彼らが期待している参加者を悲観させないためにやることであって、インチキをしたからと言って、すべてがインチキということではない、このサイキックの現象は、予定通りにすすまないことがあるわけだから、そのことをよく知っておいたほうがよいといったことをJames自身の例をあげてHarlowを含む学生たちに教壇で説明したことがあるらしい。

Dr. William JamesがまだHarvardの研究生であったころ、有名なAnatomyのInstructorの助手として、あるカエルの心臓の電気反応の実験をエライ外科医や医者たちがあつまった会堂でみせることを頼まれ、いつもはうまくいったのに、この時に限って、カエルの細胞が全然反応を示さない、そこで、Jamesは電気反応を起こさせるTrickをつかって、一応、外から見ると期待される反応を示すことに成功した。しかし、James自身がインチキをしたのは確かであり、それも、Demonstrationにあつまった専門家たちを、そしてInstructorを失望させないためにやったということであった。

 この本には、Mediumshipに関する、すばらしい例証がたくさん紹介されている。私はこの本を読んでいて、なるほど、これだけの実証を自分で目撃していれば、Life after Deathは確かな実在性をもって存在するのはまちがいない、わたくしも、科学的証明とかとは関係なく、自分で納得できたに違いないと思った。“科学的証明”にこだわるとおかしくなるわけで、今の科学は、まだ発展途上で、将来、何百年かたてば、今、不可能とか不思議に思えることも、簡単に計測・証明できるようになっているだろう。そうならないと、一見、科学は終わりまで来たようにみえているが、全然解明できていないことだらけで、まだまだ科学は未開で幼児期であったということになるであろう。

この本でも、ApportMaterializationなどが出てくるが、こういうものを説明できる次元に、まだ現在の科学は到達していないと思う。到達していないから、そんなものはありえないということではなく、そういうものが起こりうるのだから、まだ今の科学は、もし解明できなければ幼児期の段階といわれても仕方がないであろう。それは小林秀雄流に言えば、世の中に不思議があるということを認めることであり、認める心をもつことである。不思議とは、ありえないということではなく、今、現在の科学では説明できないというだけなのだ。科学者であれば、まさにそういう現象に興味を持ち、ではおれが解明してノーベル賞を沢山とってやろうと思う意気込みを持ってほしいものである。

私は、よく引き合いに出されるドイツの有名な科学者ヘルムホルツは、彼の専門(光学関係など)では偉大な科学者であったかもしれないが、それ以外の分野では、素人にも劣る馬鹿な男であったと思う。科学者というのは、現象を認め、なぜそういうことが可能かと探求するから科学者といえるのであって、自分の別な分野での業績をかさにきて、科学者本来のあるべき態度をとれない人間は科学教という宗教の信者に過ぎない。有名科学者がそういう態度をとる場合は、一般市民がとる場合に比べて、はるかに弊害が大きいから、科学の発展から見れば、犯罪的な妨害者であったといえる。さいわい、そういうおろかな科学者の存在を無視できる、まともなひとが多くいたおかげで、この心霊現象の科学の探求も向上しつづけてきたのであり、今では、ESPの能力はありえないという考えは少なくなり、Life after Deathに関する情報取得をSuperESPで説明するひとが多くなったほどである。

これは、丁度、地球の回転に関する考え方で、コペルニクス的転回が必要であったように、このLife After Deathの問題も、同じような結論に達すると思う。つまり、Mediumがもたらす情報を、SuperESPの能力で獲得したとこじつけの説明をするよりも、Life after Deathが実在し、地上のLifeはまだ幼児期で、はるかに進歩した異次元空間が存在し、そこでは、そんなありえないと思われる超能力は実はなんでもない、実現可能なことなのだということが簡単に証明されるだろう。

 私が、この本、S. Ralph Harlowの「A Life after Death」を読み直す気になったのは、またしても、Allen Spraggettの本「The Unexplained」のおかげである。このSpraggettの本の第5章“Contacts from the Dead?”というところに、Dr. Harlowの本からの例証があった。

 サイキックであった妹が急に死んでしまった。葬式のあと、大学に戻って自分の研究室で学生に向かって話しかけていて、妹の名前を口にした途端、デスクにおいてあったガラスのインク壺が大きな音を立てて割れた。女学生はこわくなって、アポはまた別にということにして、早々に立ち去った。(Spraggett P.88).そのあと、椅子に座っているとするどく、はっきりとした声がどこからともなく聞こえてきて“Is this clear-cut evidence?” というのを聞いた。Dr. Harlowは妹と、先に死んだほうが、あの世から、誰もが認めるような Clear-cut Evidenceを産もうと約束していたのだった。(Harlow P.48)。
つづく。

村田茂太郎 2013114日、18日

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