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3/27/2012

“回想のBig Bend National Park (Texas)”



“回想のBig Bend National Park (Texas)                                            村田茂太郎



ながいこと私はエルパソに住んでいたので、エルパソまたは アルバカーキーを基点としたアメリカ南西部の旅というテーマで旅行記、回想記を書こうと考えていた。

エルパソの場所の利点としては東西南北どちらへ向かっても、壁にぶつからず、National Park や National Monument にぶつかるという点を上げられるだろう。



南に向かえば Big Bend National Park と Davis Mountains State Park、東に向かえば Guadalupe Mountains National Park と Carlsbad Cavern National Park と White Sands National Monument そして西に向かうと Las Cruces まで少し北にあがらねばならないがArizona Tucson と Saguaro National Park, Chiricahua National Monument、北に上がれば Albuquerque、 Santa Fe、 Taos があり Petroglyph National Monument、 Bandelier National Monument などがある。 つまり、どこへ向かっても、広大なSouthwest のScenic Driving が可能である。

特に Big Bend と Guadalupe, Carlsbad へほかの都市から訪れようと思えば、エルパソ空港へおりるほかない。エルパソでレンタカーをして、Big Bend へは 5時間半のドライブ。Guadalupe へは 1時間半から2時間。さらにその奥の Carlsbad へはもう30分のドライブとなる。そして、White Sands へは、やはり1時間半のドライブである。



エルパソから2時間南に下ったVan Horn という街で Freeway I-10をおりるとNational Park のサインがあらわれる。一枚のサインに 右へ行けば Big Bend NP,左へ行けば Guadalupe Mountains NP と Carlsbad Cavern NP というサインである。



私はこのサインを見るたびに、3つのNational Park へのサインをいちまいで出せる場所というのはアメリカ国内でもほとんどないだろう、あるとしたら Yosemite と Sequoia, Kings Canyon との分かれ道、そして Utah の 5つの National Park へのサインが可能といえるくらいだが、実際あるのかどうか私は知らない。 National Park がないStateもたくさんあるのだから、まあひとつの街からいくつものNPにゆければ、悪いほうではない。


もっとも、Big Bend ははるかな僻地に位置するため、大変である。LAに居たとき、私はBig Bend を訪れたいと思っていたが、可能とは思わなかった。それが、不思議なもので、エルパソで働くようになったため、最初の年からBig Bend訪問。そして、毎年のようにBig Bend訪問が可能となった。


Big Bend と考えるとき、わたしの心は浮き立つ。Rio Grande の流れを抱えた広大な砂漠とそこに聳え立つ断崖絶壁のCanyon、砂漠の中であるにもかかわらず、2400メートルの死火山系がそびえたち、その山の中の盆地Basin1800メートルは緑豊かな高原のようで、夏でも涼しく、近年、わたしは Big Bend の Best Kept Secret として、夏に訪れるのがよいということを知って、何度か実行し、失望するようなことはなかった。


Tent Camp によく、Basin Lodge にとまるのもよい。Lost Mine Trail というテキサスでも最高といえるハイキング コースがある。往復で4.5マイルほど。丁度、ファミリー ハイクとして、ベスト。緑に囲まれたTrailには花が咲き乱れ、鳥が鳴き、そして、Trailからの眺めが最高。絶対お勧めのコースである。わたしは早朝、いちばんのりをして、だれもいない頂上付近で見事な光景を楽しみながら30分近く野鳥の声を楽しんだことがある。

Big Bend National Park は 野鳥が400種類以上みられたということで、Birderの間では有名なBirding Spot なのである。



夏といえども、そしてこの砂漠の真ん中といえども、海抜1800-2383メートルの緑に囲まれた高山では暑さを感じずにハイクを楽しめるのはわたしにとって喜びであった。River の Base が海抜600メートルほどなので、平地からは1800メートルの高さに山がそびえていることになる。これは、たとえば アリゾナの Flagstaffにそびえる San Francisco Peaks が海抜380メートルを誇るけれども、Flagstaffはすでに2000メートルの高台なので、実際は1800メートル伸びているだけである。したがって、Big Bend の Chisos Mountains も立派な山岳地帯なのである。砂漠での緑のオアシスとなるため、暑いといっても平地と異なり、快適といえるほどである。でも、なにしろ、暑いはずの夏。ひと気がない。ガスステーションできいたら、一番訪問客が少ないのが78月だという。そのため、時には予約もなくSpotでいっても、りっぱな Basin Lodge にとまれるのである。


Big Bend にはいくつかの見所がある。

Basin での Windows View という眺め、ここの夕日は有名で、私も残照をカメラに収めようとしたことがある。、メキシコとRio Grande で国境を作る 450メートルの絶壁とその間をRio Grande が流れる Santa Elena Canyon, Boquias Canyon, Basin からの登山コース 最高峰 Emory Peak 登山、 Lost Mine Trail、そして、Hot Spring Ruin。そのほか Raftingのコース。



Big Bend は砂漠と山と川でできたNational Park であるが、砂漠が90%以上を占める。その砂漠に45月にかけてサボテン類が花盛りとなって競い、それに色を添えるのが 紫のBig Bend Bluebonnet である。



川に水が豊かに流れるころ、Raftingが盛んで、春とか秋には何艘ものRafterSanta Elena Canyonの絶壁の間をゆっくりと下ってくるのを見かける。わたしも一度覚悟を決めてOvernightRafting Tripに申し込みをしたが、運悪く自動車事故のためCancelしなければならなくなった。わたしはBig Bend National Park を本当に味わうためにはRafting をしなければならないと思う。したがって、何度 Big Bend を訪れようと、私にはBig Bendについて語る資格は半分欠如しているような気がする。



温泉は1930年代で廃墟となってしまった。川岸にお湯が沸き、Indianたちは利用していたようである。1910年代からHot Spring として喧伝され、石でできたホテルも建ち、名所となっていたらしい。ところが1930年代におそった洪水でホテルは流され、それ以来、廃墟があるだけで、そのコーナーから湯が沸き、あふれてかわに流れ出る。着替え場所もなく、岩陰に隠れて水着をきて、つかる。適温である。アメリカ人はぬるいのでよいのか、沸き出口から離れたところに座って平気だが、わたしはいつも湯の湧き出す付近で、いい湯だなとWildな自然の中で最高の気分に浸りながら温泉をたのしむ。Big Bend訪問のひとつの目的でもある。目の前に川が流れている。時には川の水が侵入してくることがあり、雨の後は水没していることもある。しかし、この温泉は浸かったあとはとても気持ちよい。肌がすべすべして、ホテルに帰って、Showerを浴びる気にならない。


広大な空間を一人で車を走らせる気分は最高である。No Smog にちかく、人も車もなく、目の前に広がる 2400メートル近い Chisos Mountains(チゾス山脈) や、メキシコサイドの Cierra Del Carmen が2千メートルの壁を作ってそびえているのを見ながら走るドライブは格別である。



テントキャンプ をするこつは、目的地に着いたらまずテント サイトを決め、料金を払ってテントをセットしておくことである。あとからナドと思っているとPopularParkはすぐにFullになってしまう。私はBig BendTent Campするつもりのときは、まずBasinに行き、テントサイトを確保してから、Santa Elena Canyon に向かい、Boquias CanyonHot Spring などに向かった。あるとき、Campをしていて、夜中に目が覚めたとき、テントの外を眺めると、大きな犬のサイズの生物が三頭順番に並んで歩いていたことがアル。あとで考えて、犬なら三頭並んで歩くようなことはしない、Javerina とかよばれる野豚かいのししの仲間であろうと思った。夜の散歩といった感じであった。

Big Bend National Park は Rio Grandeが大きく90度以上の方向転換をする部分に対してつけられた名前で三つのCanyonとひとつの死火山系そして、Cactus、 Creosote Bush、Lechuguilla が繁茂する砂漠からなっている。最も近い大都市はエルパソで、近くの小さな街はAlpineである。

クルマで1時間のドライブで、それなりにScenic Driveである。



エルパソからBig Bend へは約5時間半のドライブ、従って、通常、早朝5時ごろに家を出発するのが私のやり方で、アチコチで休憩するため、12時ごろに公園に到着した。

エルパソからInterstate Highway I-10を南下してそれから東に折れ約2時間走ると、Van Hornという街である。ここで降りて右か左かでどちらのパークにゆくのかとなるが、普通、Guadalupe Mountains NPのほうは、エルパソからMontana Boulvard を東に走る一本道で、Guadalupeに到着する。Van Horn から Marfa へは75マイル。約1時間一寸。

Marfa は二つのことで有名である。1950年代の映画 Giant がここで撮影された。Elizabeth Taylor と James Dean,Rock Hudsonが演じて、テーマ音楽も私の中学一年生の頃よくはやった。私が映画を見たのはエルパソに行ってビデオかりてのこと。もうひとつは、Marfa Light である。これは、百年以上前から有名であったということで、不思議な灯りの原因を究明しようといろいろやったが、いまだに結論は出ていないという。これも、こうもりの飛翔と同じで、みてみないとわからない。私はいつもMarfaは早朝の8時ごろに通過するだけであった。エルパソからLAに移らなければなるかもしれない、最後のチャンスだと思ったとき、私は金曜日の夜、Officeを終えてから5時以降に出発した。Marfa の Bed & Breakfast に予約を入れて、自分では8時半についたつもりであったが、ここは同じテキサスなのに時差でて、一時間早く、着いたのは夜の10時近かった。Ownerの女性が迎えてくれ、別室に案内してくれた。Marfa Lightのハナシをすると、ここから6マイル。右側に赤いランプの着いたビルらしきものが見えるからといってくれたので、直ぐに出発した。



Red Light は目を傷めないのか、Marfa Light を見る妨げにならないのか、見えるはずのSpotに Rest Room つきのビルが立ち、Red Lightを頼りに裏へ廻ると展望台のようなものまでこしらえてあった。やはりLightは本当なのである。何組かの観光客がこの有名なLightを観察に来ていた。前のほうを見ると、クルマのHeadlightのような感じで、大きな灯りが上に上がったり、下に隠れたり、三つほど赤や白光や黄色光で浮かんでいる。私は当初、この話を聞いたとき、燐光のような、ぼんやりとした火の玉のようなものがあらわれるのであろうと想像していたが、全く違って、車のHeadlightのような大きさと明るさで三つになったりひとつになったり、上に上がったり、沈んだりという調子で、全く予想外であった。



ともかく、納得しないで、宿に帰って、シャワーをあびて、その日は床についた。翌朝、私は一時間早く起きて食事を待たねばならないのかと思っていると、時差がきいて、丁度食事時であった。客は私だけ。Owner はFrench料理のシェフだとかで、朝食とはいえ立派な食事を用意してくれた。そして、その食事中にわたしはOwnerから面白い話を聞いた。2年ほど前、日本人とドイツ人の二人の科学者がこの Marfa Lightを研究にMarfaにやってきて、約2ヶ月この B&Bに滞在し、毎晩、Lightをしらべに通ったが、結局わからないといったとか。そのとき日本人のほうは仏教の教えで、亡くなった人の魂が成仏しないでさまよっている場合に火の玉となってというようなハナシをしてくれて、それが気に入ったということであった。

Marfa からは 西にドライブして Presidio (プレシディオ)に向かう。これも1時間のドライブである。Presidioはメキシコとの国境の街である。このドライブもScenicDriveである。Big Bendへの序曲というべきものかもしれない。PresidioからはRio Grande沿いに Lajitas(らひたす)に向かう。この区間に Big Bend State Natural とか State Park とかといわれる広大な野生の荒野があらわれる。ほんとんど人手にあらされていない自然の領域である。そしてこの区域の川沿いに私の大好きな、そして一度US60セントの切手に使われた、雄大なRio Grandeのシーンがあらわれる。One Of The Best Scenic Spot IN USA で、私は1994年11月始めてこのRio Grande が峡谷を流れる雄大な景色に接して、ああ、来た甲斐があったと思ったもので、Big Bend National Park の素晴らしさを予感させてくれるものであった。留まらずに走り去る車も多く、もったいないと何時も思う。この周辺はRio Grandeに沿って Up-Downのはげしい孤独な道で、通る車の数も少なくはるかなる僻地にきているのだという実感におそわれる。どこの書物にも書いてあるが、Big Bend は自然の雄大さに比して人間の卑小さを感じさせるところである。



Lajitas はWestern風の町並みをしつらえた人工の町で、金をかけて客を捕らえようとしているが、うまく行っていないと感じさせる。こんなところで、うろちょろしていないで、BigBendに入ってしまったほうがよいからである。

ここからは Rafting がでており、私もここからSanta Elena Canyonへ繰り出すはずであった。



Lajitas から Big Bendへは30分足らずである。ちいさな Terllingua とかといった町を過ぎると Big Bend National Park のサインが現れる。エルパソから直行で5時間半の距離であった。

この MarfaPresidioBig Bendというコース、これが、Big Bend訪問のベストコースといわれるものである。Marfa から Alpine経由という方もあるが、これでは、あのRio Grandeの雄大な光景をミスすることになる。私のBig Bend はこのState Park通過のさいの Rio Grandeの雄大な景観をぬきにして考えられない。



Big Bend を見終わったら、Alpine に向かう。これも何もない広大な原野をドライブということで、クルマにも出会わず、楽しいドライブを続けられる。Alpine,Fort Davis、Davis Mountains というのが、ScenicなDriving ルートである。Fort Davis はHistoric Site で快適な高原に位置し、Davis Mountainsもすぐ近くである。Davis Mountains からはコースが二つに分かれる。 Barmorrhea State Parkに向かうコースとMadonald Observatory を擁した Davis Mountains越えのコースである。どちらも面白い。Barmorrhea は湧き出すSpringで当たり一帯は青々とした農場地帯となっているほど砂漠にできたオアシス地域で、世界最大といわれる(アメリカはなんでも一番だと思っているので、すぐに世界一というので、その言葉だけなら信用できないが、たしかに巨大なSemi-Natural Poolで)プールがあり、この広大なプールには薬品をつかわないで、毎日湧き出る泉でプールを清浄化し、そのため、カニや魚がその水底で一緒に泳いでいるという状態。10メートルほどの水深の区域はDivingの練習に使われ、泳ぎは魚と一緒ということになる。一方のDavis Mountains越えは、なだらかなDavis Mountainsを越える途中に Macdonald天文台があって、テキサスでのドライブでは最高の地点という表示がある。

ドライなはずのテキサスだが、どうしたことか私がこのDavis Mountains越えをするときは必ず雨が降って、しっとりとした、すばらしい気分になる。そしてこの山を越えると、いつものドライなテキサスが待ち構えている。雨の後の晴天もまた気持ちよい。

山を越えてI-10にでて、3時間弱でエルパソにかえれることになる。



私はChisos Mountainsの最高峰Emory Peak(7825Feet2383m)を狙ったときは、さすがに2泊3日でとりくんだが、それ以外は何時も1泊2日の日程でこなしてきた。しかし、やはり最低2-3泊はしたいところ。そうすれば、いろいろな楽しみ方が可能と思う。いそいで立ち去るにはもったいない、せっかく時間をかけて遠路はるばるやってきたところである。45日とまれば、テキサスではベストといわれている South Rim Trail の15マイルのScenic Hikingも可能であろう。私は一度、New Mexico の最高峰 Wheeler Peak 登山で16マイル歩き、4012メートルの最高峰に上ったときのつらかった経験から、10マイルならOK15マイルだと一日ではしんどいという感覚がうまれたため、とうとう、この South Rim ハイクは実現できなかった。しかし、ともかく、Basin Lodge は立派で快適なLodgeだが、テレビもない。まさに文明生活を忘れて自然を楽しもうということである。ここで、注意すべきは時差がエルパソと一時間違うということで、私たちは危うくDinnerをミスするところであった。Waitressの好意で食事にありつけたときは感謝感激で、ビールをうまいと思ったものであった。Tipもはずまなければならなかったが、価値はあった。


(完    1997年5月執筆)村田茂太郎



































 

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