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4/24/2013

Nicholas Sparks “The Best of me”を読むー本の内容紹介


Nicholas Sparks “The Best of me”を読むー本の内容紹介



 Nicholas Sparksは「The Notebook」でLove StoryRomanceの世界に登場して以来、かずかずのそれなりに感動的な場面を描いてきた。彼の小説はHappy Endingとは限らないが、ある種の感銘を残す。

 私は全作品を読んできたわけではないが、いくつかは読み、その映画もみた。また、つい最近、小説は読んでいないが、DVDを借り出して、シンプルなLove Storyで感動し、図書館に返却する前に、最後に近い場面を、何度か繰り返してみた。DVDはVHSと違って、その点、操作が簡単で便利である。“Nights in Rodanthe”という映画で、Richard GereDiane Laneの主演の映画であった。これは、ほかの映画(特殊技術や大人数を必要とするActionもの映画)に比べて制作費用はほとんどかからないわりには、たくさんの収益を生み出した映画らしい。評価は必ずしも高いほうではないが、わたしは最後のほうで、Richard Gereを待っていて、彼が来ないで一夜が明け、翌日、見知らぬ人間が玄関に立ち、彼女が待っていたドクターの息子だと名乗られて、ものも言わないDiane Laneの表情が息子訪問の意味を悟って、くしゃくしゃに泣き出しそうな表情になる場面が、よくできていて、何度か繰り返してそのムードを味わったわけであった。

 最近読んだのは、“The Best of me”という作品で、330ページほどの作品だが、すぐに一日で読める内容であった。

 Nicholas Sparksの作品は、Kristin Hannahと違って、Happy Endingになることが少ないようである。The Notebook がどのような内容であったのか、私は忘れてしまったが、 Messages in the Bottle とか A Walk to Remember など、そして映画の Nights in Rodanthe も、一応は Love や Second Chance がまっとうされないで終わることになっている。

 この“The Best of me”もその点、例外ではない。金持ちの娘Amandaと貧乏人で問題のある不良家系の家に苦労して育った男DawsonHigh  Schoolで相愛の仲になり、そして、娘の親に引き裂かれてしまう。女のほうは希望の大学に行き、DentalのドクターFrankと結婚して、子供ももち、一見、幸せそうな暮らしだが、一度、おさない娘を病気で亡くした暗い過去を持ち、夫はそれに耐えきれずにアル中的な状態になって久しい。

 男のほうは、腕が器用で、High School在学中は親切な男Tuckの家に住み込んで、Antique Car自動車修理を手伝いながら、学校を終えたわけである。そして、彼の場合、人生は単純ではなく、仕事でのドライブ中に、雨の中、対向車を避けようとして、間の悪いことに、Joggingをしていた男を撥ね殺してしまう。そして、彼も、4年の監獄刑期をつとめるわけである。

 そのあとは、Oil Rigの仕事を引き受けて、New Orleansの沖合で危険な作業をし、物語がはじまるときには、爆発事故で奇跡的に救助されて、何か月かの休養にはいるところである。そこへ、その高校生時代に世話になったAntique Car修理の男Tuckが亡くなって、Lawyer弁護士が会いたいと電話してくる。男は、そのHigh Schoolで金持ちの娘を愛して以来、結婚もせず、恋人も作っていない様子であった。

 実はLawyerからの手紙は男のほうだけでなく、女のほうにも送られていた。女のほうは結婚後も、何かあると(親がそこに住んでいるので)、故郷に戻り、High School時代の恋人とすごしたAntique Car修理屋のガレージに行き、その恋人を世話してくれていた男と親しく話をすることに慰めを見出していた。

 二人はそれぞれ違った方向から、その亡くなった男の家を訪れ、お互いを見つけたのであった。25年ぶりの再会。

 ここで、Faithful貞潔というか、First Loveが忘れられず、あるいはFirst Loveに匹敵する相手を見つけることができず、結婚も愛人も作らずに生きて生きた男と、結婚をして子供も二人は無事に育て上げ、三人目も元気に育っているが、夫のアル中的状態に嫌気を指している女が、亡くなった男Tuckが用意した家で出会ったわけであった。

 ふたりは、昔を思い出し、First Love で Best Love であったことを確認するのだが、結局、亡くなった親切な男Tuckが遺灰を撒いてくれと依頼した場所を二人で訪れ、用を済ませた後、いったん去ったが、また戻ってそこで一夜を明かすが、結婚している彼女のためを思って、なにもしないで過ごす。そして、女のほうは母親と言い争いをしながら、結局、家族を択んで夫のいる家のほうに向かう。

 一方、夫はゴルフがすんだあと、アル中でビールを飲みすぎて、ドライブできない状態になり、息子に連絡して、Pick upしてもらう。そして、息子の運転するクルマで帰る途中、交差点でGreenになってすぐにとびだしたため、事故を起こし、二人とも入院してしまう。女のほうは、家に向かうドライブ中にその連絡が入ったため、病院に直行する。夫は血だらけということであったが、それは鼻血でたいしたことはなく、息子のほうが頭を打って大変だとわかる。そして、そのあと、実は息子は心臓がおかしく、このままでは長持ちしないとつげられる。そして、最終的にHeart Plant心臓移植の手術が必要で、ふつう自動車事故での場合は対象外なのだが、まだ20歳にならない若者で、一応、該当する心臓が手に入れば、優先的に心臓手術が受けられるというところまでくる。

 男Dawsonのほうは、親戚のあくどいギャングが自分をねらっていることでもあり、さっさとこの弔いの用事を済ませて、かえろうとして、Antique Car修理の親切な男の最後のクルマの修理を終えて、テストドライブを兼ねて遺灰をまきに出かけたときに、その男が特別自分あてにメッセージを書いてくれた手紙を車におきわすれたのを思い出し、取りに戻ろうとする。

 すると、いつも何かがあるとあらわれる亡霊のような男が、まるで自分についてこいというような風をみせるので、あとを追っていると、Barにたどりつき、中に入ると、例の、彼を狙っている悪い二人のギャングが若者を半殺しにしている場面に出遭い、助けようとして、Barの外に連れ出す。そのとき、二人組のひとりが、彼に気が付いて銃を何発も発砲するが最初はあたらない。そして、痛めつけられていた男をBarの外に連れ出したとき、銃を持った男が最後の銃弾を発射し、それは頭にあたって、男は即死する。すでに乱闘のなかで誰かが警察・救急車を呼んでいたので、結局、男の身体は病院に運ばれるが、脳死の状態であった。

 女のほうは、医者から息子の心臓にマッチする42歳の男の心臓がみつかったということで、病院では急遽、心臓手術に入り、しばらくたって、うまくいったと知らされる。

 一方、Lawyerからは、男宛の手紙が暴力的に破壊された車から発見されたから女のほうにおくろうかという連絡が入る。女は男宛の手紙なのだから、男に送ればよいと応えると、Lawyerから彼女は何も知らないのだと知らされる。別れたあの日の夜、Barで男を助けようとして、男Dawsonは頭を打たれて死んだということを初めて彼女は知らされる。信じられない思いであった。そして、自分の息子が心臓移植手術を受けられたのは、たまたま42歳の男が死んだからということから、彼女は調べてみて、息子はいわば自分の愛人の心臓をもらって生きているのを知る。

 2年たって、移植心臓に感覚的に、そして心理的な動揺から慣れてきて平静になった息子は、母親に、自分が生きているのは、その男が死んだおかげだから、自分はその人の家族にサンキューの手紙を書きたいとつげる。そして、彼女はそうだ、その男については、もっとたくさんのことを自分は知っているのだと思う。彼、自分の最初で本当の恋人であったDawsonBarで男を、殺されそうな場面から助けただけでなく、自分の息子も助けてくれたのだ。彼は、彼女に“I gave you the best of me.”といったが、本当にそのとおりであった、と息子の力強く鼓動を立てる心臓の動きを感じながら思うのであった。

 Barまで亡霊のように彼を導いてきた男は、実は彼が24年ほど前、誤ってAccidentalに撥ね殺した医者の亡霊であり、Barで殺されかかっていた男はその医者の息子であった。男Dawsonは自分がOil Rigの事故でも助かり、このLawyerからの呼び出しの際にも、悪いギャングの襲撃を未然に防げるように、それらしき合図をしてきたのも、みな、この最後の場面に至るためであったのだと悟る。サイキックな要素を含んだLove Storyであった。償いのサイクルが完了したということである。

 ということで、高校の時の恋が二人にとってホンモノであったことを25年ぶりに再会した二人は確認し、あたらしい二人の生活を希求しながら、結婚している女の負担になるような無理強いはしないで、おとなしく去っていこうとした男が、結局、ギャングの暴行の犠牲になるという悲劇である。悲劇であるが、彼の行為によって、ふたりの男が救われたのであった。アル中の夫は、今度はまともにアルコールを断ち、再起する決心をし、また実行しているということで、一時は意味のない結婚生活にまで至ったと女Amandaは思っていたが、この最後の息子の事件をきっかけにして、家庭は良い方向にむかうことになった。

 Tuckの遺灰を希望通りにまくために、二人がはじめての山道をドライブして、登っていくと、頂上付近でみごとなお花畑にであった。それはAntique Car修理の男Tuckが、彼のワイフのために作った別荘のようなところで、Wild Flowerの種をまいて、時折手入れをして、見事なお花畑になるまでに育て上げていたのであった。そして、そこにワイフの遺灰をまき、自分の遺灰もまいてもらおうと、信頼できる恋人同士であった二人 Amanda と Dawsonに依頼したのであった。

 一方、事故で男を撥ね殺したDawsonは監獄の刑期を終えても遺族に責任を感じており、当初、すぐに謝罪に行くがはねつけられる。そのあと、働き始めて、その給料のなかから、毎月定期的に匿名でその寡婦宛に送金をする。それは、働き手のドクターが死んで経済的にきびしくなってきていた遺族を助ける働きはした。この弁護士仲介による25年ぶりの故郷訪問のときも、自分が事故で死なせたドクターのお墓に花をそなえ、とうとうその寡婦と話す機会を持つ。彼女は、もう充分で、自分を責め続けるのはもうやめにしなさいと告げる。

 そして、すべてから解放され、すっきりとしてルイジアナに帰ろうとして、男Tuckの手紙をとりに戻ることになり、亡霊の招きでその彼の息子を助けながら、自分は凶弾に倒れてしまう。しかし、運命の働きで、彼の心臓は恋人の息子を助ける役割をした。事故で男を撥ね殺した彼は、その男の息子を助けるはめになり、自分の命を犠牲にするということになった。

 ギャングがでてきて、単純に甘いLove Storyではないが、それなりに甘い、印象的な再会の場面があって、この物語を救っている。あらすじを紹介したが、ずいぶん長い紹介となった。

 この現実社会で暗い出来事が日常的に起きているとき、Love Story, RomanceFiction架空の話とはいえ、別な世界がありうるのだという夢を育ててくれる。

現代の Mystery, Suspense Storyの世界は、殺伐として、おそろしい人間の在り方を示唆して、それなりに暗黒世界の存在を告知し、警報を与えてくれるが、読んでいて気持ちの良いものではない。そういうとき、夢のような愛の在り方を示してくれる Love Storyの存在は、貴重なものである。

 私は、最近、昔読んだ Love Story, Romanceを読み返している。Kristin Hannah もその一部で、ほかに Emily Graysonなども、Very goodと最後にメモしてあるので、読み返すことにした。Nicholas Sparksの「The Notebook」も読み返すつもりである。すでにJames Pattersonの2冊のLove Storyについては、再読し、このブログでも紹介した。彼は恐ろしい犯罪小説をたくさん書いているが、単純なLove Romanceも書けるということを知るのはうれしいことである。

村田茂太郎 2013年4月23日、24日

P.S. 最近、この「The Best of Me」が映画化されたらしい。本を読んでから映画を見るのは楽しみである。映画の製作者、シナリオ・ライター、監督がどのように仕上げているか、自分が映画化するとしたらどのようになったであろうかといった興味がわくからで、The Notebookの場合も A Walk to Remember も映画は原作とはすこし展開は異なるが、原作のSpiritはよくつかんで映画化していたと思う。Safe Havenの場合は本の三分の二くらいで読む気がしなくなり、図書館でDVDを借りて、やっと安心して、その日のうちに読み終わったものであった。Kristin HannahのLove Storyとちがって、Nicholas SparksのLove StoryはViolentな要素が入ってきて、かならずしもHappy Endingに終わらない場合が多い。Violenceが日常化している現代、Sparksのストーリーのほうがより現実的ということであろうか。アメリカに限らず、日本でもニュースを読むと、犯罪、家庭内犯罪が日常的になっていて驚くばかりである。

2014年10月14日 村田茂太郎

 

 

 

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