Californiaには現在8個の国立公園があり、このCahnnel Islands National Park だけが、船でしか行けない公園です。
わたしは運よく、すべてのカリフォルニアの国立公園を訪れることが出来ました。
ここは、鯨見学をかねて訪れるのに最適です。
ここで出てくる高田先生というのは、北海道からあさひ学園へ派遣教員として赴任された先生で、何度かご一緒に旅〔ヨセミテ訪問など)・ハイキング(Point Mugu State Parkなど)を楽しみました。
村田茂太郎 2012年3月28日
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クジラ見学記 (日記から)
1983年3月20日、日曜日。予定通り起き、準備を整えた。高田敏夫先生ご夫妻も時間通り到着された。6時丁度にトヨタで出かけた。空は昨日と違って、雲が多く、雨を孕んでいて、船がチャンと出るかどうか少しあやぶまれた。が、ともかく行くしかないので、うまく晴れてくれることを願いながらドライブをつづけた。雲は多く、多様に変化していた。7時過ぎに、チャンネル諸島国立公園のHeadquarterに到着した。既に別の船に乗っている人々が見え、私どもと同じ予定の船に乗ろうと集まっている人々もおり、人数を確認している年配の人が居たので、どうやら間違いなく船は出るのだとわかり、ホッとした。雨が降ろうが降るまいが、まず出港してくれる方が大事であった。
Sunfishという船は小さく、これで50人も乗れるのかなと思うほどであった。結果的には、約40人近いクジラ見物客が乗ったことになった。8時前に出航し、10時前にAnacapa
Islands(アナカパ諸島)に着くまで、途中、クジラを探してゆっくり運航したりした。イルカを見かけたが、クジラは見なかった。島に着いて、小さなボートに乗り換えて上陸した。断崖に梯子をかけたような形で、なんとなく冒険じみて楽しくなってきた。アナカパの有名な円月島も見え、胸がワクワクした。
上に上がると、イギリスかアイルランドの牧歌的な風景に似た景色が展開していた。燈台といくつかの赤レンガの建物が見え、あとは緑と黄色のお花畑のようであった。島はほとんど平らで、どこからも海が見え、断崖や遠くの島が見渡せた。島には、ひまわりの一種、Giant Coreopsis が一面に咲いていて、雨のせいで緑も濃く、私には、ともかく、すばらしい雰囲気であった。1マイルほどの小路を散策し、ところどころ断崖をのぞきこんで、そのすばらしい眺望を味わった。特に、対岸の島を見下ろす地点からは、比類なくすばらしい眺望が展開していて、本当にきてよかったと何度も思った。場所によってはアザラシが沢山休息しているのが、眼下に見下ろせた。
島一面、青々としていたし、ふだんは枯れているこの“ひまわり”の一種も、春の雨で今を盛りと黄色の花をいっぱいつけていて、ベストの時期に来たとつくづく思った。ブランチを食べていると、すぐ海岸べりで鯨が潮を吹いているのを二三度見かけた。マンガで見るような、噴水のようなものではなく、貝がチューと水を吹き出すような、とばし方で、少しガッカリだったが、それでも鯨がアラスかに向かって北上していく様がわかった。何頭かの集団で移動しているようで、時々、瀬を見せて沈んでいった。肉眼でも見えたし、双眼鏡でもよく見えた。島には12時半ごろまでいた。ともかく、どこから眺めても素晴らしいと思った。
夏には枯れて全く違った趣を呈するはずだが、冬の雨で充分生き返った牧歌的な光景は、私を喜ばせた。曇った海を航海していたときは、とても寒かったが、昼ごろから少し晴れたようになり、青空も見えてきて、日差しが届くくらいにまでなった。12時半から1時過ぎにかけて、全員、またもとの船に戻った。船はその後、アナカパ島を半周し、アナカパの美しさを充分味わわせてくれた。それから鯨を求めて帰途についた。私は疲れて眠たくなり、船室に戻って、少し眠った。鯨を見かけたら船長がすぐ知らせてくれるので心配は要らなかった。途中、何度か合図があり、私も飛び起きて、甲板に出た。そして、それらしき箇所を見つめていると、やがて、潮を吹き、背中を見せて、深く沈みこんでいくのが見えた。ゆっくりともぐっていくその姿は、やはり、大きさを示していた。何度か潮吹きともぐる姿をそうして眺めた。
いつの間にか、空は曇り、肌寒くなっていた。もう充分ということで、船は帰途についたが、今度はイルカの大群に出くわしたので、船長はその真ん中に入って船を回転させたところ、あいきょうのあるイルカは、すぐに集団で船をとりまいてついてきた。そうして、時にはハイジャンプをやり、時にはひねり回転をやって、遊んでいるところを見せた。とてもかわいかった。充分、楽しんでから、今度こそ全速力で帰りの途についた。そして、4時半に、無事、出発点に戻った。海岸に近づくと、海の色が黄緑色にかわっているのに、気がついた。高田先生は、多分、深さがかわったというより、先日来の雨による砂泥流がまだ海にとけこんでいなくて、泥っているのだろうと言われた。ともかく、雨模様にもかかわらず、いろいろと変化に富んだ空模様で、様々な景色と動物の生態を観察する事ができ、この旅行は大成功であった。たしかに、国立公園に値する島であると感じた。
高田先生とは、途中で何度か、海外子女教育の問題点について話し合った。帰りにソーテル学院弁論大会審査員として報酬をもらったので、それでご馳走したいと言われたので、誕生日によく出かけた、Van Nuysにあるドイツ・レストラン Old Heidelberg へ行った。お腹いっぱい堪能するほど食べ、レストランの装飾やムード、音楽、サービス、デイナーのすべてに満足して、今日一日の喜びをかみしめた。
夜中に入って雨が降り始めた。今回のWhale Watch Trip は、本当にうまくいったと思った。また、雨で中止になるとばかり思っていた。ともかくすばらしかった。もう一度、違う時節に訪れたい。草やお花畑があろうがなかろうが、何処から見ても、断崖と対岸の島々の姿はうつくしく、見飽きないものであった。アザラシがのんびりとくつろいでいる光景もよいし、カモメが沢山自由に舞い飛んでいる風景も良い。イルカの大群も良かったし、鯨のゆうゆうとした遊泳ぶりも、全く自然ですばらしかった。こうした自然の美がこんな手近なところにあったとは。出来ればキャンプなどすれば、もっとすばらしいのだが。いつかはチャンスが来るかもしれない。夜中になって、ものすごく激しく雨が降った。何度もWhale Tripのラッキーさを思った。
(完 記 1983年3月21日)
(注) Channel Islands National Park
North Hollywoodから丁度60マイル(Ventura Freeway)のところにある Ventura Cityの沖、船で約2―3時間のところに横たわる島々で、最も新しいNational Park (1983年現在)。(その後、ふたつのNational Monumentがクリントン大統領の指示で国立公園に昇格しました。Death Valley と Joshu Tree です。1995年12月現在)。島の近辺をMigrant Whale である Gray Whale が通るので有名。Gray Whale はアルスカを9-10月に出発して南下し、12月末にCalifornia沿岸を通って、Baja Californiaの湾に入る。子供を育てたりして帰途につき、3月ごろに再びCalifornia沿岸を通過する。一時、絶滅に瀕したが、USAの保護により、現在1万頭異常になる。哺乳動物の回遊(わたり)としては世界最大で、往復12000マイルの旅を行う。
Channel Islands への定期便は運航されていない。
Channel Islands は動植物の自然生育の宝庫として、その美と自然保護のため、1980年3月、国立公園に指定された。 (記 1983年3月21日)
“鯨(Gray Whaleの場合)”-Migration (回遊)
Gray Whale はLiving Fossil といわれている。生きている化石。
Migration
妊娠したメスは、9月にアラスカを発ち、時速5マイル、1日約100マイルのスピードで、アメリカ西海岸を南下し、12月ごろ、メキシコ、バハ・カリフォルニアのScammon Lagoon に着く。1月ごろ、子供を生み、3月ごろLagoonを出る。ゆっくりと北上して、7月8月にアラスカに達する。往復、約10,000マイルの行程である。カリフォルニア沿岸を通過するのは12月と3月ごろで、San Pedro やLong Beach から、Whale Watch の船が出る。(有料)。
一時、絶滅しかけたが、1937年保護され、今では15000頭程いる。メキシコも1972年National Whale Refuge をScammom Lagoon につくった。Migrationは単独の場合も有れば、16頭程のグループの場合もある。Migrationの間はほとんど何も食べず、FAT(脂肪)をつかいながら航海する。そのため五分の一の重量が喪失する。フジツボのような寄生動物(Acorn Barnacles)はEasy Rider であり、時に1000ポンドに達するが被害はない。暖かい海に来ると、うまく適応できず、離れていく。
Gray Whale は5歳から11歳で成熟する。40歳まで成長し続ける。すくなくとも69年は生きる。11月12月にMateし、妊娠期間は13ヶ月。最長はメス49フィート(15メートル)、体重35.2トン。オス47フィート(14メートル)27トン。新生児は16フィート(5メートル)、900ポンド(408KG)。
Migration(渡り、回遊) の原因
生理現象のリズム適応から来る場合(温度、日照時間、産卵・・・)、えさを求めてなど。
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