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10/08/2012

Jonathan Kellerman ジョナサン・ケラーマン 「Victims」犠牲者達 を読む


Jonathan Kellerman ジョナサン・ケラーマン「Victims」犠牲者達 を読む

 Jonathan Kellermanは児童心理学でPh.D.を取得した現役の精神科医であったが、1985年に名作“When the bough breaks”〔枝が折れるとき〕で出版会にミステリー作家として登場して以来、世界的なベストセラー作家として活躍するようになった。

 彼の書くものはほとんどベストセラーになるようで、その数も今では膨大な数にのぼる。最初の作品に登場して以来、頻繁にでてくるのが、Alex Delaware という名前の主人公、心理学者・精神分析医で、相棒といえるロサンジェルスの刑事、Lieutenant Milo Stargis と協同して事件を解明するという構想で、今では表紙にAlex Delaware Novelと記されている。

 しかし、それ以外の刑事小説その他も書いており、とてもすぐれたものがある。たとえば、TeenagerHomelessが殺人事件のWitnessになったため、ねらわれるストーリの“Billy Straight”(1998)などは、見事な名作といえる。まさに、専門の児童心理学者としての知識と理解力を発揮したすぐれた作品であり、また刑事小説としてもすばらしい。

 わたしは全作品を読んだわけではないが、最近はPaperbackが出版されれば、Discountですぐに買い求め、400ページ前後のVolumeであるが、1日か2日で読了する。それほど、集中して読ませるだけの面白さをもっているのが、彼の小説である。

この“Victims”もすぐにとびついて買ったわけだが、庭仕事で昼間は集中できず、結局2日かかかったが、ものすごく面白かった。一見、関係のないような殺人事件、殺され方から判断して、同じ犯人と推定されるが、殺された人間がそれぞれ、全く関係ないようにみえるにもかかわらず、執拗な探究が解明したのはおどろくべき過去への犯人の妄執であり、それが共犯をふくむかたちで展開されているため、複雑な関係が最後に見事に解明される事になる。主人公AlexPh.D.取得後の精神病棟での勤務体験まで生かされる形で、ストーリーは展開され、非常に興味ぶかく、面白く、また教訓的である。つまり、あるひとは、対人関係が粗暴で、犯人または共犯者の恨みを買い、殺される事になる。

KellermanAlex Delaware Novel は舞台が主にロサンジェルスで、私のよく知っているStreetLocationがでてくるので、読んでいても、より身近に感じられ、楽しいひと時を過ごすことができる。わたしはどうやら既に20冊以上読んでいるようだ。

Alex Delawareが主人公のサスペンスはふつう、主人公Alexの目を通して物語が語られていたと思うが、この“Victims” においては、ホンの少し、Alexが関与していない場面が語られている。どうしたのかと思う。私の大好きなロス・マクドナルドは主人公の私立探偵リュー・アーチャーLew Archerの目を通してストーリーが展開するので、特に方法的になぞを解く正統派としてわたしは評価し(生きた会話とストーリの重みのほかに)、KellermanRoss Macdonaldの系統を引いていると思っていたのだが。

いずれにしろ、退屈しないで没頭できるKellermanならではの名作だと思った。“Victims” Ballantine Books, ISBN 978-0-345-50572-9 2012 Premium Mass Marker Edition

村田茂太郎 2012105日、8日

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