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11/25/2013

「心霊現象の科学」をめぐってーその70「Return from Heaven」(霊界からの生まれ替わり)(2001年)Carol Bowmanを読む その1


「心霊現象の科学」をめぐってーその70「Return from Heaven」(霊界からの生まれ替わり)(2001年)Carol Bowmanを読む その1

 Dr. Ian Stevensonの古典的名著といわれているReincarnation(転生―生まれ替わり)に関する研究 (「Twenty case suggestive of Reincarnation」など)はアメリカ本土ではなく、おもにAsia諸国や中近東の資料を集めたものであった。しかし、これが契機となって、Reincarnationの研究が進められ、Reincarnationというアイデアが一般に(アメリカなどにも)知れ渡ってくると、ReincarnationCaseStudyの研究はなにもアメリカ以外の国、アジアや中近東の国に限らないということがわかってきた。

 そして、Dr. Stevensonの本に述べられていたような、まだ二歳三歳の子供がPast lifeについて語ることを耳にする親がアメリカ国内でも増えてきた。

 著者Carol Bowmanは1988年からChildrenPast-Livesを探求し始め、1997年にその調査結果をまとめて「Children’s Past-Lives」という本を著した。

 その本を読んだ読者たちが、それに刺激されて、E-mailで世界中から自分の子供のPast-Livesの記憶に関する情報をおくるようになり、それをまとめて、整理して第二作目となったのが、この「Return from Heaven」であった。

 この著者がこの子供たちのPast-Livesの記憶に興味を抱いたのは、実は、自分の子供たちがPast-Livesの話をしはじめ、それがあまりにも生々しく、詳細にわたり、感情がこもっているので、ただの、本を読んだ感想や映画を見ての印象などではないと判断し、もっと調査をしてみようと思ったのが、彼女がこの領域に踏み込むきっかけとなった。

 Internetの時代に入っていたおかげで、E-mailでの情報交換もスムースに進み、彼女はReincarnationの大家であるDr. Ian Stevensonと直接話し合うようになっただけでなく、彼女が受け取ったReincarnationらしきケースを直接DrStevensonとそのアシスタントが調査する現場にも居合わせ、その徹底的な調査振りから感銘を受けもした。

 そして、彼女は独自の調査から、まだ誰もがまとめていなかった領域に入り、それをまとめあげたのがこの本であった。

 この本はものすごく興味深く、なかなか教訓的で、おおいに役立つのはたしかなので、世の子供を持つ親たち、これから結婚・出産を予定している人たち、生んだ子供をなんらかの理由で亡くすという悲劇にあってきた人たち、妊娠している人たち、何らかの理由で堕胎をせざるをえなくなって、罪の意識と悲しみにうちひしがれているひとたち、いわば子供の親に当たる人たち全部に読んでもらいたいと思う本である。

 2001年出版なので、すでに日本で翻訳されているのかどうか知らないが、翻訳される場合は抄訳ではなく完訳を強くお願いしたい。というのは、“Hello from Heaven!”というBill Guggenheim & Judy Guggenheimのあらわした素晴らしいAFDAfter Death Communication)に関する本があり、私はこれは日本語に訳して皆さんに紹介する価値があると思ったが、すでに訳されていることがわかった。しかし、これが日本語に翻訳されて「生きがいのメッセージ」という題名で出版されているらしいが、これを読んだ読者の一人が原文の大事なところが省略されているから読者に原文で読むように薦めている文章に出会ったので、それはそうだ、コストやページ数の関係で抄訳にしたにちがいないが、やはり完訳でなければ意味がないと私は思うし、このCarol Bowmanの本も日本語に翻訳する場合は完訳でないといけないと、私は強く思う。

 これは子供たちのPast-Livesの記憶の話であるが、同時に出産前後におけるSoulのあり方をめぐるLife-Between-Life(あるいは Life before Life)の話でもあり、受胎前後、妊娠中、出産間際、出産後をめぐる話でもあり、すでにDr. Helen Wambachが「Life Before Life」(1979年)で展開したことでもある。

 この「Return from Heaven」(天国からの生まれかわり) という本の副題は “Beloved relatives Reincarnated within Your Family”という題で、まさにこの本の内容を表している。つまり、単に転生 生まれ替わりがあったというだけでなく、同じ家族または近い親戚の中で生まれ替わっているらしいという資料を一般から集めたものである。

 魂は不死であるとなると、そこからいろいろなケースが生じることが考えられるのであるが、(つまり成仏しないで地上にへばりついていて、Ghost現象を起こしたり、人に取り付いて{憑依現象}Possessionとして人を困らせたり、など)、この本に集められた資料によると、親子・親族・親戚関係の間で複雑な転生をしているということがわかる。おじいさんが孫に生まれ替わったというようなケースだけでなく、流産した(あるいは理由があって生まれる前に死んでしまったはずの)子供が、次に同じ母親から第何番目の子供として生まれかわって、胎児のときの母親たちの会話を理解していたとか、あやうく堕胎されかかった子供が誰かのアドバイスで生きて生まれて、そのアドバイスを両親にしてくれた人を感謝しているとか。あるいは別な本によると、現在は親子だが過去には逆の関係であったとか、兄弟姉妹であったとか、性も男女が違っていたとか、過去の因縁というのか、全く別な場所・国に生まれたときでさえ、親子兄弟恋人といった関係が複雑に維持されているという話である。それは、いわゆるカルマの法則で、浄化するまでいろいろな環境を繰り返すということらしい。これは、まさにReincarnationとカルマの関係にはいるわけで、そういったことを主題に取り扱った本もたくさん出版されている。

 ともかく、2歳3歳になるかならない子供が、過去の生活を語り始め、「自分が大きかったころ」とか、「まだお母さんの胎内に入る前とか」、「お母さんが私の子供であったころ」とか、しゃべり始めるそうである。ともかく、まさにSoul魂が、受胎前、妊娠中、出産間際、出産直後などをすべて意識していて、ことばが話せるようになると、そういう普通には考えられないような、信じられないようなことをしゃべりだすというケースがたくさんあるとのことである。Dr. Ian Stevensonの著書には、ほかの国でのそういう例が具体的に記されていたが、いまや、アメリカ国内でも別に珍しくないほど、Reincarnationとしか考えられないケースがたくさんあらわれているようだ。

 昔、哲学者John Lockeは生まれたときは、子供は何も意識がなくて、成長の過程でいろいろ身に着けてゆくと考えて、白紙の状態でうまれるという表現(Tabula Rasa)は有名になったが、最近のこの、いわゆるパラノーマル、超常現象の解明しつつあることは、生まれたての赤ん坊はすでに立派に意識を持っているということである。ロックは、人間はうまれつきいろいろな知識を身に着けてうまれるのではなく、白紙の状態で生まれて、その後の経験と知覚体験で人間になると考えたわけであったが、いまやこのTabula Rasa説は否定されたということになる。

 ここで、イギリスのDr. Rupert Sheldrakeの話をもちだすのは異例だが、彼は、記憶はFieldにレコードされ、われわれはそれにTune-inする、いわばTVのようなものだという有名なMorphic Resonance説をとなえたが、それも、あながち異様な理論とはいえないと私は感じた。つまり、記憶が大脳の辺縁系記憶細胞にあるだけなら、肉体が死んでしまえば記憶も何も残らないはずである。ところが、最近の、この心霊現象の科学が解明しつつあることは、どうやら人間は、肉体が死んでも意識や個性を保持しているということである。ということは、まさに意識・記憶はエネルギーFieldに保存されているということで、それにアクセスできる能力を持った人は誰でも、取り出せるということであろう。そうなると、Akashic Recordというすべての行動が記録された本と図書館のようなものがあり、特殊な能力を持った人は、必要があればそれにアクセスするということも考えられ、昔、Edgar CayceというVirginia Beachのサイキックが、自己催眠状態に入って、ある人の見た“夢”に直接アクセスして、その意味はこうだと解明したという話もありうる話ということになる。彼は名前と生年月日または住所だけで、そのひとにTune-inして、健康診断から予知まで、いろいろ普通では考えられない能力を発揮したということであるが、私がすでにこのブログで紹介したSandra GibsonというPh.D.保持者も催眠状態にはいると、名前と住所だけで、Edgar Cayceと同じような情報を伝えたというから、このAkashic Recordというのも、エネルギーFieldにすべてがRecordされるというのも、本当かもしれない。最近は、このAkashic Recordに関する本もたくさん出版され、Ervin Laszlo(アーヴィン・ラズロ)なども“Science and the Akashic Field”という本を書き、まじめに研究する人が増えてきているようだ。Edgar Cayceは早くからAkashic Recordに言及していたほどであるから、これからのまじめな研究が期待される領域といえるかもしれない。

村田茂太郎 2013年11月25日 その2 につづく

 

 

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