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11/12/2013

心霊現象の科学」をめぐって-その66 George Ritchie 「Return from Tomorrow」(1978)を読む


「心霊現象の科学」をめぐって-その66 George Ritchie 「Return from Tomorrow」(1978)を読む

 この本を知ったのはParapsychology関係でたくさんの研究書をあらわしたD. Scott Rogoの「Infinite Boundary」というPossessionを研究した書物の最後に紹介されていたからであった。

 最後の箇所での紹介はとても印象的で、わたしは直ちにその本を手に入れようと考え、Amazon.comで調べたところ、まさにその書物が今も出版されていることがわかった。

 オーダーをして最初に届いたのがこの本で、ページ数で130ページほどなので、これならと私はすぐに一日で読了した。

 そして、これは、すごいと思った。

 この本はその筋では有名であったのか、各種の研究書に引用・紹介されている。

 臨死体験 といえば、すぐにRaymond A. Moody Jr. M.D., Ph.D.の名前が浮かぶほどNDENear Death Experience)の研究ではDr. Moodyの名前は有名であり、Elizabeth Kuebler Ross とならんで、この領域の代表的な存在であるが、このDr. Moodyがまだ学生であったときにGeorge RitchieNDETestimonyに接することから、この彼のNDEに関する研究は始まったといえる。そして、150件の資料の最初に当たる、Moodyにとっても最も重要なケースのひとつがこのDr. RitchieNDEであったとは、Moody自身がこの「Return from Tomorrow」(1978年)に序文をよせていることからもわかる。Life after Life は1975年に出版され、世界的に有名なベストセラーになったわけだが、そのあとで、RitchieNDEの話が本として出版されたわけで、なんとなく奇異に感じられるが、Moodyは1965年の時点でDr. Ritchieの体験談は知っていたわけで、そうか、やっぱり、ということになる。

 いわゆる臨死体験にあたる話であるが、Out of Body の状態で、ちょうどCharles Dickensの有名なChristmas Carolのなかの守銭奴Scroogyが空からあちこちと魂遊離飛行体験をして、その後の生き方をかえること(情け深い人間)になったように、彼も、この体験で一生がかわることになった。彼の体験Out of Bodyはものすごく意味深長である。若い、死んだばかりのGeorgeJesusと出会い、あちこちと空中飛行をし、Earthboundの世界やいろいろを見聞きする。それが、彼が死んでいたといわれる9分間の出来事とは思えないほどである。 何百マイルも飛んで(テキサス Barkeleyからミシシッピー Vicksburgなど)、あちこちを覗き見し、その後の彼の人生を変えてしまう体験をするわけである。

 医師を志願していたGeorgeは、第二次世界大戦中、1943年20歳のときに自ら希望して軍隊に参加したが、テキサスで訓練中に重病(悪性肺炎?)にかかり、とうとう死んでしまった。もう亡くなったと顔に布までかぶせられていたが、9分後に蘇生した。

 そして、その死んでいたはずの9分間にGeorgeはさまざまな体験をした。

 Out of Body の状態で、どこか遠い町に至り、そこのBarにはいっていった。Georgeには意識があり、自分がドアーも素通りできるのに気がついたが、Barのカウンターまできて周りのようすをながめていると、普通の肉体を持ってBarLiquor・ビールを飲んでいる連中のほかに、自分と同じような人間がいて、ビールを飲みたそうにし、男が飲もうとするジョッキをつかもうとするが、うまくいかない。そういう肉体を持たないけれど、アルコールを飲みたくてたまらない男がいるのを見ていて、普通の人間はAuraオーラがその肉体の周りを覆っているのに対し、Out of Bodyの自分と同じような、アルコール中毒状態のEarthboundの男たちにはAuraがないのに気がついた。そして、しばらくは、飲んでいる普通の人間と、それを見守っているだけで、自分では飲めないSpiritがいるのを目撃していたが、とうとうアルコールをがぶ飲みしていた男が限界に来て倒れて起き上がれないような状態になったときに、その男のAuraが頭の先から割れてAuraの下にあった肉体が露出する形になった。そのとき、Georgeはその亡霊のようなアル中らしいSpiritが、Auraがわれたところから、その男の体の中に完全に入っていくのを目撃した。

 これはGeorgeEarthbound Spirit(地上をさまよう亡霊)によるPossessionの現場を目撃したということであった。私にとっては、この場面が一番印象的であった。GeorgeJesusから What have you done with your life? (君の人生で君はどんなことをしたの?)How much unconditional Love have you given others? (君は無条件の愛をほかの人たちにどれだけあたえてきたの?) と聞かれる場面も重要であり、GeorgeJesusUnconditional Love(無条件に愛すること)に接して感動するのも重要な場面であるが、このオーラが割れて、無防備になった肉体に、地上をさまよう亡霊がはいりこんで、Possessしてしまうという場面が恐ろしく、ありうる話しだと私は感心したわけである。

 よくアルコールを飲むと人がかわったようになるという話をきく。まさに、事実で、そういう状態になったため、アルコール中毒の地上をさまよう亡霊がPossessedしたわけである。そのため、そのPossessedしたSpiritの性格までが行動にあらわれることになるわけであった。

 この話を読んで、泥酔状態になるまでアルコールを飲むのは自分のSoulEarthboundSpiritに侵害されることになり、そのひとは、そのPossessedの状態のまま生きることになる。結果的にはひとりのSpiritPossessedというだけでなく、いくつもの亡霊にPossessedということになる。

 たった9分間のDeath状態の中でGeorge Ritchieは彼の人生行路をかえる体験をし、そのときに学んだ真情を貫徹しながらいきることができた。精神分析医となり、University of VirginiaPsychiatry Departmentのメンバーになるための面接の際、Georgeはフロイト学派の主任教授から直接、「Dr. Ritchie, あなたはキリストに出会ったと感じているそうだが?」と質問され、私は自分がUniversity of VirginiaFaculty Memberの一人になるチャンスは窓から飛んでいったように感じた。正直に、「わたしがテキサスのBarkeleyで起きたことを否定することはできないのは、TarsusSaulがダマスカスへの途上で彼におきたことを否定できないのと同じようなものです。」と応え、もうこれで彼の希望も通らないに違いないと思った。驚いたことに、2-3週間後に全員がOKのパスをしたという通知をもらった。後年、この主任教授と親しくなり、内輪話をきくことになった。「われわれ大学のメンバーのすべては君がOut-of-Body体験をもったといっていることは知っていた。もし君が、そんなことはなかったと言っていたら、私は君が事実とFancyの区別もつかない非常に情緒不安定な、頼りにならない人間だと判断していたであろう。」

 SaulPaul)は有名なDamascus体験をもった。それまでは、キリスト教の熱心な迫害者であったPaulDamascus体験で、それこそ一夜にして熱心なキリスト教徒になっただけでなく、いわゆる原始キリスト教徒の中でもっとも熱心で影響力を持った、偉大な使徒となった。そして殉死した。Georgeも、死んでいた9分間にキリストに出会い、ともに旅をする中で、無条件の愛情の大切さを学び、その教訓を生かした人生を生きようと決心し、それを実行した。精神分析医師として特に若者の救済に努力し、2007年84歳でなくなった。それはキリストがあなたはまだ45年がんばらねばといった年齢よりも長生きできたわけであるが、これはFree Willの成果であったのかもしれない。

 

村田茂太郎 2013年11月12日

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