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10/09/2015

「心霊現象の科学」をめぐって - 余談 2015年10月3日、4日


「心霊現象の科学」をめぐって - 余談 ”結論”? 2015年10月3日、4日

 1966年、大学のクラスメートのひとりが突然自殺したとき、私は本当にショックを感じ、回復するまでに半年ほどの精神的心理的苦悩を体験した。そのとき、クラスで発行していた新聞に、「彼女があの世で生きているとわかれば、どんなに心が安らぐことだろう」というような記事を書いたことを覚えている。

 当時、ベトナム反戦運動が盛んで、マルクス思想で頭がいっぱいの私には、あの世が存在するなど考えることも出来なかった。もちろんほかのクラスメートもいわゆる無神論で、だれも本当にAfterlifeが存在するなどということを信じもせず、考えたこともなかったはずである。死んで無にかえる、それがあたりまえの解釈であった。

 その当時からほとんど50年が経過した。

 私のこの領域、心霊現象の科学への関心は、1975年に同じクラスメートの一人がLeukemiaで病死するという出来事があってから、加速的に深まった。

 そしてそれから40年、私はやっと自分なりの結論に達したように思う。

―――結論―――

 Death死 は肉体がなくなるだけで、魂Soulは滅びず、次の次元(? 高度なエネルギーレベル?)に移行するだけである

 次の次元に移ったSoulは肉体を保持していたときに体験したすべてを保持する

 つまり、記憶をもち、意識があり、個性も性格も、感情もすべてそのまま保持する視力や聴力まで保持するというから、肉体とは何かということになるかもしれない。移行するときに物質的富だけが魂と関係なくなるだけで、それまでに精神的に身つけたレベルで次の次元に移行する。したがって、悪いことばかりしてきた魂が突如よくなるということはない。EarthboundSoul(地上にへばりついた魂、成仏できない、または家族に執着があって成仏しない魂)で、デタラメな人物は、死んでもいいかげんである。(Ouija Boardの危険性は、こういういい加減なEarthbound Soulがチャンス到来とばかり近寄ってきて、めちゃくちゃな情報を送り、それを神からのメッセージと解釈した不幸なひとびとは、悲惨な結果を招くことになった。)

 移行時に“お迎え”がくれば、やすらかに次の次元に移行できる。臨死体験が示し、Mediumが示すように、先に亡くなった近親者や友人の霊があつまって、次の時限に移行するSoul魂を“お迎えする”という話は本当のようである。お迎えが来れば、安心して従えばよいということのようである。これが臨死体験を大脳の化学反応で解釈するときに説明不可能な現象である。

 無神論者や宗教の影響で、地獄におちると信じている魂は、光を求めて移行することが出来ず、Earthbound Soul (地上にへばりついた魂)となる可能性が強い。Earthbound Soul の一つの現象の仕方は、Ghostである。幽霊現象は本当に実在する現象である。

 天界(霊界)とは空の上にあるのではなく、この肉体の持つエネルギー次元よりも高度のVibrationを発する状態のことであり、通常の人間にはなかなかCatchすることはできない。サイキックなひとは、その振動レベルを上げることが可能な人で、異次元の状態に居るSoulがコンタクトすることが可能となる(Soulとしては努力してすこし振動を落とすということか)。Meditation, Hypnosis その他の方法で自分の意識レベルをあげることによって、霊界と接触が可能になるようだ。霊界は肉体を保持しないエネルギー状態なので、ふつうのひとはそのままではコンタクトは無理で、夢見る状態(アルファー波)のレベルにいるときに、霊界からのコンタクトをCatchすることは起きるらしい。

 次の次元では“愛”がすべてを支配していて、どのSoulも限りない愛に満たされるのを感じる。

 ただ執着が残ったままのSoulは次の次元に移行するのが容易でない。地上に生き残ったメンバーと亡くなったSoulとの間の確執が解除されない限り、いつまでもEarthboundの状態にとどまる可能性がつよい。したがって、この世で生じた問題はこの世で解決しなければならず、死んですべてが片付くというものではない。したがって自殺は解決にならない(例外もあるが)。ここで大事なことは赦し、Forgivenessである。

 ではこの世での人間の生存理由、生きる目的は何か。なぜ人間はこの世で生きているのか。それは体験をするためであるといわれる。肉体を持った人間は、エネルギーだけになったSoulとくらべてさまざまなことを体験する。肉体があるために苦痛も快楽も恐怖も歓楽も体験することになる。死の恐怖を含めて。つまり、さまざまな体験を経て魂は成長するわけである。魂が成長するためにさまざまな体験をする、そして愛や寛容、赦しの大切さを学ぶということが、この世に生きている理由ということになるらしい。

 最近の情報では、魂が存在するのなら、もちろん生まれる前にも魂があり、魂は生まれる前に相談をして自分で親を択んで生まれてくるという。(そういえば最近読んだベックという人の書いた「仏教」という本(岩波文庫)の釈迦の伝記のところで、釈迦は生まれる前にどの親の元に生まれるかをほかの神様たちと相談し、最適の夫婦をみつけて(国王夫妻)、確認し、そのとおりに生まれてきたと書かれていた。これは今で言うPrenatal Plan(子供は生まれてくる前に、どのような体験を次の人生でするかを自分でわかって決めて、親を択んで生まれてくるという)である。いろいろな状態で子供が生まれ、場合によってはまだ若いうちに逝去するケースも沢山あるが、そういうような場合でも子供は自分がそうなるのを知って生まれてくるとか。それは経験・体験としてどういう意味を持つのかといえば、そうした不幸を体験したすべての関係者が喜びと悲しみ、苦悩、怒りその他を切実に体験し、世の中の見方がかわるということであるらしい。自分で苦しみや悲しみを体験しないと、人の苦しみや悲しみもよく理解できないということ。周りの人間が苦悩・悲しみを体験するというのは本当で、19歳になりたてでクラスメートが突然自殺したときに私が体験した空虚感、絶望感は、ある意味で私の存在を変えてしまったといえる。今では私が工学部の大学を中退して文学部の大学に移行したのは、このクラスメートの自殺を体験するためであったのかもしれないと思うほどである。

 そしてSoulが独立で存在するのなら、Possession(憑依 人に取り付く)もありうる話であり、Reincarnation転生 も起こりうる話である。先にあげた「仏教」のなかで、釈迦は転生を当たり前の事実として受け止めており、この転生をしなくてすむように修業するのが仏の道で、最高の境地に達した人は転生をしなくてすむと書かれている。釈迦にとって人生は苦悩の連続ということで、人々が苦悩を脱出できる道は、悟りを開いて二度と生まれてこないでよいようにするということであったらしい。

 聖書で“転生”が葬り去られたのは、コンスタンチン大帝のローマ帝国維持政策のためであるらしい。325年の二ケア会議、そして国教化、539年ユスチニアヌス帝の異教禁止令が教会キリスト教のその後の専横を産むことになった。教会組織にとって、死後また生まれ変わってくるなどという考えは教会存在を揺さぶることになるからである。このため13世紀ごろにアルビジョワ十字軍という異端征伐がおこなわれ(イノケンチウス3世 Innocent IIIの命令!)、転生を信じる無抵抗なキリシタン信徒1万人以上を焼き殺す事件が起きたりした。仏教は,ほかの宗教に寛容であることを思うと、一神教は、ひとつ間違えば、神の名で同じキリスト教の信者を異端の名で堂々と抹殺できたというところに恐ろしさがある。

 そうした教会側の苦労(転生のアイデアを聖書から消し去ろうと、何度も改ざんした)にもかかわらず、新約聖書を読めばイエスが転生を説いている箇所に出遭うわけである。

 さてSoul魂が意識も記憶も個性も、そして視力も聴力も保持しているということはどういうことか。人間の大脳は丁度あらゆる電波を整理し、再生するTV装置のようなもので、情報自体はエネルギーとして存在しているという説がある。死んでも記憶も意識もあるということであれば、大脳を持った肉体がなくなったあと、大脳と関係なく記憶・意識・情報がサイキックな人にアクセスできる状態で存在しているということである。ということは、大脳は情報再生装置のひとつで、それ以上のもので無いということであるのかもしれない。すべての情報はAkashic Recordに記録され、超能力者はそれにアクセスでき、たとえばEdgar Cayce(エドガー・ケイシー)のようなひとは、個人の現在だけでなく、前世の情報もとりだすことができた。Cayce は人が見た夢にアクセスして、その夢がどういう意味か分析できたという。

 そういえば、心臓と肺を移植した女性が無事生きながらえたが、なんと、臓器を提供した人間の体質や性向、ある種の記憶まで共有することになったという話である。最近はCell細胞レベルでその人の記憶や体質まで影響しており、いわば人間は頭脳といわず、体全体で意識し思考しているということがわかってきたようである。

そしてもちろん今では意識が、そして祈りが細胞に影響を与えることが出来るという事実は常識になっている。有名なPlacebo効果は本当である。ただの水を特効薬だと信じて服用した人は、特効薬を服用したひとと同じほどの効果をえるのはよく知られている。これは、そのひとの意識・信念が細胞に影響を与えたということである。

 

 William Jamesがアメリカ心霊現象研究学会を発展、維持させようとして苦労した19世紀末の意識状態にくらべると、現代のこの領域の意識状態は、なんと発展したことだろう。当時、テレパシーを信じるだけで大学教授の席を追放され、学会から葬られる状態であったので、偉大な哲学者・心理学者William Jamesの苦労は並大抵ではなかった。今ではTelepathyClairvoyantPsycho-kinesis などは当たり前になって、どうやらReincarnation, Possession, Past-life TherapyPre-natal-planといった領域が堂々と学者の間で論じられるようになり、いまや最大の問題はConsciousness意識 をどう扱うかということであるようだ。生理的に大脳を捜しても“意識”がみつかるわけでもなく、脳死の状態で、臨死体験者は意識を保持してOut-of-Bodyの状態で自分の体をみつめているということであれば、やはりMorphic Resonanceというか、意識はエネルギー状態のひとつで、大脳はただの再生装置のひとつで、再生は大脳がなくても可能ということが、Psychic現象が提示している問題かもしれない。

 私には今の科学はまだ発展途上で、Star Trekの状態になるまでには、たしかに300年、500年、必要だろうと思える。今の科学で解明できないから、ありえないとかインチキだとか迷信だとか平気でつぶやいている批評家・知識人が沢山居るのは困ったもので、もうすこしまじめに勉強してもらいたいと思う。ここでも小林秀雄は正しかった。知識人の堕落を非難し、今の科学の状態とその限界をよく理解していた。不思議が世の中に存在することを疑わなかった。“不思議”とは今の科学の時点で解明できないというだけで、いつかは解明されるであろう。知識人の理解度をテストするその試金石はCarl Jungをどう扱うかだと思う。(吉本隆明は落第であった。小林秀雄はもちろん合格。)私は、ユングはフロイトよりもはるかに人間をよく理解していたと思うし、大胆で、風評をおそれなかった人だと思う。彼自身がサイキックだったから、それができたのだろう。

 わたしは今ではSpiritualistという分類に属するのだと思う。Soulが存在すると認めるのがSpiritualistだと思う。先祖の霊を祭る日本人は基本的にSpiritualistである。仏教を無神論だというひとがいるが、それはユダヤ教のような絶対者としての神を認めなかった、必要としなかっただけで、自然の中に神を認めたわけで、すべてに神を見るとは、すべてに愛を見るということで、汎神論的な展開をした。唯一神でなく、愛が神であり、法則性、全一者、おおいなる光。したがって、この肉体が無くなれば、意識をもったSoul魂として次のエネルギー状態に移行する。私も(お釈迦さまが感じられたように)この世の中は苦しみと悲しみが満ちているので、転生はしたくないと思う。また生まれ変わったら大変である。仏陀もイエスも孔子もソクラテスも道元も親鸞も明恵も空海もマホメットも、みなマスターの次元に居るに違いない。そこは愛と寛容で満ちているに違いない。

 私の心霊現象の科学に対する探求はようやく結論に達したわけである。いまや私は、死はこわくないどころか、楽しみである。亡くなった友人知人親族に再会できることはもちろん、もしかして自殺や事故で亡くなった若い魂を救済する教師の仕事が私には向いているかもしれない。そうすれば転生しないで意味のある仕事が出来るということかもしれない。

 私はマルクスを否定したわけではない。今も哲学者のなかで、私にとって一番えらいひとである。私がマルクスから学んだのは主体性、弁証法、批判的意識、論理的展開などであり、それは旧ソ連が崩壊し、衛星国が崩壊しようと、マルクスに関係ないことであった。スターリン主義はマルクスとは全く異なる。毛沢東主義もマルクスとは関係ない。わたしがマルクスを訂正するのは、死んで無 ではなく、死んで次のより高度なエネルギー次元に移行するだけということがわかった、ということであり、それも弁証法的・科学的に思考することによって到達した結論である。

 2014年12月にOlsonの本を紹介したのが最後で、あとは殆どこの表題でブログに発表はしてこなかった。忘れてしまったのではなくて、素晴らしい本を読み続けるのに忙しくて、なかなか書く気分にならなかっただけである。英語の素晴らしい本が沢山ある。今後も私はこのブログで紹介していきたいと思う。         
 村田茂太郎 2015年10月4日

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