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12/06/2023

2023年の感想  12月6日 つづき その2

 

2023年の感想  12月 つづき その2

 2022年4月、日本の姉と電話で話したとき、自分の火葬の手配は済ませたのかという話になった。姉は父母の火葬から夫の始末まで、一心寺への奉納などすべて自分で手配を済ませ、自分のことも心配していない様子。そういうことに無知な弟・私に確かめたくなったに違いない。

 私は心情的にはいつ死んでもよい、火葬、灰はどこかにばらまくということで、さてだれに頼めばよいかという問題だけが残っていたが、姉の質問を手掛かりに、火葬に関してはここLos Angeles では Nepturne Society というところから、毎年案内状が届いていたから、それにしようかなと思うに至った。

 

 さて、そこで、親が熱心なクリスチャンであったが、なんと、火葬をワイフに指示して亡くなったエライ科学者がいる。20世紀最大の天文学者と言われているDr. Edwin Hubbleである。私は最近、彼の伝記を読み終わった。Edwin HubbleMariner of Nebulae By Dr. Gale E. Christianson 1995。

 Edwin Hubble ドクター・ハッブル は1889-1953 で、膨張する宇宙を発見し、63歳で亡くなったEinsteinChaplin, Aldus Huxley などと親しかった天文学者で、Mount Wilsonで得た資料を基に、膨張する宇宙を発見し、その偉業を記念して名付けられたHubble宇宙衛星が今も宇宙を飛び回っている。当時は天文学者はノーベル賞の対象にならなかったので受賞しなかったが、その業績は顕著である。

 

 その妻グレース・Graceは夫よりも30年生き延び、その間、忠実に夫の希望を守り続けた。夫Edwinの希望とは、I want to disappear quietly. 誰にも知らさずに消えてしまいたい ということで、There was no funeral, no memorial service, no grave. 葬式ナシ、メモリアル・サーヴィスも無し、お墓も無し ということで、Cremation Only 火葬のみThe copper box containing the ashes was buried in a secret place. (Page 358-359.)

 熱心なキリスト教徒の親に育てられたが、膨張する宇宙を発見し、地球上で生まれたキリスト教の信仰に納得いかなかったのであろう。無に帰るということで納得したに違いない

 さて私はこのHubbleのWish・望み 死をどう扱うか が気に入った。私はハッブルと同じアイデアで、葬式不要、メモリアル・サーヴィス不要、墓不要、火葬のみ、そして灰はどこか山か海、私は山を希望で、山に撒くということでNeptune Societyの担当者と話した。コロラドRockyの山に遺灰をまくという希望者が多いらしく、そういうこともやってくれるそうだが、彼らに頼むと500ドル余計にかかる由。したがって、私は誰かに近くの山の中に撒いてもらうほかない。小説・映画で有名なMadison Countyの橋の上から灰をまくというのがあるが、自分にとって思い出の意味ある場所に灰をまいてもらうというのも悪くない。

 私の場合は、ハッブル同様、静かに消えてなくなるのが希望で、日本に遺灰を送るなどは意味がない。山に撒いてミネラルが土の栄養になればそれで充分。

 

 さて、2022年4月に私のCremationの手配は終わったが、ワイフに関してはどう希望かわからない。私の手配完了の話をプリントして、あなたはどうするのかと聞いても何の返事もない。仕方なく私は11月に勝手に私と同じ要領で火葬の手配をした。ワイフは明らかにここLos Angelesで亡くなるはずで、費用は千ドルほど安く、3千ドルほどですんだ。そしてそのすぐあと、ワイフの緊急入院、そして介護ホームとなり、911 Callから3週間で亡くなった。まさに滑り込みセーフという感じで、MortuaryからCremationへとスムースに移行した。コロナ禍でなくなる人が多いのか、なんと3週間ほどあとで火葬が終わった。

 あとは遺灰の処分で、どうするのか。ワイフの甥に連絡したが、彼は仕事が忙しく、叔母の遺灰をPick upに来れないということで、この夏に予定したが、なんとCompanion のHana と Thumperが7月に相次いで亡くなり、私にとって甥の訪問どころではなくなった。それで郵送をするつもりでPackingも済ませ、郵便局にもっていったが、最後の時点で、このコロナ禍のせいで、日本政府は遺灰の郵送は厳禁とか。Mortuary直送だけOKとのこと。まあ、もう灰になり、甥の努力で先祖のお寺から戒名をもらったということで、いつ来てもよい、ということで、遺灰は私の家にとどまっている。命日にあたるころ、私は父の読み上げた 般若心経と仏説阿弥陀経 の録音データをPCから流し、ローソクと線香で冥福を祈る。

 ワイフは亡くなる一日前には意識がしっかりしていて「家に帰りたい」といい、亡くなった日の朝は雨が降っていて、ワイフに「今日は雨だよ」といったら、この日も意識はOKで「気を付けてね」と言った。それがワイフの会話の最後であった。まあ、意識があり、“気を付けてね” (雨の中のドライブのこと)がワイフの発した最後の言葉であったのは私にはラッキーであった。喧嘩別れとかでなくて良かった。その日の夜、ワイフは亡くなり、私に電話連絡したそうだが、しらない電話はとらないので、ミスし、翌日、いつものように介護ホームを訪れたら、Your wife  has passed away。(ミセスは昨夜亡くなった)ということであった。そして、私の知らない間Mortuaryに運ばれ、とうとう最後の姿を見ないで灰になってしまった。

村田茂太郎 2023年12月6日

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