グァダルーペ山脈国立公園Guadalupe Mountains National Park
をめぐって (テキサス)ーエッセイと写真紹介
El Paso, TexasエルパソからGuadalupeへの道は一本である。Montana
Avenueと呼ばれるルート180(62)がTexas Mountain DriveとなってGuadalupe Mountainsに達し、更にCarlsbad
Cavern National Parkへとつながっていく。(ちなみに、このTexas Mountain Driveというサインは、Big Bend National Parkへのルートにも、Van
Hornへのルートにも示されている。Van
HornからはGuadalupe,
Carlsbad Cavernへの道とBig Bendへの道とがあり、三つのNational Parkへのサインが出ている。)
カールスバード国立公園のほうが有名なせいもあって、エルパソから洞穴をめざすひとは誰も同じルートを辿り、グァダルーペの横を通り過ぎていくのだが、グァダルーペそのものの中に入っていく人は少ない。
1972年に国立公園となったこのGuadalupe Mountains National Parkは、Grand
CanyonやYosemite National Parkとは大いに異なる。たいがいのNational ParkはView
Pointsが沢山あり、ドライブ・ルートも整備され、中には観光バスじみたツアー・カーが中を走っていて、訪問客は労せずして、大体の観光を済ますことが出来る。
Guadalupeは別である。この国立公園にはレストランもガソリン・ステーションもホテルやロッジもない。Vista
Pointsはある。しかし、クルマでドライブはできない。つまり、この国立公園を味わうためには、自分の足で歩くほかないのである。これが、洞穴に行く手前にありながら、洞穴にくらべて、年間の訪問客が四分の一以下という実態を生む理由である。
そして、この不便ともいえる状況が維持されているのも理由があってのことなのである。つまり、このGuadalupe
Mountains National Parkは全米の50を超える国立公園の中でも、最も自然な、もっとも荒らされることの少ない、もっともオリジナルな自然のひとつとして残され、維持されているのである。そして、この山の中に入って、何マイルか歩いた人は、なんとなくその理由またはその必要性がわかってくる。
Guadalupe Mountainsは外から見ると荒々しい山肌をむきだしたドライで裸の山であり、砂漠の山以外の何ものでも無いように見える。しかし、いったん中に入り、いくつかのTrailsを歩くと、緑の樹のおい茂った砂漠のオアシスであり、あるCanyonに至っては、清流が流れ、Trailsが樹木の中を縫うようにしてめぐらされた、立派な森林があることを知って感動する。
“Mckittrick Canyonの秋はテキサスで最も美しい”と昔からいわれているそうである。私は1994年10月末に、実際おとずれて、それを確認した。テキサスにはめずらしい立派な森林が渓谷に沿って展開し、落葉樹が黄や赤に色を変えて、テキサス、あのあらあらしくドライなテキサスにいるとは信じられないくらいである。大阪の箕面や京都の高雄を思わせるような紅葉ぶりで、ロサンジェルスでさえ見られなかった本当の紅葉振りを心行くまで嘆賞でき、Guadalupeはいっぺんに私の大好きなパークとなってしまった。
Carlsbad洞穴は一度おとずれただけで、充分堪能したのに対し、このあと、私はGuadalupe
Mountainsには3週つづけて訪問し、1994年10月末から12月はじめにかけての50日間に計5回も訪れた。そして、いつも大満足して、片道2時間の道のりを遠いとも感じないのであった。
砂漠の中のオアシス。まさにその通りである。だからこそ、人工の手を加えない保護政策が必要とされる。
村田茂太郎 オリジナル執筆1995年2月、Word Input 2012年7月18日
グァダルーペ山脈国立公園を示す3枚のポスターを私はVisitor Centerで購入した。ひとつはChihuahuan Desertに城壁の如く、いきなりマイル・ハイ(Mile
High)の高さに聳えているEl
Capitanの雄姿であり、ひとつは、そのEl Capitanの特異な風貌をテキサス最高峰Guadalupe Peakから捉えた見事な光景で、私をGuadalupe
ぺあkへとかりたてたものである。アトのひとつはMckittrick
CanyonのAutumn Colorを示し、テキサスにこんなきれいなところがあるのかと、思わずひとをその幽谷に誘い込むような美しい写真である。どれもつくりものでない本当の姿を示している。
春夏秋冬と1年に14回も訪問し、Guadalupe Peakに2度登頂、世界最大の巨大な化石礁として2.5億年前の化石に富んだ特別のルート、ぺr見アンReaf
Trailにも上まで登った。海抜2500メートルのBowlと呼ばれるGuadalupe山脈の高台には、Ponderosa
Pineをはじめとする森林帯が広がっていて、コヨーテだけでなく、Mountain
LionからBlack
Bearまでいるという豊富な動植物分布を示しているが、ソコへも入り、春4月というのに、氷点下の風が吹くHunter
Peak(2550メートル)の頂上にも立った。Guadalupe Mountainsの中では困難なルートといわれているいくつかのルートをひとりで、ほとんどみな歩き回った。もっとも魅力的で誰でも簡単に歩けるMckittrick
Canyonへは1年のうちに8回も訪れた。
一体何が私をこんなにもGuadalupeに誘うのかと時折考えてみる。砂漠の中のオアシスがもつ魅力―世界的にも有名特異な地質、雄大さと繊細さを併せ持つ特異な光景、動植物の豊富さとWildernessの身近さ、そして粗野で荒々しい砂漠気候と自然環境の中で健気にも生き続けている生物達。(ちなみに、ここだけにアメリカで見つかるHorned
Lizard3種のすべてが生存しているのである。私はNew Mexico GrantsのMount Taylorで一匹見つけ写真に撮ったが、接写でないので、よくわからないものとなった。)
Mckittrick Canyonの清流には手や足を入れてはいけない事になっている。他のParkの豊かな川と違って、砂漠の中にかろうじて涸れることなく流れている清流なので、その中に棲む生物が、人間の手足で汚染され、生態系がかわることを恐れるのである。
それ程、この国立公園はFragileな(もろい)、人間の手でスグにでも破壊されそうな環境の中に立っているのである。Guadalupe
Peakから眺めたEl
Capitanの頂上部は人を誘う魅力があり、ルートはないが、フランクリン山脈で道なき道を登頂するテクニックを学んだ私には、簡単に、その先端部まで辿れそうである。それで、Bisitor
CenterにいるRangerに訊ねたところ、すばらしい答えがかえってきた。そのため、その後、私は既にあるルート以外はよほどのことがないかぎり、歩かないようになった。
そのSupervisorはこう応えたのである。「Yes, technically, it’s possible. But
ethically, it is not.」
技術的には問題ない、しかし、個の荒々しい自然の中で何とか生き延びてきている植物達を踏み倒し、地盤を緩める行動をするあなたの人間性がとわれることになるのだ、というのが返事であった。そして、私は全く、その通りだと思った。
従って、この国立公園はWildernessをエンジョイするパークである。ここは人間にとって便利なものーレストラン・ホテル・ガソリンーステーション、そういったものは一切ない。ここの自然の美しさ、雄大さ、繊細さ、そのすべてを味わうことが出来るひとは、この貴重な自然の中へ、自分の足で入っていった人だけである。ツアーカーもケーブルも何もない。自然のTrailsがあるだけである。Backpackersは沢山の水を持って入らなければならない。ここの自然は、Wilderness
Ruleのひとつの典型として維持されている。ここの国立公園のほとんどの領域が、Congressが定めたWildernessとして保存する地域に指定されている。
15000年前の最後の氷河期の遺物といえるPonderosa Pine, Douglas Fir, Aspenの森林が、この砂漠地帯ともいえる荒涼とした自然の中に残されていること自体、奇跡的とも言えるほど貴重な存在であり。今、われわれがそうした自然をエンジョイしているその姿を、そのまま後世の人々もエンジョイできるようにと、あとあとまでアトが残るような人工のものは、何一つ加えることもなく、何一つ置き去ることもないように指導されている。従って、荒々しい気候はそのままで、ほとんどの場所にはシェルターもない。
4月や11月で山頂部は厳冬の厳しさを示すと同時に、夏には酷暑を示す。登山客は衣類・食物・飲み物、登る時間、登る季節、すべてに用意周到でなければならない。そういうWilderness保存のルールをわきまえ、自分の足で歩き回る覚悟の出来た人には、この国立公園は、その美と豊かさを惜しみなくさらす。切り立った美しい断崖、道を蔽うほどに森林の茂った峡谷、虹鱒がのびのびと泳ぐ清流、Chihuahuan
Desertをはるかに見晴らす素晴らしい眺望、頂上部に茂る見事なPonderosa Pineの森林、しばしば木陰に見かけるMule
Deerの姿、各種の鳥の美しい鳴き声、古生代ペルム紀(Permian)の化石礁、そして秋の谷をうずめる、Mapleをはじめとする落葉樹の豪華な紅葉、300種近い鳥類、70種近い哺乳類、60種を超える両生類、爬虫類そして11000種にのぼる昆虫類が、このGuadalupe
Mountainsに生育しているという。
不毛の砂漠どころではない。全米の国立公園の中で、最も豊かで野生的で自然で、荒らされていない公園のひとつなのである。ここでは、自然が主であり、人間はただViewerとして存在するだけで、自然はそのありのままの姿で残されているのである。
砂漠、峡谷、高山―コロラドのロッキーとグランド・キャニオンとメキシコの砂漠の要素のすべてを吹くだ素晴らしい大自然、それがグァダルーペ山脈国立公園である。有名な国立公園、Yellowstone, Yosemite, Grand
Canyon など、年間何百万人という観光客が訪れるのに対し、このGuadalupeを訪れる人は年間20万人以下で、その多くはVisitor
Center周辺を眺めるだけで、そのうち10%の人だけがハイキングTrailsに入り、本当の自然の美しさ、素晴らしさを味わっているのが現状である。私が9月にDevil’s
Hall Trailを歩き、12月にPermian
Trailを一人で歩いたときも、出遭ったのはひとりまたは一組のハイカーだけであった。Taranturaが昼日中に、Trailの真ん中に出て来るほど、Wildernessが残されている、本当に楽しい公園である。
村田茂太郎 オリジナル執筆1996年3月23日、Word
input 2012年7月18日
グァダルーペ山脈国立公園の素晴らしさをあじわうためには自分の足で歩くしかない。ここにそのコースのいくつかを紹介したい。
1.Guadalupe Peak Trail
これはStrenuous(骨の折れる)とかDifficultとかといわれている。Texas
最高峰への登頂コースで、ふつう6~8時間と本に書かれている。5820Feetから8749Feetへ4.2マイルで登る。約900メートル登る事になる。海抜2662メートルというのは、カリフォルニアやコロラドの山に比べると、それほどのことは無い。しかし、ものの本によると、このGuadalupe
Peakへの登山は全米の中で最も見事な登山のひとつであり、みし身体に自信があるなら、何をおいてもまずTryすべきものと書かれている。
私の体験では、この登山がその後のすべての登山の基準となった。登頂に約2時間、下山に約1.5時間、トータル4時間以内で帰り着いた。従って、往復9マイルほど、高度差約1000メートルの山は、何とか登れると判断し、TaosのNew Mexico
最高峰Wheeler
Peak(13161Feet,
4012メートル)、GrantsのMount
Taylor(約3450メートル)、Gila WildernessのWhite Water Baldy(約3300メートル)、New MexicoのSierra
Blanca Peak (約3660メートル)、Big Bend National Parkの最高峰Emory
Peak(約2380メートル)と、みな無事に登ることができた。
Wheeler Peakは実際は約15マイルと大変な苦労を強いられたが、あとは大体10マイル前後で、高度差も1000メートルまでである。Guadalupe
Peakに登頂した人は、何かをやったという忘れがたい体験の記憶を一生持つことが出来るだろうと書かれている。Trailはしっかりした道がほとんど頂上までついているため、エルパソのフランクリン山脈登山にくらべれば、はるかにラクである。植生がドンドン変わっていく様は、Mckittrick
Canyonと同じであるが、頂上に立てば360度の豪華なViewが楽しめる。El Capitanの印象的な光景も見事である。ただ、風がものすごくきつく、ながく頂上にとどまっておれない。ともかく、Difficultといわれているが、私の体験では、それほどのことは無い。歩きやすい道で、2時間のNon-stop Walkで頂上へついたくらいで、元来、私は重力に抗してあがるのは苦手な方なのである。ともかう、Guadalupe
MountainsはChihuahuan Desertにの中に、いきなりマイル・ハイの高さに浮き上がっているので、まさにPeakへのコースは登山に値するコースであると言える。
2.Mckittrick Canyon Trail
Guadalupe Peak Trailはすばらしい登山コースであるが、何しろ4マイルほどの間に900メートルほど上がるので、誰でもというわけに行かない。その点、Mckittrick
Canyonは老若男女誰でも無理しないで歩けるコースであり、Trail自体が生物学的、地質学的、美的に特筆に価する。特に秋の紅葉は今では世界的に有名になっているらしく、この時期だけは、ふだん静かな公園もにぎやかになり。実はこのCanyonは一年のいつ歩いてもすばらしいのである。このMckittrick
Canyonだけで観察された哺乳類の種類が58種にのぼり、鳥類は260種といわれている。そのうち、40種ほどは、このCanyonに生育しているという。植物にいたっては、ドライな砂漠性から高山のものまで、その多様さにおいては全米でもトップに数えられるくらい様々な植物が生い茂っている。従って、このCanyonは秋の紅葉や化石礁の地質構造だけでなく、植物や動物の生態系においても、ユニークな位置を占め、それがFragileな環境の中で、Balanceを保ちながら、なんとか成り立っていると言う意味で、全米の国立公園の中でも特に貴重な自然を作っていると言える。
特に、このCanyonには清流が湧き流れているが、この豊かでない流れが時々、不思議にもところどころドライになっているにもかかわらず、ほとんどいつも同じところには清らかに流れ、その中をRainbow
Trout(虹鱒)が泳いでいるということ自体、特筆に価する現象である。Trout自体は1930年代にJudge HunterがIntroduceしたのがうまく成功して、そのOffspringsがアチコチで生きながらえているらしいが、流れ自体は本当に不思議である。
このGuadalupe Mountainsの中で、自然の水があるのは、このMckittrick
CanyonとSmith Springs周辺だけのはずで、動物達の生存にも貴重な役割を果たしているわけで、Guadalupeのどの流れにも人間は手や足をつけてはいけないことになっている。これは、Fragileなもろい自然をこれ以上破壊しないようにと気を遣っているわけで、それ程、このCanyonは大切なのである。
3.Smith Spring Loop Trail
2.4マイル。あまり時間のない人が、砂漠の中の国立公園がどのようなものか、その一端を知りたいと思えば、簡単につかめるのが、このコースで、Headquarterから1マイルドライブしたFrijole
Ranchのパーキング場から歩き出す。このSmith
springは本当に砂漠の中のオアシスで、Limestoneから驚くほど豊かに、水が自然にあふれ出て、小さな池を作り、小さな流れを作っているため、その周辺は落葉樹が生い茂り、シダまで生育している。ここは、動物達のほとんど唯一の水のみ場(Mckittrick
Canyonなどのほかに)、なので、朝晩は動物達がみなやってくるらしい。私はこの近くのtらいlを横切る5頭のMule Deerを見た。手頃なハイキングで、誰でもGuadalupeの魅力の秘密を味わえる素晴らしいShort
Trailである。
Frijole Ranchから0.3マイル東に歩けば、Manzanita Springという小さいが水が涸れることなく湧き出ている泉Springがある。ドライなこの周辺で、このManzanita Springは貴重な水資源であたため、この付近に棲んでいたMecalero Apache Indianとそれを追い払おうとしたU.S.
Cavalryが1878年ごろ、血みどろの闘争をしたという歴史が刻まれているところでもある。騎兵隊がこなければ、水と食物があるこの周辺で平和に過ごせたはずであるが、侵入者の騎兵隊には敗北するほかなかったわけで、生き残ったIndianはRuidosoのIndian Reservationに移っていったのであろう。この泉のほとりで、はるかかなたのEl
Capitanをみやりながら、ぼんやりしていると、そのような悲惨な事件がおきたとは信じられないほどであるが、水は命を奪い合うほどの貴重な資源であったのだ。もちろん、今もそうであるが。
村田茂太郎 オリジナル執筆1996年3月31日、Word Input 2012年7月19日、加筆
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Guadalupe Mountains From Salt Flat |
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Guadalupe Mountains, El Capitan |
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El Capitan |
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Visitor Center & Hunter Peak |
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Hunter Peak |
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El Capitan from Guadalupe Peak |
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Guadalupe Peak |
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Hunter Peak from Guadalupe Peak Trail |
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Guadalupe Mountains National Park |
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From Guadalupe Peak |
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Guadalupe Peak Trail |
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Visitor Center & Vamp Ground & Trail Head |
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Mckittrick Canyon |
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Mckittrick Canyon Fall Color |
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Mckittrick Canyon Fall Color |
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Mckittrick Canyon |
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Mckittrick Canyon Trout in River |
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Crossing Mckittrick Canyon River |
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Manzanita Spring &El Capitan on Background |
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Mckittrick Canyon |
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Mckittrick Canyon -Dry river |
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Mckittrick Canyon、Grotto |
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Mckittrick Canyon, Hunter's Cabin |
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Guadalupe Mountains National Park, El Capitan |
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Manzanita Spring & Nipple |
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Mckittrick Canyon |
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Devil's Hall Trail |
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Devil's Hall |
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Mckittrick Canyon |
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Mckittrick Canyon-Pratt Cabin |
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Mckittrick Canyon |
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At top of Guadalupe Peak, Back is Hunter Peak |
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From top of Guadalupe Peak |
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El Capitan from Guadalupe Peak |
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View from Peak Trail |
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Famous monument on top of the Guadalupe Peak |
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Mckittrick Canyon, trout river |
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Mckittrick Canyon |
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Mckittrick Canyon、From trail to Notch |
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Guadalupe Peak |
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