春のBig Bend National Park をめぐって-Texas エッセイと写真紹介
私は過去二回、秋のBig Bend National Parkを訪れた。(1997年4月現在)。丁度、Thanksgiving Holidaysの頃である。11月はじめであれば、きっと紅葉が見られたに違いないといつも思ったが、Thanksgivingの連休は11月下旬か11月末であるため、特に休暇でもとろうとしないかぎり、ベストの頃に訪れるのは難しい。しかし、何時来ても、Big
bend National Parkは私を満足させ、次回の訪問を期待させるものをもっていた。
Big Bend National ParkはChihuahua Desertに属しているため、訪問するのは秋と春がベストと言われてきた。夏はなんといってもDesertは暑すぎるのであるが、それでもBasinのChisos
Mountainsに入ると緑も多く、素晴らしいハイキング・ルートは1年を通じていつでも楽しめる事になっている。(この文章執筆時は、わたしは夏に訪問したことがなかった。その後、4度、7月8月に訪問し、夏に訪れるのがベストだと思うほど、夏のBig
Bendはすばらしかった。つまり、本当に1年中、いつ訪れてもすばらしい、雄大な国立公園であることがわかった。)
今回、私ははじめて春のBig Bendを訪れようと決心し、スグにとびだしていった。春は砂漠のサボテン類がいっせいに咲き始め、見事だといわれていたし、春はBirder達にとって、全米のNational
Parkの中でも、鳥類が最も多く見つかる(400種類を超える)時期であり、一度は様子を見てみたい思いながら、なかなか決心がつかなかったのであるが、去年(1996年)から、テント・キャンプをひとりでセットすることを覚えたため、どこででも泊まれるという自信が出来、ともかく行こうと決心した。
そして、土曜日の朝5時にひとりで出発し、翌日、日曜日夕方、無事、大変満足して帰ってこれた。そして、Big Bend National ParkのなかのCamp場でテントをはることが出来れば、1泊するだけで、すばらしい旅行が楽しめるということを私は確認することができた。そして同時に、春のBig Bend も秋とは違った味があって、すばらしいということを知ることが出来た。
El PasoからBig Bend National Parkへは、クルマで約350マイル(560KM)、5~6時間のドライブである。El
Paso-Van Horn-Marfaとくる。ここまでは約210マイル、3時間のドライブである。このあと、ルートは2つに別れる。MarfaからAlpineに行き、そしてBig BendのTerlinguaへ向かえば距離的には短くて、約110マイル、2時間でBig
Bendに達することが出来る。しかし、私はいつも別のルートをとる。Marfa-Shafter-Presidio-Lajitas-Terlingua-Big
Bend National
Parkのコースである。なぜなら、このルートは、Scenic
Driveといわれているルートであり、中でも、Presidio-Lajitas間は、全米の中でもOne
of the Best Scenic Drivesといわれているくらい、素晴らしいドライブであり、いつ走っても、私は見事だと感心してきたし、今回もやはり、ここをドライブしているだけで、Big
Bendに向かったのは正解であったと思ったものであった。Presidioを過ぎて、Big
Bend Ranch State Natural(State Park)の領域に入ってから、Lajitasに至るまでが、Most
Scenicと言われる部分で、Big Bend National Parkの雄大さ、素晴らしさを予感させるものである。今回、春で、新緑が美しく、Rio
Grandeと荒涼たる山嶺が美しい対照を見せていて、まことに感動的な光景であり、私は何度もクルマをとめて、その美しい印象を心に留めた。Marfa-Presidio間も、雄大な原野と山並みがひろがるScenic
Driveである。
Big Bend National Parkに入ると、3つのScenic Drivesを走る事になる。Terlinguaに近いところに、Santa
Elena Canyonに至る、有名なRoss Maxwell Scenic Driveがある。片道約30マイルで、Chisos Mountainsの横のDesertを通って、Rio
Grandeを象徴するSanta Elena Canyonに至る。途中、Sotol Vistaという眺めのよいView
Pointがあり、私はいつもクルマをとめて、Big
Bendの雄大さを心から味わう。
丁度、Ocotilloの赤い花が咲き始めており、ドライブ・ウエイ沿いには、ところどころBig Bend
Blue BonnetsのLupineに似た美しい紫の花が咲き誇っていた。ところどころ黄色い花が咲いているところもあり、あちこちに姿を見せているPrickly
Pear Cactusも美しい花を開き始めていた。Rio Grande沿いの樹木の緑といい、Ocotilloの赤、Blue
Bonnetsの紫と、さすがに華やかで、Desertとはいえ、Creosote Bushも青々していて、全然、暑さを感じさせず、春も本当に素晴らしいと心から思った。
Santa Elena CanyonはBig Bendの中にある3つのCanyonの1つであり、(他はMariscal
Canyon, Boquillas Canyon),テキサスで最も有名な景観のひとつとなっているところである。メキシコ側に聳える1500Feet(約450メートル)の絶壁Mesa
de AnguilaとRio Grandeがその流域に展開した豊かな草原が見事な対照を見せて広がっていて、壮大な城壁の門を眺める感じがする。 Canyon
Overlookからは、Rio Grandeの出口に当たるSanta Elena Canyonの切り立った断崖を眺めることが出来、同時に、同じRio
Grandeが流域に広い湿地帯・草原をつくりながら、かなたに流れ去るところを見る事になる。そして、Rio Grandeの流れ近くまでドライブでき、サンタElena
CanyonへのTrailを歩く事になる。
春はやはり水量が少ないのか、このTrailにはいるのに、以前は3本の丸太を渡らねばならなかったが、何と今回はこの部分はドライで、平気でTrailに入ることが出来た。今は、Raftingの季節ではないと思っていたが、Santa
Elena Canyonを出てくるRaftsをいくつか眺めることが出来、少しうらやましく思った。もう、私は、このSanta
Elena CanyonのOvernight Raftingをしなければ、Big Bendがわかったことにならないと思うに至っていたからである。去年(1996年)は、Rafting
CompanyにReserveまで入れていたのに、思わぬクルマの事故にあって、RaftingをCancelせざるをえなかった。春よりは秋の方がRaftingはよいと書いてあったため、出来ないと思い、はじめから用意しなかった。次回は必ずやるつもりである。Santa
Elena CanyonTrailは往復1.7マイルで、Rio Grandeと絶壁、そして素晴らしい眺めを味わえる手頃なTrailである。
Santa Elenaを済ませたアト、Basinに入ろうとしたが、まずCampが可能かどうか調べておこうと考え直して、Panther
Junctionに向かい、ソノ手前のChevronでガソリンを補給した。BBNPのなかでは、ここしかガソリンが手に入らないと思っていたが、Rio
Grande VillageでもStationはあった。Visitor Centerで訊ねると、Rio
Grande Village Camp場は、まだ空いているという。予約してくれと言うと、それはできない、First come, First servedだというので、Basin行きは翌日ときめ、まずキャンプ場でテント場を確保する事にした。
ひとりでテントを山の中に張るときの心細さ、淋しさを去年(1996年9月)、アリゾナの山の中で(Pinaleno Mountains,
Soldier Creek Camping)イヤと言うほど味わったので、Rio Grande Villageのキャンプ場に着き、沢山のRVやテントが公園のような空間に散らばっているのを見て、私は喜んだ。まわりには野生のニワトリのような鳥が沢山歩いているし、Roadrunnerがうろちょろしているのも見てとれた。私は7ドルを支払い、テントを張って自分の場所をKeepしてから、ここから5マイル足らずのところにあるBoquillas Canyonに向かった。Boquillas
Canyonは変化に富んだところで、Rio Grandeの流域に広がる草原の雄大さを心から楽しめると同時に、その絶壁にSand Dunesが出来ていたり、インディアンの遺跡があったりして楽しいところで、私は必ず、このBoquillas Canyonへ寄ることをいつも楽しみにしていた。Panther
Junctionからのドライブも20マイルほどで、正面にそびえるSierra del Carmenの絶壁が美しい層を見せて広がっている空間をドライブするのは、とても気持ちよく、前回は夕方、猪豚に似たJavelina(Peccary)が道路を横切るのを目撃することも出来た。
レストランがなく、ビールとBagelでわびしい夕食を済ませて、早朝からのドライブの疲れをとろうと、早くテントに入り、数時間たって目が覚めると、ものすごい風が吹きまくっている。時刻は夜中の2時半であった。春の嵐。このキャンプ場のスグ横の茂みの向こうにはRio
Grandeが流れている。激しい風の中を黒い影が通り過ぎたりするのをテントの中から眺め、懐中電灯で照らすと、3頭ほどのJavelinaがキャンプ場を横切っているところであった。私はテントを2つ持ってきたが、安い簡単なテントを使ったため、突風で吹き飛びそうな感じである。もう充分眠ったと思った私は、クルマに入り、テントがちゃんと立っているのをバックミラーで確認しながら、座席で6時過ぎまで過ごし、空が明るみ始めた頃、起きだして、Basinに向かう事にした。動き始めるクルマはほとんどいなくて、私はこの前の時と同様、広大なTexas、Big Bendの空間の下を気持ちよく、ゆっくりとドライブして、Chisos Mountainsへの道に入っていった。
Chisos Mountainsは、このParkの中に存在する全く独立した火山系で、Chihuahua Desertから孤立したSky
Islandをつくっているため、貴重な生態系を生み出すと同時に、Very ScenicなViewを各所で生み出していた。手頃なハイキング・ルートが沢山あり、砂漠の中とは信じられないような森林が出現していて、Junper、Pine,Oakが主とはいえ、砂漠のCactus類と同時に、場所によっては、高山に生えるAspenまで見られるくらいで、多くのTrailsは木の下道を通ることがあり、夏でも快適に歩けるすばらしい山系である。
この前、来たときは、私はこのChisosの最高峰Emory Peak(7835Feet,2388メートル)に登頂し、Guadalupe
Peak同様、素晴らしい眺めと感動を味わった。StrenuousとかDifficultとかいわれる往復約9.5マイルのTrailで、一生の感激となるようなハイキングであった。今回、私ははじめからLostMine
Trailを歩こうと決めてやってきた。ハイキング・ブックの著者Lawrence
Parentによると、“One of my Favorites in Texas”ということであり、距離も往復で4.8マイルというので、3時間ほどで充分楽しめると判断し、7時過ぎから歩き始めた。そして、私もLawrence
Parentの言を確かめる事になった。
Panther Junctionから西に3マイルの地点でBasinに入る道があり、そこから5.4マイルのドライブで、Lost
Mine TrailのTrail Head Parking Areaに着く。このBasin Driveもまたすばらしい。砂漠性植物帯からGreen
Gulchと呼ばれる緑の谷あいを山越えする形で、Basin
Driveはつ続いてゆくのだが、まわりの砂漠から、ここに入ると、本当に見事だと思う植生と景観が展開していく。この前、Emory
Peakを登ろうと早朝、このBasin
Driveをドライブしていたときには、White
Tailed Deerが2頭、道を横切って、ゆっくりと消えていった。
ここは、小さな規模に見えるが、閉ざされたひとつの山脈でできており、そのEcosystemの中には、Black
Bear, Mountain
Lion, Bob
Cat、 White
Tailed Deerなどが常住しているのである。最高峰が2400メートル足らずで余り高くないように聞こえるが、Rio Grandeが海抜600メートルのところを流れているから、川面からの上昇率としては1800メートル近くある事になり、これなら立派な高山に匹敵するだけの気象変化は起こりうるし、緑の森林帯が形成され、豊富な動植物が生育可能環境が成立するのである。雨量もまわりの砂漠に比べて2-3倍は降るわけで、丈の高い樹木が立派に生え茂っているのを見ると、余計に感激する事になる。
そして、このLost Mine Trailは終点までは2.4マイルである。5760Feetの地点から登り始めて、6850Feetの地点まで、約300メートル登るだけなので、本当に家族でハイキングするのに丁度適している。そして、そのTrailからの眺めは、何と素晴らしいことであろう。本当に見事な景色が展開する。Trailはしっかりとつくられていて、冒険するようなところはどこもないー一部、頂上部を除いて。Trail
HeadにおいてあるSelf
Guided
TourのBrochureを25セントでPick
upして、ナンバーをFollowしながら歩くと、このChisos
Mountainsの植生が手に取るようによくわかる。本当に素晴らしいTrailで、豊富な鳥の鳴き声を楽しみながら、私は頂上部に向かった。ところどころ、眺めによいところには親切にベンチまでセットされている。Big
Bendを訪れて、時間のない人は、せめてこのTrailの最初の1マイルだけでも歩くべきだというのが一般の定説で、それ程、このTrailはViewがすばらしい。ところどころ、険しいSwitch
Backはあるが、時間さえかければ、本当に誰でも上まで登れるハイキング道である。
帰りに、鳥の説明と観察をしているBirderのグループとすれ違ったが、ほとんど70歳前後の人たちであった。ともかく、ゆっくり歩けば誰でも上まで行ける道である。険しい登りが過ぎると、ほとんど平らなところに出て、アトは終着点に向かってくつろぎながら進んで行く。そうすると切り立った岩場が見える素晴らしい眺望のところに出てくる。私は鳥の声だけが聞こえるSereneでCalmでMagnificentな光景を心から嘆賞し、平らな岩に足を投げ出して、30分近く、じっとまわりの眺望を楽しみ、静かでクールな、心和むひとときを楽しんだ。一組のカップルだけが静かに岩に腰掛けて、眼前の見事な景観を味わっていた。Lost
Mine Trailは本当にすばらしいハイキング・コースである。私もLawrence Parentの意見に異議はない。
約3時間費やして、Lost Mine Trailを楽しんだアト、Basinに入り、レストランに行って、まともなランチを食べようと思ったが、まだ10時半で空いていないという。私は、ではAlpineで食べようと決め、Big
Bend National Parkを後にする事にした。ルート118はAlpine-Fort Davis-Kentと走って、I-10に入る。従って、私はルート118とI-10でエルパソに帰る事に決め、まず、Alpineに達した。Alpineは、私はいつもほとんど夜しか知らなかったので、はじめて、明るい牧歌的な街並みを目にしたような気分であったが、おいしそうなレストランが見つからない。それでは、Davis
MountainsのふもとのFort Davisでと決め、ガソリンを入れるだけで、Davis Mountainsに向かった。
Davis MountainsはTexas Alpsといわれている。アルプスのような険しい、尖った山ではなく、なだらかな丘のような山続きなのだが、Chisos
Mountainsよりも高く、Guadalupe Mountainsに次いでTexasで二番目に高い山脈で、どしらかというと高原風であり、雨が他よりもよく降るので、Franklin
MountainsやGuadalupeの外側の山肌と違って、Davis MountainsはJuniper等の樹木がまばらに茂って青々しているのである。
ここは、テキサスで一番気象条件が天体観測に適しているということで、頂上のひとつにMcDonald
Observatoryがつくられて世界的に有名なところであり、ふもとに近いFort Davisはテキサスで一番住み易い気候のところをといわれ、海抜1500メートル以上ある街なので、TexasでHighest
Townともいわれている。(5050Feet). もともと、1854年にFortが作られ、その跡が今ではHistoric
Siteとして残っている。
McDonald Observatory(6800Feet)へのドライブはテキサスでHighest Driveということで、その碑がチャンと道路わきに建っている。イギリスかどこかの牧歌的な高原というイメージがいつまでも残るのがDavis
Mountains Scenic Loopを、この前、一周半して感じたが、今回もやはり、同じ印象を持った。Wildlifeも豊富らしい。
私はルート118を辿ってDavis Mountainsを超え、Kentに向かって一路北進した。KentでやっとI-10に入り、30マイルほど走って、Van Hornである。Sierra
Blanca (テキサスの)で休憩して、この山も登る価値があるかもしれないと考えながら、禿山のように見えるが、フランクリン山脈のような険しさは備えてないSierra
Blancaを写真に収め、エルパソに向かった。そして、エルパソのいつも週末に行くChinese Restaurantに入って、やっと腰を落ち着けることが出来た。
今回は、Big Bend National Parkの中でキャンプができたため、すばらしい1泊旅行とすることができた。前回はLodgeもCamp場も混んでいて、仕方なく、私は100マイルはなれたAlpineで泊まり、早朝また100マイル走って、Big
Bendの山に登るという形をとらざるを得なかった。一度、Basin
Lodgeで泊まりたいと思うが、何ヶ月も前から予約するというのは苦手である。フリーで行って、空いていればどこででも泊まれるという旅が私は好きだ。今回、本当にラッキーであった。Scenic
Drivesはみな良かったし、春の花盛りもよかった。しかし、最も印象的であったのは、Lost Mine Trailであった。私は必ず、もう一度、このハイキングをエンジョイするつもりである。
(その後も、何度もBig Bend National Parkを訪れ、Basin Lodgeにも何度も泊まり、Basinでのキャンプも何度も実行し、Lost
Mine Trailも何度もハイクすることが出来た。結局、実行できなかったのはRaftingで、それは心残りである。予約までしていたのに、クルマの事故のためにCancelしなければならなかったのは皮肉である。)
(添付の写真はSpringではなく、さまざまな季節の写真です。主に、夏。)
村田茂太郎 オリジナル執筆1997年4月4日、Word input2012年7月27日
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Famous view of Rio Grande, became US Stamp
At Rio Grand State Natural, State Park |
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Rio Grande before entering National Park |
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Scenic Drive to Santa Elena CanyonScenic Drive to |
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Rio Grande & Santa Elena Canyon |
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Santa Elena Canyon
Cliff over 450 Meter |
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Scenic Drive to & from Santa Elena Canyon |
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Chisos Mountains |
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Scenic Drive to Basin |
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Basin Window view |
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Basin, Casa Grande |
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Sierra del Carmen |
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Basin Lodge |
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Basin Window sunset |
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Hot Spring Ruin |
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Samta Elena Canyon |
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Lost Mine Trail |
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Lost Mine Trail |
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View from Lost Mine Trail |
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View from Lost Mine Trail |
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View from Lost Mine Trail |
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Lost Mine Trail |
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Window view from Lost Mine Trail |
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From Lost Mine Trail |
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From Lost Mine Trail |
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From Lost Mine Trail |
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View from Lost Mine Trail |
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View from Lost Mine Trail |
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View from Lost Mine Trail |
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Santa Elena Canyon |
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