ある盆栽クラブのメンバーの感想
わたしが女房にすすめられて、ロサンジェルス San Fernando Valley にある、或る盆栽クラブのメンバーになったのは、丁度、二年前です。
クラブは毎月一回、マスターのうちに集まり、或る特定の時期を除いて、自分の盆栽の手入れを行い、マスターと何人かの指導者のひとにご教示していただきます。
わたしはメンバーになってから、一度も欠席せずに過ごしてきました。
メンバーのかたは、もちろん、盆栽が好きでやっておられるので、みな植物について詳しくご存知で、わたしは毎回なにかを学ぶことが出来ます。
或る特定の時期というのは、夏にある、盆踊りのカーニバル・ショーにこの盆栽クラブが毎年、場所を借りて、盆栽の展示会を開催し、同時に鉢に整形した盆栽のセールスをおこなうので、その準備が必要ということになるからです。
私の正直な感想として、この盆栽ショーがあることで、この二日にわたる盆踊りに集う人々にPositiveな効果を与えていると思います。いわば、日本文化のひとつの成果を享受できる機会を参加者の皆様に提供しているわけで、ただ、食べて踊って終わりというのでなくて、なにかいいものを見たという良い印象を持ってそれぞれの家に帰ることが出来、また翌日もう一度見てみようという気になるのだと思います。
7月はじめの盆栽ショーに製品としてだすため、今まで育ててきたJuniper、Cottonwoodなどの盆栽をまず既に購入してある鉢にうつし、土を盛り、肥料もやって、これで充分という状態にします。また、はさみを使って、適当に裁定も必要です。売れる状態にするためには、私のようなクラブ・メンバーとなって1-2年のずぶの素人には無理なので、先生クラスの人が事前に準備をすませます。
ショーはローカルの盆踊りの時期、今年2012年は6月30日土曜日と7月1日日曜日の二日間ひらかれます。San
Fernando Valley のJapanese Community Center (Branford Street)で,会場には盆栽ショーと大きく看板を掲げて展示をします。各メンバーが2-3品持ち込みます。
売るための盆栽は、まとめて、入り口近くの中央においておきます。値段は25ドルと40ドルで、これは私の正直な感覚で言うと、実費だけで、儲けにも何もなっていません。コストそのままで分け与える形になっています。本当はもうすこし値段を上げたいところですが、そういうわけにゆきません。こういう趣味の品に25ドル・40ドル支払って購入していただけるだけでもありがたいことだと思っています。
盆栽クラブというのは金儲けのクラブではありません。植物の手入れをするということは、気分のよいものであり、そうした金にならない趣味の芸にあつまるひとは、ほとんどみな、あくせくしない、優しい人たちばかりで、実はわたしがこうして2年にわたって、一度も休まずに集まりに参加しているのは。そうした人たちの和やかな会話を楽しめるということで、これがイライラさせられるようなものであれば、一度きりで終わっていたでしょう。
年をとると出かけるのがおっくうで、月一回の第四日曜日がくると、どうしようかとか、ためらったりするほどなのですが、マスター宅にあつまって、参加者の顔を拝見し、挨拶を交わすと、すぐにここの穏やかなムードにひたることができて、やっぱり来てよかったと思うのがいつものことです。
盆栽にはすべてルールがあり、基本形とか時期とかいろいろ学ぶことがあります。裁定必要な用具とかというのもいります。わたしは、どうもいつまでたっても初心者のようです。盆栽をうまくするには技術はもちろん必要ですが、美的感覚が大切です。いいセンスをもっているかどうかが、できあがる盆栽の魅力をうむかどうかということになります。
センスが無い人は、普通の人が見てもつまらない作品しかできないでしょう。
わたしは盆栽クラブにはいって、盆栽は木をいじめるのではなく、うまく手なずけて、自然な形で盆栽と人間の合作をつくるのだと思うようになりました。盆栽の形にするために、ばさばさとカットした枝も、わたしは挿し木をして生かすことを学びました。ほとんどの木は挿し木が可能なようですが、ただ時期があり、鉢植えの時期、挿し木の時期といったことを学んだのも盆栽クラブでのご指導のおかげです。
自然を愛する人にとって、植物の手入れのひとつである盆栽はなかなかすばらしい技芸だと思います。
去年の盆栽ショーの写真など添付してご覧に入れます。
村田茂太郎 2012年4月5日
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