1990年の文章です。
村田茂太郎 2012年2月29日
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私はこれまで、ファン・レターのようなものを書いたことが無かった。いつも、つまらないファン・レターを書けば、相手の人が迷惑するだけだろうと思い、本当に一度も書かなかった。私は小林秀雄に会いたかったし、書きたかったが、これは小林秀雄論を書いてからにしようなどと考えていたため、とうとう不可能になってしまった。ロス・マクドナルドの場合も同様である。サンタ・バーバラ在住とまで分かっていて、会いたいと思ったが、結局、それも不可能になってしまった。私はロス・マクドナルドのリュ-・アーチャ-を主人公とする探偵小説約二十篇を英文で全部読んで、いつかは会いたいと思っていたのだった。
私の敬愛する、これらの人々が亡くなってしまってから、私はこれではいけないと心から思った。自分が本当に感激したり、好きになったら、直ちにそれを表明しなければ、手遅れになってしまう。
あさひ学園の生徒や親の反応も、私に手がかりを与えてくれた。生徒や親から、私の指導を肯定的に受け止めてくれる便りをもらったとき、私は本当にうれしくなり、元気がでてくるのを感じるのであった。
このことから、私は、ファン・レターの内容にもよるが、まじめなものであれば、きっと相手は元気付けられるに違いないと判断し、あまりネガティブに考えないで、自分が本当に何かを感じたら、それを即座に素直に表明するようにしなければならないと決心した。
そして、1989年の7月、私は、Dr. Linus Pauling の Vitamin C に関する本を読んだ。”How to live longer and feel
better” である。私は直ちに、Paulingの指示に従い、実験的にトライし、実際に効果があるのを確認し、友人たちに、その情報を伝え、約三十冊購入し、プレゼントしてきた。
そして、とうとうDr. Paulingに手紙を書く事にした。きのう、返事が届いた。サインはスタンプらしく、本人は旅にでているみたいで、その点、すこし残念だったが、私の感想を、Pauling側の人が確実に受け止めてくれたわけで、やはり手紙を書いてよかったと思う。
それには、ナント、Dr. Murata が同僚と日本語に翻訳したと記されていた。
(記 1990年2月1日)村田茂太郎
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