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10/13/2012

小学6年生―社会科 日本の歴史 のための拙文集(2)わたしと「歴史」


小学6年生―社会科 日本の歴史 のための拙文集(2)わたしと「歴史」
わたしと「歴史」

 

 私は小学生の頃、大人になったら何になりたという夢をいくつかもっていた。

ひとつは歴史学者・考古学者になりたいというもの、ひとつは天文学者・地球物理学者になりたいというもの、ひとつは生物学者になりたいというもの。結局、今になってみると、私はそのどれにもならず、小学時代の夢からみれば、失敗の人生となった。しかし、この小学生の頃の夢というのは大事なもので、伸ばし育てるようにしないといけないとつくづく思う。

 

 私は大学時代、最終的に哲学を専攻し、その哲学において、私は自分の小学生の頃の夢であった私の“関心”の対象が統一されていくのを味わうことが出来た。宇宙の発生から地球の誕生、そして人類社会の発展という全宇宙史的に人間社会を捉えようとする私の視点は、小学生の頃の関心をそのまま発展させる形となっていた。

 

 したがって、「歴史」は子供の頃から大好きで、ラジオで当時放送されていた“私は誰でしょう?”の歴史上の人物というのは、ほとんど答える事ができた。当時、小学生であったけれども、“歴史”に関しては、高校や大学入試テストで登場する人物のことまで私は詳しく知っていた。本が好きで、貸し本屋の本を借り出して、片っ端から読んでいたせいである。

 

 では、そのキッカケは?私はソロバン塾に小学2年生から中学3年生のはじめまで通っていた。今、思い出しても、これはなつかしく、すばらしい記憶の一部となっている。そのソロバン塾に図書が備えてあった。その中に、時代物のマンガがたくさんあった。楠木正成や山中鹿之助、平賀源内や中江藤樹、そして大原幽学や樋口一葉まで、みんなマンガで興味深く、時代や人物が描かれていた。大原幽学などという大学入試の勉強で初めて登場するような人物のことを私が小学生の頃、詳しく知っていたのも実はマンガのせいだったのである。

 

 ともかく、マンガ人物伝で興味を覚えると、より詳しく知りたいために貸し本屋へ行き、単行本のそれぞれの伝記を借り出した。私はなんでも徹底的に自分で納得するまで調べるたちなので、随分、いろいろな本を読み漁った。また、家の中には、「源平盛衰記」という本があった。これはマンガではないので、小学低学年の頃はむずかしかったが、高学年の頃には愛読していた。

 

 歴史の面白さというのは、こうした人物と歴史の動きを全体的に知って、はじめて味わえるもので、源平の時代の興味深い動きを知らないで、年代と人物名と事件だけ覚えてもつまらないし、意味もないと私が思うのも、人物の動きと背景を知るとイメージで生き生きとその時代を捉えることが出来るのに対し、名前だけではイメージがうまれてこないからである。

 

 ともかく、そろばん塾の歴史マンガは私の歴史への関心を育ててくれた。今も私は“歴史”は大好きであり、日本だけでなく、各国の歴史に興味を持っている。また、私は人物の伝記や自伝・日記・研究書も大好きである。すぐれた伝記を読むと、その人物だけでなく、関係してくる人物や時代の流れ、社会の動きといったものが、イメージとして捉えられるほどよくわかる。そして、歴史は鏡であり、人物伝もまたそうである。それらは、将来への方針や取り組む対象、あるいは刺激や情熱を生み育ててくれる。諸君も、あさひの図書を大いに活用して欲しい。

 

1994422日 執筆

 

村田茂太郎

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