オルガン山脈をめぐって (New Mexico) その1
(既に 「回想のオルガン山脈」 という文章と写真集をブログで公開していますが、以下の文章は1996年、まだFreshな時点で書いた紀行文です。その1 から その4 まで順番に公開します。)
Interstate Highway I-10をアリゾナからニューメキシコに向かってドライブするとき、あるいは、I-25をエルパソから北にドライブするとき、ラス・クルーセス(Las
Cruces)の正面、または東側に屹立する雄大な山脈が誰の目にも入ってくる。2740メートル(9012Feet)を超えるOrgan
Needleを中心としたOrgan Mountainsである。Grand Tetonの鋭鋒よりも鋭いと思われる鋸状のギザギザを見せたこの山は、一見、近寄りがたい様相を呈しているため、はじめてこの地に足を踏み入れたスペイン人の探検隊の一行は、この山にSolitude孤独・孤高という名前をつけた。パイプ・オルガンのイメージからオルガン山脈と呼ぶようになったのは大分アトになってからである。(Las
Sierras de Soledad). Organ Mountains 長さ17マイル、幅8マイル。
フランクリン山脈の北に位置しているので、大ロッキー山脈の一部にあたり、特に、その山頂部一連の鋸状の大岩壁のため、Rock
Climbingのできる山として有名であり、そのことを象徴するかのごとく、どのTrailの入り口にも、Warning警告のサインが示されている。「この山ではたくさんの人が死んだ、決して能力以上のことをしようとしてはいけない」とか、「眠っているガラガラ蛇を起こさないで」といった意味のことが書かれている。
White Sands National Monumentに向かってドライブするとき、必ずこの山脈が目に入り、わたしはいつもそのPhotogenicな(写真写りの良い)山肌を興味深く見つめていた。遠くから眺めている限り、険しい山脈、そして西側のドライな山肌という印象だけで終わりかねないが、この山脈の中に入ると全く違った感想を持つようになる。
1994年の10月にはじめて西側のBaylor Passの方向からこの山に入ったとき、わたしとその仲間は、10頭ほどの鹿の群れを見かけ、帰り際にも山ろくをうろついている数頭の群れを見かけた。最近、私はもう少し本格的に探訪しようと決心し、ガイドブックに従って、まず、Aguirre Springs
National Recreation Areaへ向かった。
ルート70の最高地点San Agstin Pass(5719Feet)を過ぎて、1マイルいかない地点に、このAguirre Springsを示すサインが目に入る。従って、峠を過ぎたら、スピードをゆるめて、一番左側のLaneをドライブしていれば、ミスすることはない。狭いTwo
Lanes Driveを何マイルか走ると、オルガン山脈の東側の山ろくに達する〔約6マイル〕。Camp
Groundに近づくにつれて、One Wayの狭い一本道となり、出口に向かってLoopする形をとっている。間近から見たオルガン山脈のその光景は全く見事である。すばらしい山岳風景が展開している。
私は1996年3月、はじめて、このAguirre SpringsからPine Tree Trailという一番ポピュラーなTrail(約4.5マイル ループ)を歩いた。気に入って、その翌週も、またここへやってきて、同じTrailを今度は反対方向に歩いてみた。何度眺めても見事な景色であり、動植物が豊富で、こんな近くに、こんなにもすばらしいところがあった知って、心もウキウキしてくる。4.5マイルのLoop
Trailは困難なく、誰でもがハイキングした気持ちになって、気持ちよく歩ける、ほどよい距離であり、新鮮な空気を吸いながら山の中を歩く素晴らしさはたとえようがない。
テキサスのGuadalupe Mountains同様、植生がドライなサボテン、ユッカ類から、Oak、 Ponderosa
Pine, やBig
Tooth Mapleへと移り変わっていく様がよくわかり、切り立った岩壁の美しさと共に、自然の素晴らしさを確認させてくれる。野生動物も豊富で、各種の鳥の鳴き声のほかに、トカゲや蝶、リス、鹿などを見かける。Mountain
Lionも居るようであり、クマもいるというが、よほど運の良い人でないとチャンスはない。
このオルガン山脈は西側は太陽が長時間あたるので、植生もドライなものであるのに対し、東側はOakやPine, Juniper等の森林を保持している。従って、それにふさわしい動植物が棲息、繫茂している。
Aguirre SpringsはFederalのBLM(Bureau of Land Management)が管理しているのに対し、西側のDripping
SpringsはBLMとNature Conservancyが管理している。どちらも、クルマ1台3ドル相当のFeeを払わねばならない。(1996年当時)。しかし、その価値はある。どちらかというと私はASのほうが好きである。Camp
GraoundやPicnic Groundもよく整備され、ハイキングをしなくても、ピクニックするだけでも、本当に身体も心も休まるような、美しい景色がまわりに見てとれる。少し、高台になっているため、White
Sands、Alamogordoの風景もよく見え、山岳風景とは対照的な光景も素晴らしい。
El Pasoから約1時間のドライブでこの山の中に入れるので、本当にいいところを見つけたと思う。ここだと、家族連れでも気軽に楽しめる。ハイキング・コースを歩いていて、子どもから70歳くらいのひとまで、様々な人に出遭った。といっても、そんなにたくさんの人がいるわけではない。Trailの半分はいつもほとんど誰とも出遭わない静かな山歩きであり、終わりに近づくにつれて、何人かのグループと出遭う程度である。私はGuadalupe
Mountains National ParkのMcKittrick Canyon Trailが大好きで、何度も歩いたが、その半分の距離のところに、手頃でMcKittrick
Canyonに匹敵する、すばらしいハイキングTrailを見つけ、これからは、いろいろな季節に訪れて、動植物の生態や季節の夜変化を観察しようと決心した。
Dripping SpringsへはI-25の出口、University Avenueを東側に下りて、15マイルほどドライブする道か、I-70のオルガン村近くのオルガン山脈に平行に走っている道を辿るかであるが、どちらをとても、砂利道が最後の2マイルほどひろがっていて、ドライブは要注意。Aguirre
Springsのほうはアスファルトで走りやすい。
BLMの人と話したところ、Camp Groundや山の中のPrimitive Campsiteで自由にOvernight
Campをしてよいという。ハイキングの本によると、ここはすばらしいところで、時間をかけてゆっくり楽しむのが良い、2-3日は過ごしたいところと書いてある。野生動物は早朝や夕方、夜でないと活動しないので、私はいつかテントをもちこんで、オルガン山脈の静寂と野生を味わいたいと思っている。
村田茂太郎 執筆 1996年3月10日
オルガン山脈 Las Cruces I-10からのView |
オルガン山脈東側 入り口に向けて |
オルガン山脈東側から見たBaylor PeakとAgstin Peak |
オルガン山脈東側 Pine Tree Trailから |
オルガン山脈東側 |
オルガン山脈東側 Pine Tree Trail |
オルガン山脈東側 |
オルガン山脈東側 帰り道 |
オルガン山脈 西側 Visitor Centerへの道 |
オルガン山脈西側 Dripping Springs Trail |
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