オルガン山脈をめぐって その4-雪のオルガン山脈など
1996年3月30日の土曜日に、もしかしてGuadalupe Peakに登れればと思って、National
ParkのVisitor Centerへ行ったが、クルマを降りると、冷たい風が吹いている。これは危ないと思い、急遽スケジュールをかえて、まず誰も歩いていないSmith
Springsに向かった。短いループで〔2.5マイル〕、景色は変化があり、Limestoneの間から、本当に見事な清水が湧き出て、きれいな池をつくっていて、なるほど、ここへは動物達が集まるはずだと思った。このSpringsやManzanita Springをめぐって、インディアンたちは血みどろの戦いをやったが、US
Armyには勝てなかった。
人はいなかったが、Mule Deerは何頭か山道を横切って、私をうかがっていた。禁猟地帯なので、別に人をおそれている気配は無い。そのあと、いつものMcKitterick
Canyonへ行った。Grottoまでの往復7マイルを歩いた。もう春と思って訪れたのだが、まだ落葉樹は冬枯れたままで、ふだんは茂った樹木で谷のせせらぎの音しかきこえなかったところも、谷の流れの様子がよく見えた。鳥が鳴き、コヨーテらしきものも見かけることが出来た。冬枯れの渓谷もまた味がある。ほとんど誰も歩いていないこの素晴らしい自然を、私は心行くまで嘆賞した。いつものTrout虹鱒はいつのまにか3倍ほどの大きさになっていたが、どうしたことかたくさんは見かけなかった。ここはGolden EagleやHawkもPeregrine Falconも飛んでいるから、人間の手で釣られなくても、危なかったのかもしれない。
3月31日には、White Sands National
MonumentのNature Trailを歩き、そして、Three
RiversのPetroglyph Parkへ向かった。Tularosa BasinをいつものRuidoso、Ski
Apacheのほうへ曲がらず、ルート54をそのまま北に向かって17マイルほどのドライブで、このPetroglyphにつく。その間、Tularosaの何も無い空間を走るのは気持ちよい。向かって東側(右側)に、Sierra
Blanca Peakが見事な姿を見せて聳えている。PetroglyphのHillにのぼり、今から約1000年ほど前のインディアンが岩にのこした幼稚な絵をいっぱい見たが、私一人、一番高い丘の頂上まで登り、そこまでPetroglyphがあるのを確かめた。しかし、Petroglyphよりも、雪が消えたSierra
Blancaの姿の方が本当に素晴らしく、私はハイキングの本では、登山の季節は5月からと書いてあるが、雪が反対側もなくなっていれば、来週にでも登れるのではないかと思った。それで、Three
Riversを出て、いったん、Ruidosoに入り、Inn of the
Mountain GodのLake越しに、Sierra Blanca
Peakを眺めると、ほんの少し雪が残っているところもあるが、ほとんど裸のようになっているのを知り、いよいよ来週は登れるかなと思うに至った。
4月4日、5日と、エルパソをはじめ、West Texas, New
MexicoはSnow Stormに襲われ、ドライな季節が続いたエルパソ、ルイドソ一帯にとっては本当に慈雨となった。5日午後、アパートへ帰る途中、フランクリン山脈の上半分が雪に蔽われているのを見つけ、此れはすばらしいと思った。6日朝になっても、まだ雪が残っているのを確かめた私は、今日は、これではSierra
Blanca PeakもGuadalupe Peakも雪と氷で危険で、しばらくは行けそうにない、今日はオルガン山脈に行くのがベストかもしれないと考えた。オルガン山脈のPine
Tree Trailなら、たとえ山道に雪があっても、無事に歩けるに違いない。そう決心すると、登山の用意をし、冬山でも登れる支度はして、まずLomart
Marketに寄り、コーヒーと菓子パンを買って、I-10Freewayに入った。フランクリン山脈の南も北も本当に雪で壮大な姿を見せている。私はこれはチャンスと考え、まず、Transmountain
Roadをルート54のところまでドライブすることにした。そして、フランクリン山脈を充分味わってから、またI-10に戻った。
オルガン村には雪が積もっていた。San Agustin Passが5719Feet(約1700メートル)で、私が歩くPine Tree Trailは5000Feetのところから400メートルほどは登ることになるので、雪があるのはまちがいないとうれしくなる。
今日は、たくさんのハイカーが来ると予想したのか、Aguirre
Springsを管理しているBureau of Land Managementのスタッフが4-5人入り口に控えていて、私が通りかかると、スグに寄ってきた。私は窓につけたAnnual
Passを見せた。サンキューということで、スグにいつものパーキング場へクルマをつけ、登山にかかった。Pine
Tree Trailを時計回りに歩くことに決めた。
オルガン山脈の切り立った荒々しい山肌のアチコチに雪が残り、谷にはたくさん積もっている。Pine Tree Trailを歩き始めると、ほとんどの山道の両側には雪が残って輝いている。PineやJuniper, Oakの枝にも雪がいっぱいつもっている。山道はいつもドライなのに、今日は適度に湿っている。時には雪を踏んで行かねばならないところもあった。ドライな気候がつづいていて、アチコチの山の動物や植物のことが気になっていたが、今回の雨・雪でふだんはドライな谷にもホンの少し水が流れ、春の息吹を感じさせる樹木の新芽や若葉、そして草花がきれいな葉っぱを出しているのをたくさん見つけ、この雪がまさに慈雨となったことを知った。
久しぶりの湿り気を喜んでいるのか、今日は鳥の鳴き声も豊かで変化に富んでいる。ホンのわずかのハイカーとすれ違うだけで、ほとんど誰とも出遭わない山道に広がる山岳風景はMagnificentといえるもので、本当に見事なものであった。
4.5マイルのハイキングの距離は丁度手頃で、エルパソからの距離も丁度1時間であり、私は本当にいいところを見つけたと、うれしく思いながら、すばらしいハイキングを楽しんだ。チョットわき道にそれて、小さな峰に登ることも可能であり、Rockyな肌触りとすばらしいViewを楽しめるルートもあり、私は今回このルートは三度目なので、少しサイドTripを楽しんだ。そして、いつもは2時間のところを3時間かけ、充分にこの身近で壮大な山岳風景を楽しんで、出発点に無事帰り着いた。
オルガン山脈の中心部や陰の山道にはまだ雪は残っていたが、太陽に露出しているまわりの山々の雪は溶け、オルガン山脈の西側にも雪はほとんどなくなっていた。フランクリン山脈も雪はホンの少ししか残っていなかった。Happeningのようにして起きたSnow Stormが生み出した瞬間の雪山風景を瞬間的とはいえ、オルガン山脈の中に入ることによって、身近に味わうことが出来、私の即座の反応が生み出した今日の雪のオルガン山脈ハイキングを心からの満足で終えることが出来た。ここは秋もよいということをBig
Mapleの落ち葉を眺めながら私は考えた。
村田茂太郎 1996年4月6日 執筆
ここに添付した雪のオルガン山脈の写真はこの紀行文の当時のものではありません。Scanするまえに、アルバムを倉庫にしまって今では見つけるのが大変です。雪のオルガン山脈がどのようなものか、ご参考までに別の日の写真を添付しました。このあと、西側のDripping Springsの雪景色を訪れたりしましたが、みなScanできないで倉庫にしまってしまいました。ここに添付の写真はみな西側のものです。
2012年11月26日
雪のオルガン山脈 西側 |
Dripping Springs Trail |
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