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6/13/2012

Hawk Watch (鷹の観察) をめぐってーエッセイならびに写真紹介


Hawk Watch (鷹の観察) をめぐってーエッセイならびに写真紹介

 正式にはDiurnal Raptorsと呼ばれる“Hawks”の多くは、秋にはMigrate(渡り)する。アメリカ北部からメキシコ、中央アメリカ そして時にはペルーまで移動することが知られている。そして彼らは1日に200マイル近く移動することがある。

 出来るだけ消費エネルギーを少なくして移動するために、ほとんどのHawksは山間部の上昇気流を利用して高く上がり、自らのエネルギーをほとんど消耗せずに長距離を飛びこなす。上昇気流は山間部のどこでも出来るわけだが、Hawksにとってそのルートがベストだと思われるコースが見えないFreewayの形で存在していて、毎年、決まったようにHawksはそのコースをとって南に移動していく。

 これが“Hawk Watch” を可能にさせるわけで、アメリカ大陸のEast Side には、これで世界的に有名なスポットが生まれ、Hawk Mountain (Pennsylvania)とつけられているところもある。

 各地のHawk Watch Spotに毎年、渡りの頃になると、Hawk Watch Internationalという組織がプロのHawk Watcherを何人も送り出す。

 Hawksは食物連鎖の頂点に立つ肉食動物で、このHawksの生存数の移り変わりが、生態系を正確に反映するものとして、この地球環境の観察に貴重な資料を与えてくれるのである。特にアメリカ合衆国にとどまらず、中南米に移動するため、アマゾンの森林破壊や各種の病気そしてPollution, DDT等の害などが正確にわかるので、Hawk Watchは、その筋では大事な仕事となっている。

 しかし、Hawksは普通の人間にとっても驚嘆すべき見事な生きものである。私はTVNatureシリーズでNorwayOspreyがフィヨルドにいる魚をあしにしっかりつかんで飛び去る場面を見て感動したことがある。百発百中といえるほど、No Miss でやりとげたのである。何度も。鋭い目、鋭い爪、ものすごい飛翔力、完璧に調和した姿、たくましく美しい知的な動物。最近、特にこのHawk Watchの人気が上昇したのも納得がいく。

 Southwestにも、このHawk Watchで有名なHot Spotsがある。一つはユタのWellsville Mountainsだそうであるが、これはエルパソから遠くて話にならない。もう一つが、New Mexico のManzano Mountainsである。

 Manzano Mountains はAlbuquerqueのスグ南にある山脈で、Sandia Mountains のつづきと見ることも出来る。Rio Grande沿いに、Socorroの東からはじまって、Albuquerqueまで続いている山脈で、最高峰のManzano Peak は3000メートルを越す。

Audubon Societyのメンバーとなっている私のところに“Roadrunner”と称するエルパソ区域のSocietyからの連絡ニュース紙が時折届く。9月末ごろ、Manzano Mountainsで土日とHawk Watch をやるとの記事であったので、私は参加する事に決めた。目的地まで約3時間半のドライブである。

 事前にメンバーの責任者と連絡をとり、地図をもらって、では現場で会おうといって別れ、当日(土曜日)の朝、私はInterstate Freeway I-10, I-25 をSocorro目指して走り始めた。Socorroを通り越して、その北、約30マイルのところにBernardoいう降り口があり、ルート60がずっと東にのびている。このルート60をMountainairというところで左折してルート55に入る。ルート55はManzanoという街で右折して、ルート337となり、Albuquerque近くのTijerasへとつながっていく。このルート60Mountainairの辺りから、TiherasまでがNew MexicoScenic Drivesの一つとなっていて、秋は特にすばらしい。近くにSalinas Pueblo Mission National Monumentもある。

Rio Grande沿いは、海抜1300-1400メートルほどであるが、Mountainairは2000メートルの高さがある。Manzano Mountainsの東側一帯は、従って、高度2000メートルを超える高原のようなもので、なんとなくエルパソのFranklin Mountains に似ている。違っているのは、緯度が北で、高さも3000メートルに達しているため、Juniper, Fir, PineSpruceと繁って、青々していることである。

約束に従って、New Canyon Camp Groundに着いた。メンバーのクルマはないが、キャンプの跡が見える。Hawk Watchに行っているに違いない。11時にあう事になっているから、また下へ迎えに来るに違いないが、クルマで自分であがろうか、それともハイキングして上に行こうかと迷った末、歩いて登る事に決めた。ハイキング・トレイルは一つの山に登るまではすばらしかったが、どうやらHawk Watchの山とは全く違うところに出てしまった。Crest Trailを伝って、目的地へ達しなければならない。アトでわかったことだが、ここのCrest Trailは余り人が歩かないせいもあってか、わかりにくくなっているところがあり、要注意だという。アトの祭りであった。Crest TrailというサインをFollowして歩き出したはずなのに、スグわかりにくくなって、ナント、私はケモノ道に迷い込んでいた。

2時間近く、道なき道といくつもの断崖をのりこえ、コワイ思いを何度もして、必死の思いで、やっとCrest Trailを探し出した。そのあとは、無事、疲労しながら、Trailを辿って、Capillar Peak が見えるところまで、ぐったり疲れてたどり着いた。

Gavilan Trail のサインが出ている。ここは、既に約2900メートルの高さ。秋空で紅葉もしており、オープン・スカイで素晴らしい。Trailの入り口から1マイル足らずの美しい道を努力して歩き続けると、大きな犬が2匹、迎えに来てくれた。Hawk Watchに集まった人の犬であった。私がやっと着きましたと顔を出すと、車があるが姿が見えないのでどうしたのかと心配していたと話してくれ、ともかく私の参加を歓迎してくれた。Manzano Mountainsの Hawk WatchFourth of July (山の名前)とCapillar Peak との間の谷の上空を、各種のHawksが北東から南西に向かってわたっていく姿を観察するところであった。

Birderのひとりとして、Audubon Society のメンバーの一人になったとはいえ、ズブの素人の私にはまずHawkらしきものを見つけるのがタイヘンである。アトで知ったが、この日、土曜日だけで約600近くのHawksを数えたということであった。

このHawk Watchの崖のところにトータルで20人近い人間が散らばって、双眼鏡で観察していた。この中にプロが2-3人居た。彼らは連絡を取り合って、お互いにCountを確認していた。私にとっては点にしか見えないものに対して、“Red Tailed Hawk”とか”Sharp-Shinned”とか“Cooper’s”といいあっているのである。そして、Hawk Watchに来るくらいのBirder達は素人でもよく知っていた。プロと同様、点に見える物体に対して”Red Tailed”とか“Golden Eagle”とかいって、それがちゃんとプロによって正しく確認さえていた。みな立派な双眼鏡をもち、中にはすばらしい撮影機までもっていた。そして私の持ってきた鳥のガイドブックは余り使い物にならないことを教わった。一人の女性は、本がぼろぼろになるほど全部何度も読み、IDをするスポットをちゃんとマスターしていた。成る程、趣味といえども、これくらいにしっかり没頭して勉強しなければ、本当にHawk Watchを楽しむことも出来ないわけだと悟った。

これは私にとってはじめてのHawk Watchであると同時に、Birder達の中に加わったのもはじめてであった。そのアト、私は“Hawks in Flight”という題の本が出ているのを見つけ、飛んでいる姿を見て、種類を見分けることも、成る程、こうやってしっかり身に付けておけば可能なのだと思って、早速購入した。

Hawksといっても数は多い。大きく分けてButeosといわれるRed Tailed Hawkの仲間、AccipitersといわれるSharp-shinned  Hawk、 Cooper’s Hawk, Northern Goshawkの仲間、FalconsといわれるAmerican Kestrel, Peregrine Falcon等の仲間、Kites類、Harris類、Eagles, Vulture, Ospreyの類がある。

従って、その日、600近く数えたHawksも、みな細かくRed-Tailed Hawk 何羽、Golden Eagle何羽、Turkey Vulture何羽、といった具合に記録されていた。私もGolden Eagleを見ることが出来たし、翌日、日曜日、別のところでHawksが網にひっかかっているのをオペラグラスで見ることが出来た。Hawksをつかまえて、Numberingをし、放すそうである。

土曜日夕方、New Canyon Campgroundでテントをはってから、中心メンバーを囲んでキャンプ・ファイアーとなった。9月末の山の中、高度2450メートルは、夜が更けていくにつれて冷えこんでいく。コートをはおり、手袋をしても寒いくらいであった。いつもひとりで淋しくテントを張っていた私は、自然の好きな人たちとこうしてキャンプ・ファイアーをつくり、いろいろな話を聞くのも楽しいとしみじみ思った。私が熊のWarningがでていることを指摘すると、2-3年前、同じ場所で、夕方6時ごろから熊があらわれて、夜中の12時までの間に、3回出没し、フードが手に入らないので、フラストレーションを起こした熊は、アイスボックスを蹴倒して森の中に逃げていったという話があった。かわいい話である。

ルート66からはHawk WatchサイトであるGavilan Trailへ行く道 Forest Road245は舗装されていない、あらあらしい道で、曲がりくねって、ゆっくりとしか走れない。しかし短い距離で深い森林の中へと入っていくため、これはこのまま舗装されていないのがよいと私は判断した。ルート55からルート337 と、北へ上っていくと、左手に秋の紅葉で有名なFourth of July Mountainが見える。Manzano MountainsSandia Mountains、みな東側はなだらかなSlopeとなって、高山の気配は全く感じられないが、森林は美しい。気候もよく、高原らしい魅力に富んでいる。今回の旅は、Hawk Watchはじめての私にとって、充実した週末となった。

村田茂太郎 執筆 1997年4月20日 エルパソ、テキサス滞在中

Word input 2012年6月13日



























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