“Coronado Trail” Arizonaーアメリカ南西部のScenic Driveをめぐってー紀行文と写真紹介
アリゾナの東部、ニューメキシコ州に接する部分のうち、Interstate Highway I-10とI-40にはさまれたところは、アリゾナといえば普通人が抱くイメージからは程遠い、見事な森林地帯となっている。New
MexicoのMogollon Mountains(マギヨン・マウンティン)から、Arizona Flagstaffに向かって200マイル、Colorado
Plateauが深く落ち込んでMogollon Rim(マギヨン・リム)といわれる森林断層ををつくり、その全体にわたって、Apache-Sitgreaves
National ForestとIndian Reservationとが占めて、一大自然林をつくって、アリゾナの自然の多様さを示し、魅力を一層大きくしている。
このI-10とI-40の間を、New MexicoのBorderに沿うようにして縦に走っているドライブ・ウエイがルート191、“Coronado
Trail”といわれているScenic Driveである。アリゾナのSpringervilleからCliftonまでの123マイルをソウ呼ぶ。そのうち、私が今までドライブしたのはAlpineからClifton,
Safford, Lordsburgで、90マイルほどであるが、このAlpine-Clifton間にあるCurve(カーヴ)が460といわれ、距離的には90マイルとか123マイルであるが、全部ドライブするのには、4-6時間は必要といわれてきた。(その後、私は何度もSpringervilleからCliftonまで、Coronado
Trailの全行程をドライブした。このエッセイは1997年4月に書いたもの)。
1540年ごろ、メキシコのGovernorであったスペイン人Francisco Vasquez de Coronado(29歳)がSeven Cities of
Cibolaを求めて探検隊を組織し、今、彼の名前がつけられたCoronado Trailの近くのインディアン以外前人未到の地に踏み入って、苦労しながら、Santa
Fe まで辿りついた。その部隊は歩兵70、騎馬武者250、インディアン1300(含む黒人)、馬1000頭、Pack Animals500そして羊をひきつれた、当時としては大部隊であった。コロナドの部隊が、ヨーロッパ人として、Grand
CanyonとColorado River, Rio Grande 上部、Pueblo Indians、ロッキー山脈、大平原、Arkansas
Riverなどを発見した最初の人間であった。やがて、New
MexicoのSanta Feを中心にして、スペイン人によるアメリカ居住、植民地化が始まるが、それはEastでのMayflower号の上陸よりも大分前のことであった。
今、このCoronado Trailを走りながら、450年前の大部隊の移動を思いやると、同じ道ではないとはいえ、砂漠を超え、山を越え、谷を超え、非常な苦労をしたのは間違いないことで、ある種の感動に襲われる。(現在のCoronado
Trailの50マイルほど西側を進んだという。)
このScenic Drive は、海抜3464Feet(約1000メートル)のCliftonから、9184Feet(2800メートル)のBlue Vista、Alpine近郊の9400Feet、Hannagan
Meadowの9500Feet(約2900メートル)まで、約2000メートル近く高度差を移動する。つまりLower
Sonoranの砂漠性植生から、CanadianのAspen林まで変化するのを目撃する事になる。その間、数々のCamp場、ハイキングTrailsがあり、変化に富んだ景色が展開する。特にBlue
VistaというView
Pointから、本当に青みがかって遠くの山々が見えるさまは、感動的である。夏など、雷雲が湧き、スポット的にシャワーになっている様がよくわかり、とても興味深い。Trailsには苔が生えているところがあり、沢山雨が降るんだとうれしくなってくる。(ドライなエルパソに住み慣れてきたせいかもしれない。)
Coronado TrailはSpringervilleからCliftonまでを指すが、わたしはAlpineからCliftonまで下っただけである。(この文章を書いた1997年4月当時)。Alpineは8550Feet(約2600メートル)の森に囲まれた草原で、近くにLuna
Lakeがあり、牧歌的で名前にふさわしいところである。AlpineはTexasのBig Bendの近くにもあり、これも牧歌的ではあるが、ドライな草原とドライな丘で出来ていて、Alpineというとスグに浮かぶ青々とした緑の岡や森や谷のイメージからは程遠いのに対し、ArizonaのAlpineは夏は避暑地として、そして近くのHiking
TrailsのHeadquarterとして、すがすがしい魅力を持っている。
私がこのAlpineからCliftonに下る事になるのは、いつも私はSilver CityのInner Loop Trail やHillsboro,
Kingston, Lorenzo Trail或いはGlenwoodのCatwalk Hikingといったことをやったアトで、Glenwoodの北へ足を伸ばし、Reserve、Quemadoの方へ行かないで、Luna-Alpineと辿るせいである。(Alpineのすぐ近くに有名で大事なEscudilla
Mountainsがあり、私の大好きなBig LakeなどのすばらしいNational Recreation Areaがある。)
このGlenwoodからLuna, Alpineに向かってPonderosa Pineの見事な一大森林があり、或る本によるとこれが世界最大のPonderosa
Pineの森林だと書いてある。別の本によると、このスグ近くのGila
National ForestにPonderosa Pineの原生林の世界最大の森林帯があると書いてある。どちらが正しいのか、両方とも同じ地域を含めて言っているのか、ハッキリしないが、見事な松林であることは事実で、これを味わおうとすると、自然とGlenwoodからAlpineに行ってしまうのである。
AlpineからMorenci、Cliftonまでは本当に何百というカーヴがあって、あまり速くドライブできないし、第一、周りの景観がすばらしいので、ゆっくりドライブしないともったいない。
あるとき、Inner Loop Driveを終え、Gasolineを入れて、これからどうしようかと地図を眺めていると、帽子をかぶった男が近寄ってきた。何か探しているのかと訊くので、これからどこをドライブしようか迷っていると応えたところ、Coronado
Trailを指し、ここをドライブすればすばらしい、但、距離はそれ程でもないが、道が曲がりくねっているから、ドライブに5-6時間はかかるだろうと教えてくれた。私はサンキューを言い、彼の指示に従って、GlenwoodからLuna,
Alpineへと入っていった。丁度、部分的に雨がぱらついたりして変化のある気象であったが、はじめてこのCoronado Trailを走り、AspenやSpruce, Fir, Pineの森林から砂漠の潅木、サボテン、クレオソート・ブッシュへと移り変わっていく様を見て、その変化と景観に感動した。そして、そのあと、何度かこのTrailをドライブすることになった。
Cliftonの手前の街 (北から下った場合) Morenci(モレンシ)はPhelps
Dodge社が所有するCopper
Mineの街で、ルート191は、その街の真ん中や工場の下を通っていく。New
Mexico、Santa Rita Open Pit Copper Mine (これもPhelps
Dodge社所有)と同じで、こちらのほう(Morenci)はより間近から見え、実際にコンベヤー・ベルトが動いているのがわかり、全米的にも1,2を争う規模であることを知って (世界一はユタ州にある鉱山だという、MorenciはアメリカNo.2だとか)、その大きさに驚くが、同時に、こういうところでは働きたくないといつも思ってしまう。最初、晩くなったらMorenciかCliftonのMotel(もしあれば)で泊まろうと考えたが、とんでもない話で、私はやはり自然の美しいところでないと落ち着けない。
CliftonからはSaffordへ行く道とLordsburg(New Mexico)へ行く道とにわかれる。エルパソへの近道は、もちろんLordsburgへ直行する道であるが、時間があればSaffordへ寄るのも面白い。Saffordに向かってクルマをすすめる目の前に雄大な山脈が横たわっている。Pinaleno Mountainsで最高峰3300メートルに近いMount Grahamで、ここに距離的には短いがSharpなCurvesと眺めのすばらしさ、そして植生の変化で有名なSwift
Scenic Trailがある。
村田茂太郎 オリジナル執筆 1997年4月8日
Word Input 2012年6月16日
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