「心霊現象の科学」をめぐってーその47 Power of Prayer 祈りの力 ?
わたしの手元に雑誌“Fate”がある。1986年9月号。Storageへ行き、本のBoxを調べていて、この Fate Magazine に気が付き、家にもちかえって、調べてみたら、1983年中ごろから1986年9月まで、約3年間 Subscribeしていたようである。そのころ、といえば、ちょうど、ロサンジェルス日本語補習校あさひ学園で土曜日の授業に向けて、毎週10時間ほど授業準備と国語文集添削作業、エッセイ執筆等で忙しく働いていたため、多分、サイキックな領域への関心から、有名なFate誌を購入することにしたが、まじめに取り組む時間的余裕はなかったように思う。
1986年9月号をのぞいてみて、驚いたことに、私の信頼するサイキック現象の研究家 D. Scott Rogo が時々、執筆し、また本の紹介などもしていたのである。彼が1990年8月ごろ、40歳で、Los Angeles近郊Northridgeのアパートに侵入した暴漢におそわれ、殺されたと知ってびっくりした話は、私はすでにこの「心霊現象の科学」のブログの最初のほうで記述した。(この殺人事件は、警察は解決したと決めているが、未解決といううわさもある。犯人は見つかっていない Unsolved Caseと、あるPressは言っている)。そのRogoがこのFate誌に、いっぱい書いていたことを知り、当時は私は無知であったが、今は、まったくありがたいと思う。
この9月号に、Rogoが 「The Power of Prayer」という文章を書いている。ふつう、何かあると、すぐに“祈りをささげる”とかというが、私は無神論者Atheist, Agnotistとして、そういうものはただの儀式であって、効果などなにもないと長い間、私は思っていた。
そして、日本の誰かが、水を凍らせて、その結晶を顕微鏡でみると、自然のきれいな水は、きれいな結晶構造をしているが、きたない、汚染された水は、結晶させても、いわゆるきれいな結晶構造を示さないということを発表した本を読み、その同じ著者の二冊のうすい本の中に、あるダムの水が藻で汚れているので、だれかお寺の僧侶がお祈りをささげたら、その水はきれいになったとか、そのほか、いろいろ書かれていて、もしかして、昔から真言密教の祈りなどというものがあり、紫式部日記も藤原道長の娘彰子中宮の懐胎・安産祈願の念仏の描写からはじまっていたが、彼ら僧侶の祈りというのも、それほど馬鹿にしたものでなかったかもしれないと思い始めていた。このことも、すでにこのブログのどこかで記述した。
そのあと、密教者の本を読んだりして、ちょうど、チベットの超能力者のように、いわゆるサイキックな能力を僧侶が発揮しているということを知った。
そして Rogo である。彼は8ページを使って、上手にこの「Power of Prayer祈りの力」について展開している。まず、カナダのAllen Spraggettの話が紹介されている。このSpraggettについては、すでに 精神分析学者でPsychic Investigatorであったハンガリー人Nandor FodorとのInterviewの話をこのブログで紹介した。
Rogoは、話を進めるにあたって、このAllen Spraggettの単行本「The Unexplained」の中の第1話 The Unexplained のなかのSpraggettが語る、自身の体験談をとりあげている。わたしも、それを紹介しながら話をすすめよう。
Allen SpraggettはカナダのToronto Starという新聞の宗教担当の編集者になるまえは、Christian Ministerであった。1955年、まだ23歳の若者であったとき、ゲストとしてSermonお説教をするように頼まれ、引き受けた。ところが、当日、ものすごく体の調子が悪くなって、お説教どころではない、手伝いの人に無理だからできないと連絡してもらおうと思った。まだ、連絡がつかないままでいると、急に身体に熱の振動が伝わったようで、これはもっと悪くなるのだと心配しかけたが、そのうち、みるみるうちに身体の調子が良くなるのを実感し、結局、代理を頼まないで、自分でSermonを担当することができた。ChurchのParsonageでResident MinisterのWifeが、あなたは病気だったでしょう、だから、夫とふたりで熱心にお祈りをしたのよ、と言った。”both she and husband were suddenly impressed that I was sick and would
not be able to preach unless they prayed for my healing.” 「二人は、急に、Spraggettが病気で、その日のお説教はできなくなる、もし、二人で回復を祈らなければ と第六感で感じ取ってお祈りをささげたということであった。」
この種の話は昔からいっぱいある。Sir Francis Galton(1822-1911)は1883年にこのPrayerの効果に興味を示して、本を書いたが、この領域は、特に科学的証明がむつかしくて、結局、1950年代まで、まじめに科学的に扱われなかったそうである。
1959年、Reverend Franklin Loehrは歴史的な研究書を発表した。「The Power of Prayer on Plants」である。もともとChemical Engineeringを専攻したFranklin LoehrはPrayer祈り が効果があるかどうかを実験的に研究するには、Plantを相手にすればよいだろうと気が付き、156人が参加し、27000個の種を発芽せ、さまざまなコントロールのもとで、成長を記録し、何年もかけて調査を続けた。その結果がこの本となった。しかし、すぐに、だれもが認めたわけではない。だれもがPower of Prayerを認めるのに10年かかった。わたしが持っている本は、その10年後の1969年に新しい序文をつけて出版されたものである。
このあと、PlantのもつPsychic Powerに関する本があらわれた。「The Psychic Power of Plants」(By John Whitman)など。あるいは, 「The Secret Life of Plants」(by Peter Tompkins & Christopher Bird)など。今では、植物が祈りや音楽にどう反応するかは、有名になりすぎたほどであるが、1950年代では誰もそういう研究が必要だということに気が付かなかった。うそ発見器Polygraphで有名なCleve Backsterが植物にPolygraphをつけて、音やまわりの雰囲気に対して植物が反応しているのを発見したのは, 1960年代に入ってからである。Plantが感情を持つかどうかは科学者は疑問視しているようであるが、感情というよりも、様々な音楽のVibration (ClassicとRock Musicとの違いなど)の違いが、あるいは部屋にみちている平和なムードとか、いらだしいムードなどを細胞的にキャッチして反応しているのであろう。
ともかく、Franklin Loehrが実験的に発見・証明したのは、Prayer祈り をささげたPlantsあるいは水は、そうでないものと明らかな違いを持ち、成長に効果がある、つまりPrayer祈り は実際的な効果をもたらすということであった。
このあと、CaliforniaのDr. Randy Byrdの心臓病関係の患者を対象にした研究などが発表された。この1986年9月の時点では、Byrd夫妻はChristian関係のInterviewにしか応じないというコメントが誰かによって書かれているので、今、2012年時点でどうなのかわからない。
Rogoの結論をあげておこう。” But in the long run, does it really matter what force was at work in these studies? The fact is, evidence is
slowly accumulating to show that prayers for the sick can work. This is an
epoch-making discovery. It is a discovery that religion, medicine and parapsychology should be pursuing…
especially as contemporary science works to raise the quality of our daily
lives.” 「しかし、結局、これらの研究で、どんな力が働いているのかということが実際に問題であろうか。事実は、病人に対して、Prayer祈り が効果があるということがゆっくりと証明されてきているということである。これは、まさに歴史的な発見である。これは宗教と医学とパラサイコロジーが追及している発見であるー 特に、現代科学は我々の日常生活の質を高めようと働いているのであるから。」
イギリスの John Taylor Ph.D.の「Science and the Supernatural」のなかの Psychic Healingと題する章で、大学の研究室で、Healerと患者に様々な測定器具をつけて調べた結果が報告されている。Healerから患者になんらかのサイキック・エネルギーが流れていって、病気が治療されるのかどうか。ところが、患者が熱を感じるとか、いろいろいっても、測定結果は全然、計器には反応がなかったとのことである。熱を感じたのは患者の頭の中での話で、Healerから熱が移動したわけではなかったとか。しかし、そうだからといって、Healing Powerが発効しないとかインチキだとかということではない。今の、あるいはその時点での計器では測れない何ものかが、Healerから患者に伝わっていたのかもしれないし、ただのPlacebo効果かもしれない。(Placeboただの無害な代用物 で患者が本物を摂取したのと同様に回復するのはわかっている)。しかし、効果があるのは確かなのである。ただ、生きる意志がつよいかどうかなど心理的な要素が強く作用するのも確かで、患者のHealerに対する信頼がすでにPositiveに働く原因となっているのかもしれない。ある女性は、ほんとうは死んでしまっているはずなのに、息子がおとなになるまでは死ねないという強烈な意志をもっていたおかげで、医者の判断をこえて、13年間長生きし、息子が結婚する意志を表示するのを見届けて、安心して死んだという。
そこで、Prayer とか Healing Powerとか、Meditation、Biofeedback その他の話に入らねばならないのであるが、ここで、一冊の本を紹介しておきたい。
Dr. Irving Oyle 「The Healing Mind」という本で、1975年出版された。ISBN:0-671-80535-5 Simon & Schuster、Pocket Book Editions。
この本にはStanley Krippner Ph.D.が序文を書いている。Dr. KrippnerはDream Telepathyの研究などで有名なPsychologist, Parapsychologistである。
( この本の紹介は次回に続く。)
村田茂太郎 2012年12月30日、2013年1月1日
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