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1/24/2013

「心霊現象の科学」をめぐって-その58 S. Ralph Harlow 「A Life after Death」(1961年)を読むーその4 Patience Worth(ペイシャンス・ワース)


「心霊現象の科学」をめぐって-その58  S. Ralph Harlow 「A Life after Death」(1961年)を読むーその4  Patience Worth(ペイシャンス・ワース)

 この有名なPatience Worthのケースも、Dr. Harlowは直接、このケースに参加している。 

 1913年7月8日、Mrs. Pearl Lenore Curran が友人の Mrs. Emily Hutchings とOuija Boardで遊んでいた時に、Patience Worthがあらわれた。有名な文言、“Many moons ago I lived. Again I come. Patience Worth my name.”を発して。

 これが、Mrs. CurranPatience Worthとのつきあいの始まりであった。それは、1928年、まで続いた。15年間。この年、1928年、Patience WorthMrs. Curran 経由の地上での仕事(詩と小説の執筆、ベストセラー、まさにGhost Writerそのもの)に満足して Mrs. Curranから永久に去って行った。ひとつだけ希望をつげて。セントルイスのある病院に子供が生まれようとしている。母親はすでにたくさん子供をもっていて、養っていけないから、よろこんで引き取ってもらうことに賛成するだろう。どこそこの病棟のベッド・ナンバー何番だ。その子供を養子にして、名前をPatience Worth とつけて、育ててくれということであった。Mrs. Curranは彼女の希望通りに行った。15年も付き合ったSpiritで、何千枚にわたる本を書いた仲だから、Mrs. Curranにとっては、自分の娘の希望をかなえるようなものであっただろう。

 Mrs. Pearl Curranは教育的には 8th Grade, つまり中学レベルほどでおわったわけである。セントルイスに住む女性で、州の移民局に働く男の妻であった。このことが、Patience Worth事件に大きな意味を持つ。つまり、どうみても、彼女自身または彼女の潜在意識が作動したという解釈は無理ということになるからである。

 Dr. Roland UsherDr. S. Ralph Harlowのいとこ)はエリザベス朝、つまりQueen Elizabeth 1st, ShakespeareSpencerなど16世紀、17世紀の歴史と文学の専門家、Professorであった。その彼が、新聞に載ったPatience Worthという名前の女性の作ったPoemが、現代の詩ではなく、完璧なエリザベス朝の詩であることを発見しておどろき、新聞社に電話をしてきたのであった。そこから、彼とMrs. Curranそしてイトコの Dr. Ralph HarlowとのPatience Worthをめぐる関係が始まった。

 When did you live? と 訊いたのに対して、1649という数字が示された。この年が、彼女の生まれた年なのか、アメリカに来た年なのか、はっきりしなかった。死んだのは1675-1676のKing Philip’s Warのころで、Indian Massacreで殺されたらしい。まだ、アメリカ創立期のイギリスからの移民であったようだ。この女性が、のちにイエス時代の歴史小説を書くわけで、そのような女性が専門家も驚くほどの歴史知識に富んでいたというから、これも何度目かのReincarnationであったのかもしれない。

 Dr. HarlowはこのMrs. Curranにも会い、Patience Worthにもあったわけだ。Dr. HarlowMargery CrandonSpirit GuideであるWalterという陽気でPhysicalな現象を起こすことに熱心だったケースを知っているので、Patience Worthのケースにも興味を持ったわけである。WalterLevitationFingerprints, Scale-balancing といったことに彼の関心を集中したのに対し、Patience Worthは何百という詩を書き、3冊の長編小説をあらわした。それは、白昼のことであり、Mrs. Curranは終始、意識している状態でなされた。

 Patience Worthのケースは、のちにあらわれたBridey Murphy Caseと多くの点で似ているといわれたが、MurphyのほうはReincarnationそのものがテーマであったのに対し、Patience Worthは Mrs. CurranReincarnationに関しては直接には関係なかった。それはMrs. Curranとの関係では、Reincarnationは問題にならなかったということで、Patience Worthの書いた歴史小説、キリストの時代を対象にした小説”The Sorry Tale”は、そのころの歴史的資料を深く調べ、Holy Landをくまなく調査した人間が書いたものであろうといわれたから、丁度、古代エジプトを扱ったJoan Grantの小説”Winged Pharaoh” が、自分のReincarnationを思い出して書いた (biographical novel) というのと照応するといえるかもしれない。Patience Worthはそのキリストの時代のことを書きたいという希望を持っていて、Mrs. Curranに接近してきたくらいなのだから、Joan Grant風に考えれば、Patience Worthは1650年前後に生きた人間である前に、キリストの時代に生きた人間のReincarnationであったのかもしれない。

 Mrs. Curranは当初はOuija BoardCommunicationをしていたが、または、書き取っていたが、そのうち、Automatic Writingにかわって、まるでSecretaryが記述をしているような感じとなった。Mrs. Curranの趣味は音楽で、文学や詩は全然興味を持たない領域だったので、Mediumといわれることに恐怖さえおぼえるほどであった。

 この彼女の教育歴と趣味から、Patience WorthAuthenticSpiritであると想定され、彼女の潜在意識とは関係ないと考えられたわけである。

Dr. HarlowDr. Roland Usherとが一緒にMrs. Curranに会いに行き、一緒にSittingを行った。このときは、Automatic Writingではなくて、Ouija Boardであったので、アルファベットを読む人と記録係がOuija BoardPlayer二人のほかに必要で、それは一緒に訪問した別のドクターが行った。最初はMrs. Curranへの挨拶であったが、Dr. Harlowが発言して、自分は今、Turkeyから帰ってきたばかりだから、何かTurkeyの件で、報告することはないかと訊ねたら、Planchette  が猛烈なスピードで動き出し、必死に書きとめ、30分後、やっと終わって、あとで解読すると、そこには“The Land of Pasha”と題する見事な詩ができあがっていた。ということは、まさにWalterSpiritのように、話しかければ、理解し、自分の才能を示しながら、それを展開する、つまり個性を発揮することができたわけである。

彼女のLongest Poem “Tekla” は6万語をつかい、Total 35時間で書き上げられた(あるいは記述された)とDr. Franklin Prince(有名なPatience Worth研究家)は言う。

この話をきくと、丁度、Barbanellが紹介したMedium Margaret Lyonのガイドとなった自称日本人の女ドクターKahesdeeカエデが若くして殺されたため、医者の仕事を続けたいという執念がのこって、MediumSpirit Guideとして活躍したという話をすでにこのブログで紹介したが、同じようなケースに思える。Patience Worthの場合は、詩や小説を書きたいと思っていたのに、それができないうちに殺されてしまったので、やはり執念がのこり、Ouija Boardで機会をとらえて、Mrs. Curranのガイドのようにして出現し、15年間、膨大な詩と小説を書き、当時、アメリカでベストセラーになるということで、自分で満足し、やっと生前の願望が果たせたということで、去って行ったように思える。

1918年ごろにはベスト・セラーやアンソロジーにはいり、詩も小説も不滅の価値を持つものと推奨されたが、それは当時の話であって、今は忘れ去られてしまった。しかし、Dr. Harlowによると、そのスピリットは今も感動を与えるという。

No one who has ever sat at a Ouija Board with Mrs. Curran or has studied the mysterious case of Patience Worth can possibly avoid the question: “Who was Patience?” After his long study of the phenomena Dr. Franklin Prince writes, “Either our concept of what we call the subconscious must be radically altered so as to include potentialities of which we hitherto have had no knowledge, or else some cause operating through, but not originating in, the subconsciousness of Mrs. Curran must be acknowledged.”

Mrs. CurranOuija Boardにつきあったひと、またはミステリアスなPatience Worthケースを研究した人は誰も、「Patienceとはだれだったのか」という問いを避けることはできない。長い研究のあと、Dr. Franklin Princeはこのように書いている:我々が潜在意識とよぶもの概念を、今まで知られていなかったものを含む可能性があるという風に根本的に変更しなければならないか、Mrs. Curranの潜在意識以外のところに起源をもつ何かが作動しているということを認めるかしかない、と。

Whatever conclusions we may reach, no one can read the poetry, the novels, the aphorisms of Patience Worth without being deeply affected. Her comments on religion and immortality and the inspiration and faith that flow from her can make us better, braver persons-if we can meet her challenge to live by a larger faith.

どんな結論を導こうと、だれも、Patience Worthの詩や小説やアフォリスムに深く影響されないで読むことはできない。彼女のもたらした宗教や不滅性、霊感や信仰といった彼女から流れ出した、そういったものに対するコメントは、私たちがよりおおきな信仰のもとで生きるという彼女のChallengeを受け入れることができれば、私たちをよりよく、より勇敢な人間となすことができるであろう。

In a nuclear age when repressed fear is constantly with us and when confusion limits our horizons, the messages of Patience Worth can awaken in our minds and in our souls deeper conviction that the purposes of a good and loving God are ultimately beyond defeat.

抑圧された恐怖がいつもわれわれにともなっており、混乱が地平線を遮っているといるという核時代のなかで、Patience Worthのメッセージは、善き愛するGodの目標は最終的に敗北を超えているというより深い確信を我々の心と魂に呼び起こす。

As her words echo in our souls we can gain a triumphant faith in immortality and a testament that man is created on the scale of two worlds, not one. Patience is, for me, a bridge that helps us travel from this world to the next.

彼女の言葉がわれわれの魂の中でこだまするにつれ、われわれは不滅ということと人間は二つの世界のScaleでつくられているということに対する信仰を勝ちとることができる。Patienceは、わたしにとっては、この世界から別の世界にわたることを助けてくれる橋である。

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Dr. Harlowは熱心なクリスチャンで、教会でも大学でもキリストの教えを講じたひとである。このPatience Worthに関して、どうも、熱心な崇拝者の様子を呈しているのも仕方がないかもしれない。彼によると、Patience Worthは宗教的な内容を展開したようである。魂の不滅、神の愛、・・・。

 

A Life after Death」 Dr. Harlow つづく。

村田茂太郎 2013年1月19日、24日

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