J A JanceのMysetryを読む 2014年10月11月
最近、J A JanceのMysteryを6冊ほど続けて読了した。J A Janceの本は読みやすく、私の好みに適した展開となっているので、いつも私は読み終わって満足する。
Janceの本で持っていない本をAmazon.comで調べていくつかをオーダーし、到着し次第、かたっぱしから読んでいる状態である。アマゾンは便利である。
彼女は比較的多作のほうだと思う。すでにMysteryだけでも50冊以上出版されていて、私は30冊以上、すべて自分で購入して読了している。今、本の最後の自分の短いメモ・感想をみると、みなGoodとかVery Goodとかと書き込んである。1年間に3冊か4冊書き上げているようで、そのどれもが見事な出来栄えなので、立派なものだと感心する。Ross Macdonaldなどは1年に1冊であったと思う。最後のころは10年ほどの間に3-4冊だったのでは?多作で有名なのは女流作家のNora Robertsだが、このひとはものすごいスピードで書き上げているようだ。それでいて、Northern Light を読んだが、アラスカのムードらしきワイルドさをよくとらえていて、満足できる出来栄えであったので、感心した。1年間に10冊ほど出版しているのではないか。
わたしは何度もあちこちで表明しているように、MysteryではRoss MacDonaldのLew Archerものが大好きで、18冊ほどあるその作品のすべてを少なくて2回、多いものは4回も5回も読み返している。そして、いつもやはりすごいと感心するばかりである。最近また順不同でLew Archerものを9冊ほど読み直し、やはりみなすごいと感心している。
どこに感心するのか、すこしまじめに分析してみたいと思うが、そのRoss MacDonaldに対して、J A Janceの世界はかなり異なる。マクドナルドのほうは離婚を経験した私立探偵Private Detective Lew Archerが主人公で、つねにLew Archerの目を通して話が展開し、Archerが見聞きし、感じたことを読者もその場で感じることになる。これは探偵小説の方法論として正論であると私は思う。しかし、私立探偵に相談する形となるため、依頼主は金を持った人間が主であり、内容的には各種の犯罪に及ぶが、ある意味ではその世界はかぎられているといえる。つまり、家族を持つPolice Detectiveのような世界は無縁である。Police Detectiveの場合は犯罪内容、話題は豊富である。私立探偵に頼むというケースとは完全に異なる。今も私立探偵という職業があるのかどうか、離婚問題などで活躍し、弁護士事務所の下請け捜査係のような存在が主な仕事ではないかと思う。したがって、たしかにLew Archerの操作中につぎつぎと関係者が殺されていくが、それは最近の多くのDetective Novelが扱っているような、いわゆるSerial Killer異状犯罪者を扱った残虐な殺しとはまったく異なる。
一方、J A Janceは今では4種類の主人公をもったMysteryを書いている。Seattle、WashingtonのPolice Detective J P Beaumontを主人公としたもの、Arizona Bisbee Cochise Countyの女シェリフJoanna Bradyを主人公としたもの、Arizona Sedona在住のもとTV Anchorwomanを主人公にしたAli Reynoldsもの、そして最後にArizona, Pima CountyのRetired Sheriff Brandon Walker &His Familyをあつかったシリーズ。
どれも個性があって、すばらしい。J A Janceの書くものは細かいところにまで目が行き届いていて、見落としを感じない。ある作家では、結末に至ってもなんとなくすっきり解決した気がしないものがあるのに対し、JanceのMysteryの場合はそういうミスはない。
彼女の主人公はみな家庭人で、女シェリフBradyの場合など、再婚してシェリフをつとめながら子供を産みという具合で、まさに女性ではじめて書けるような展開であり、細かいところにまで気を配る女性の繊細さと手際よく大胆な処置能力が見事に発揮され、読んでいて気持ちよい。私はエルパソに10年以上住んで、AmericaのSouthwestはクルマで走り回って、Arizona、Bisbeeを中心とした Cochise Countyの小説の舞台はたいがい見知っているので、普通以上に親しみがわく。そして、自分が彼女のようなシェリフのPositionにあれば、彼女のようにてきぱきと処理できるだろうかという別な興味もわく。
Sedona在住の女性Ali Reynoldsを主人公とした小説もすばらしい。すでに9冊ほど出版されているようで、わたしは7冊読了した。全部、読むつもりである。
SeattleのJ P Beaumontを主人公にした Second Watchも最近読み終わったが、まさにVery Goodであった。最初の未解決犯罪とベトナム戦争体験、それに両膝の手術という状況をうまくいかして、見事にストーリーを展開して、すべてをそつなく解決していく手腕には感心するばかりである。このBeaumontものがJanceの最初のDetectiveもので、すでに20冊近く出版されているようだ。このほうは、私は半分ほどしか読んでいない。いずれ、未読ものをとりよせるつもりである。
Sheriff Bradyものの Judgment Call も見事なできばえであった。これも現在の殺人事件を追及しながら、飲酒運転の犯人にひき殺されたシェリフBradyの父親の過去の事件をBradyの夫が記録を整理するなかで、犯罪の解明に役立つ手がかりを見出し、それを利用して、飲酒運転の結果ではなく、シェリフであった父親を意図的に犯人がヒトを操作して殺したと解明し、すべてを見事に解決するというもので、さまざまな関係者の役割も上手に描き出されていて、好もしい。このBradyものは、わたしはほとんど全部手に入れ読んでいるはずであり、どれもGood以上のできばえと記している。
Brandon Walkerものは、すこし展開が異なって、特にこのRetired Sheriffが活躍するわけでないが、複数の登場人物がみな大事な役目を果たし、納得のいく作品となっている。
アリゾナ南部はメキシコからの移民や土着Indianなど特殊な問題が絡むため、扱いも繊細さが要求されるが、その点も彼女は見事である。2000年出版のKiss of the Bees という作品は450ページほどの大作だが、Serial Killerが獄死したあと、その弟子とも言えるおとこが復讐を実行しようとする話だが、Tohono O’othham Indianの伝説をたくみに用いながら、平和を愛するIndianのSpiritを上手に生かして、なかなか深みのあるMysteryに仕上げている。Lew Archerも読んでいたため、4日かかったが、Very Goodと私は書き込んでいる。
どうしたことか、わたしが訪れるLos Angelesの図書館にはJ A Janceものが見当たらないので(James PattersonやKristin Hannah, Patricia Cornwellなどは図書館にいっぱい並んでいるのだが)、Amazonで買うことにした次第であるが、それでよかったと思う。図書館に依頼して取り寄せてもらう手ももちろんあるが、わたしはどうもPossessiveで、いい本は手元に持って、いつでも読み直したいという気持ちがあるので、お金がある間は欲しいものは手に入れたい。
ともかく、J A Janceのものは、どれも安心して楽しめる。みな、もう一度読み返してもよいと思っている。
村田茂太郎 2014年11月6日
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