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11/28/2014

Nicholas Sparks 「The Choice」を読む


Nicholas Sparks 「The Choice」を読む

 これはとても面白い、魅力的なLove Storyであった。わたしは読み出して、翌日には読了した。沢山並行して読んでいるので、ほかの本も同時に読み終わった。

 この小説もNorth CarolinaBeaufortという人口4千人の小さな町を舞台にしたLove Storyである。

 海沿いの小さな町に生活する魅力がこれを読むとよく伝わってくる。

 Travis Parkerという30歳を過ぎた男性が、隣に引っ越してきた女性に惹かれ、彼女GabbyGabrielleHollandが4年越しのKevinという男性を恋人にもっているということを知りながら、彼女の魅力のとりこになり、最終的に彼女の愛を克ち得て結婚するわけであるが、表題はこの二人のSoul Mateといえる関係が、ある状況下で左右される決断を要請されたところからくる。

 Gabbyは病院で働くPhysician Assistant(看護婦ではないー准ドクターというところか?)で、そのうちにComaに陥った患者のHusbandが最初はLove StoryGabbyに喜んで聞かせたほどであったが、いつまでもComa意識不明の状態がつづいたため、彼女の家族が破壊されていくのを見、6年経ってまだ意識不明で、今ではHusbandが早く死んでくれればよいと願っているのを知って、もし自分がそのような状況に陥り、3ヶ月経って意識がよみがえらなければ、機械の補助は断ち切って、死なせてほしいという願いを夫Travisに誓わせ、今それを実行すべきかどうかと迷い、苦悩し、その困難な精神状態が続いたため、Travis本人も病的な状態になっているほどであった。

 どうやら事故がもとで、愛する妻が意識不明の状態になっているが、原因は彼Travisが妻の注意も願いも無視して、雨の中、乱暴な運転をしたため、事故を起こしたということで、自分に対する罪悪感に圧倒されている状態である。

 3ヶ月の約束も、こういうことが起こると予測しての約束ではなかったと思い、たとえ女房との固い約束といえども実行するのがためらわれる。しかし、毎日、妻の病床で家庭報告をやり、いろいろ声をかけて努力しても、まったく肉体的反応がないので、ほんとうにどうすればよいのか悩むばかりである。

 病院は3ヶ月が限度ということで、介護ホームに移動するか、栄養添加等の機械を止めて死なせるか。決断をドクターたちにつげるまえに、最後のキスをして何も反応がないのを確認し、妻の病床を去る。

 結果的には、まだ40歳前の若い妻を見殺しにはできず、介護ホームで生きているだけでも自分たち家族の力になると信じて、妻との尊厳死の約束は果たさないで介護ホームに妻をあずけ、できるだけ訪問するように努力する。これが彼のChoice選択であった。

 彼Travisは獣医Veterinarianで、当初、父と一緒に父のPet Hospitalで働いていたが、父も引退して、自分で病院を経営するようになる。しかし、いつでも父親にかわってもらえるということで、妻のComaが続く当初は、仕事は父にまかせっきりで妻につきそっていたが、妹Stephanieのアドバイスで少しは仕事に戻るようになる。

 介護ホームでの生活が始まって何ヶ月か(9週間)たったあるとき、介護ホームのDirectorから緊急電話があり、妻の目が開いたというニュースがとどく。そして、そのあと、妻は自分Travisを認め、身体的後遺症はあるが、Comaだった女房が普通に回復してゆき、子供も彼Travisも誰もがHappyになるというEndingである。

 この小説の面白さは、この最後のChoiceにあるのではなく、男Travisが、恋人が居るとはっきり言っている魅力的な女性、隣人Gabbyと男女の関係を展開していくその関係の進展ぶりにある。

 GabbyMollyという名のメス犬コリーを飼っており、TravisMobyという名の雄犬を飼っている。ある日、GabbyMollyが妊娠しているようだと気がつき、これはとなりの雄犬が放し飼いで居たせいに違いない、Puppy子犬がうまれたら、どうなることか、ちゃんと責任を取るように文句を言っておかねばと思って、隣の家に向かい、男Travisと話し始め、言いたいことを言ってさっさと家に帰った。彼のアドバイスで一応、獣医に診て貰おうと、翌日アポをとってPet Hospitalに行くと、なんと隣の男Travisが獣医であったとわかる。結局、彼女は怒って最後まで彼の話を聞かなかったわけだが、彼はなぜ自分の犬が妊娠事故の当事者でないか、を説明する。つまり彼の犬はすでに中性化してあるということで、きっと近所の別のBoxer犬のせいだろうとわかる。

 この最初の出会いから、ふたりは喧嘩のような会話をかわしていたが、お互い、いままでつきあっていた人間とはまったく違う反応振りに気がついて惹かれていく。男は女が自分に正直だから、そして本当に犬Mollyを心配しているから、喧嘩っぽく行動したのだと理解する。

 女Gabbyが長く付き合っている恋人は保険屋で、ゴルフや会合でどこかに出かけていることが多く、たまに彼女にコンタクトするだけで、まじめな結婚の話にまではゆきつかない。旅行を計画しても、それはそこに素晴らしいゴルフ場があるからという話で、なんとも味気ない。それに対し、この獣医であるTravisは信じられないほど活発で豊かな人生を楽しんでいるようであり、しかも繊細な心遣いもする魅力的な男であるとわかってくる。そして、Gabbyの恋人Kevinのあいまいな態度とは違って、はっきりと愛を表明し、結婚を申し込む。

 男には子供のころからの友達が3名おり、それぞれすでに結婚して子供も居る。彼Travisだけが短期の恋人はいたのだが、いつも結婚するところまでにいたらないで別れてしまう。このGabbyという女性を知れば知るほど、その魅力に圧倒され、なぜ今までの女性関係がうまくいかなかったのかという原因までわかってくる。つまり過去の女性はすべて彼と対等につきあえず、彼の言いなりになって行動してきたから、お互いに飽きてしまい、何ヶ月かで別れるようになっていたということであった。

 この男女のやりとりがとても魅力的で面白く、またこの男の妹が兄思いで、兄の催すささやかなPartyなどには必ず参加して、いわば兄の家の隣に移り住んだ女性Gabbyと兄の仲をとりもとうとする。その妹とGabbyとの反応も知的でみごとなもので、この小説はこのSoul Mateといえる男女とこの男と妹とGabbyとの生き生きとした会話で成り立っているといえる。それほど、その展開振りは面白く魅力的であった。

 話の内容は、単純に、いかに男が、恋人が既にいる女性を口説いてお互いのLoveを貫徹するかであり、それほどのSoul Mate的な関係であれば、Comaの状態にあっても潜在意識ではつながっていて、単純に死なせるようなことはできないということであった。

 私の、このComaに関する対応についてのアイデアは、もしComaのひとがお金持ちで、誰の迷惑もかけないで生き続けられる様であれば、自由でしたいようにすればよい。

 お金持ちでなければ、家族もちか、年齢が50歳以前かによって、対応も異なる。

 若くて家族が居る人が事故などでComaになったとき、これは回復する可能性もあるので、この小説のように3ヶ月であきらめるのではなく、まずどんなに苦労しても1年は介護ホームで面倒を見たほうがよいであろう。Comaから回復する例を小説Fictionからとると、Kristin Hannahの「Angel Falls」と「Fly Away」があげられる。Fictionではあるが、「Fly Away」ではComaになってから1年半ほどして意識が回復することになっている。その間、病院を離れてからは、母親がすべての面倒をみる。「Angel Falls」では、妻の最初の恋人でHusbandであった男が熱烈なLove対象であったことを知った今のHusbandが、妻が回復するのであればと、その妻の昔のLoverに助けを求め、その効果があって、妻の意識は回復する。

 Comaの状態というのは無意識というのでなく、意識があっても肉体的反応ができないだけという場合もあり、語りかけたり、花や音楽で普通以上に生命衝動を盛り上げるのが、意識の再生に役立つようである。そして、目を開くということが決定的に重要で、意識があっても目を開けなければ、まだComaの状態だとみなが思ってしまう。

 70歳以上であれば、もう人生を生ききったといえるので、すぐに回復しそうでなかったら、1年以上はKeepする必要はないと思う。

 すでに「心霊現象の科学」をめぐるエッセイで展開してきているように、死は最後ではなく、はじまりであるかもしれず、死を恐れていつまでも生かしておこうとするのは、かえって、魂Soulの成長発展の邪魔をしている可能性もでてくる。死は苦悩ではなく解放であるとわかれば、ただただ長生きさせることに意味があるわけではないということが理解されるはずである。Near Death Experience NDE体験者の話を読むと、本当はそのまま死んでしまいたかったが、まだこの地上の生命でやるべき義務が残されているということで生き返ってくる人がほとんどであるらしい。したがって、Comaの状態の人はSoulが既に抜け出して、そのへんをさまよっている場合もあるようで、この人に向かって、語りかければ、Soulは理解するようであり、花や音楽もSoulは理解するようである。

 私に限って言えば、私は金もなく、私を必要としている家族も特になく、年もすでにとって、充分生きたと思っているので、そして死は終点ではなく、違うエネルギー状態でのはじまりであり、Soulとして異次元で待ってくれている人たちもいるはずなので、死にそうな病状の時には、素直に、何もしないで死なせてほしいと思う。まちがって救急車で病院にはこばれると、本当に助かればともかく、生きたが植物状態ということになれば、自分が苦労するだけなので、わたしは“手遅れになって死ぬ”のが希望である。家族・子供・孫がおり、金もあれば、ただ生きているだけでも意味があるかもしれないが、そのようなときでも魂Soulは早く死にたいと思っているのは間違いないと思う。

 ともかく、この本は面白かった。会話の展開は、ベストセラー作家らしく、さすがに、手なれたものだと思った。 今、読み終わったばかりだが、すぐにでも、もう一度読み直し、会話の進展を楽しみたいと思う。 魅力的な本である。

 
村田茂太郎 2014年11月26日、27日

The Choice by Nicholas Sparks 2007

ISBN: 978-0-446-61831-1

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