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11/13/2014

Nicholas Sparks 「A Bend in the Road」を読む


Nicholas Sparks 「A Bend in the Road」を読む

 この本は2001年ごろ出版されたらしい。彼の本は今ではかなり沢山出版されているから、これは比較的初期のものといえる。

 ストーリーは単純だが、340ページほどの展開となっている。もちろん、彼のストーリーだからLove Storyであるが、内容は比較的簡単である。

 North Carolinaの海際のSmall TownDeputy Sheriffを勤めている男と都会から移り住んできた女教師(Baltimoreで金持ちと結婚し、離婚を経験した女)が愛し合うようになるという話で、男は2年前に高校以来相愛の中であった妻を突然亡くし、5歳の子供となんとか暮らしているという状況である。

 妻はJoggingに出かけて、なかなか戻ってこないと思ったら、車に轢かれて死んでいたというわけで、轢殺の犯人はすぐにわかるだろうと誰もが思っていたが、結局、2年経って迷宮入りのような状態である。

 この間、男は犯人をもとめて、苦悩の日々を暮らし、ようやくその苦しみから抜け出せたころには一人息子Jonahは学齢になっていた。

 ある日、子供のかばんから教師からの面談要請メモがでてきて、はじめて毎日OK?という程度の会話ですごしてきた子供が、教師からなにか注意されるほど問題があるとわかる。

 学校を訪れ、若く、きれいな女教師と話し合い、彼女が自分の子供の面倒を本当に見てくれていることを知り、また彼自身、妻の死以来交際は避けてきたが、彼女にあらたな関心をかきたてられる。女教師Sarahによれば、子供が人間的にはかわいい、よい子供だが、学習的には何も身につけていない状態で、このままでは次の学年にうつるのは無理だという。どうやら、今までの担当教師は、子供の母親がひき殺されて犯人もつかまっていない状況で、特別扱いするほかないと思っていた模様。彼には家庭教師をつけたりする余裕はないし、彼はDeputy Sheriffとして公務に忙しく、なかなか、特別に子供の面倒を見てやる余裕もない。Sarahは放課後居残って自分が特訓することを提案し、お菓子も用意して、毎日、楽しみながら学習ができるようにする。男Milesも賛成し、感謝し、したがって、毎日、週何度か放課後、息子を迎えに行くときにSarahと会えるのを楽しみ、急速に二人の仲はすすんでいく。

 ふたりは結婚したいと思うほどの相愛関係になり、彼女の両親とも近づきになる。そして、彼女の年若い弟BrianともThanksgivingPartyで会う。

 男Milesは妻がひき殺されて2年以上経つが、犯人をさがす努力は続けて久しい。

 あるとき、Deputy Sheriff Milesは飲酒運転でおかしい状態のおとこを捕まえ、留置する。おとこは以前、刑務所にいるとき、アルコール禁断症状で悲鳴を上げすぎたため囚人から殺されそうになったことがあり、なんとしてもPrisonにはゆきたくない。そこで、Milesの妻がひき殺された事件は町の誰もが知っていることだから、この男Simsが“自分を放免してくれれば、彼の妻をひき殺した犯人に関係する情報を与える”と言ったため、悩んだ末、誰にも相談せずに釈放する。Milesが得た情報は、酒場で、問題の多い男Otisが別の男を威嚇して、お前もあのひき殺された女のようになるぞといっているのを耳にしたというのだ。

 もともと、この男Otisならびにその仲間を問題視していたMilesは、その話をきいただけで、ボスであるSheriffのとめるのもきかず、Otisを探しに出かけ、男を家から呼び出し、拳銃で威嚇しながら男を逮捕する。その勢いはまさに頭を撃ちぬかんばかりであった。幸い発砲はしなかったが、引き連れて帰るドライブの間も乱暴な運転をして男に怪我をさせるほどである。結局、男Otisの弁護士たちが警察の横暴だと騒ぎ、Sheriffも頼りない男Simsのバーで耳にした情報だけでは、逮捕し続けることは不可能とOtisを釈放する。逆に弁護士たちはMilesを告訴するとさわいでいるので、SheriffDeputy Sheriff Milesを一時有給のSuspension停職の状態にする。

 一方、SarahMilesから具体的な経過報告を聞いていたが、あまりにも性急で凶暴ともいえる男の反応振りを見て、まさにバーで叫んだという男Otisを撃ち殺しかねない勢いなので、Sheriffにまかせるようといさめるが、男はきこうともしない。

 Sarahが、そういう愛人Milesの状態を弟Brianに説明したところ、弟がとんでもない告白を行った。

 それまでに、何度も、彼Milesの妻Missyをひき殺してしまったらしい男の告白のようなメモが話の展開のあいだに挿入されていた。その告白によると、轢殺は完全に事故であった。男がドライブしていて、前の道路わきの狭い道を女MissyJogしていた。Bend曲がりに差し掛かったとき、いきなり大きな犬が彼女の前にとび出し、おどろいた彼女はまちがってクルマが来ている前にとびだしてしまい、ひき殺すようなことになってしまった。おとこはクルマを降り、調べたが、女は溝に落ちて目を開けて死んでしまっているようであった。Truckingの仕事をしていた男は何を思ったか、ブランケットのようなもので遺体を覆ってやった。そして、そのときは気が動転していて何もできなかったが、あとで自首するつもりが、ひき逃げ事件を扱う雲行きがあやしくなって、完全に事故なのに、意図的な殺しのような感じになっているのにおじけづいて、とうとう彼は自首しないですませ、そのかわり、その遺族つまりMilesJonahがどういう様子で生活しているかを毎日のようにうかがい、また毎週、ひそかにお墓に花をそなえていた。

 その告白をしるしていた男がMilesの愛するSalahの弟Brianであったことがわかる。なぜBrianは姉に告白したか。彼は姉が愛している男が、彼がひき殺した女性の夫Milesであことを知らなかった。姉がMilesと結婚までしそうになっていると知って、このままでは、Milesの恋人Sarahが轢殺犯の姉だとわかれば、当然、結婚も駄目になり、すべてがおかしくなるのは明らかである。事件に関係のない男Otisが犯人だと疑われて殺されるようなことになれば、さらに面倒だ。ここは、姉のためにも自首するほかはないと姉に打ち明けたわけであった。

 一晩悩んだ末、Sarahはこのままでは、Milesの怒りがおさまらず、犯人だと思っている男を撃ち殺しかねないので、弟を連れて恋人Milesを訪問する。

 話を聞いたMilesは興奮してしまって、あきらかに運の悪い事故であったといわれても、納得できないだけでなく、今では彼のかけがえのない恋人である姉Sarahが、はじめから弟がひき殺したのを知っていて、償いの気持ちから息子に接触し、放課後の特訓その他を始めたのに違いないと非難し、Sarahが前日まで何も知らなかったといっても信用しない。そして、彼女の弟Brianを逮捕するといって手錠をかけ、自分の車に乗せてでてゆく。Salahは別の車であとを追う。

 車の中で、Brianはもう一度、まったく不幸な事故であって、いきなり犬がとび出してきたので、自分の車が走っている道路に彼女がとび出して、結局、どうにもならず事故になったと説明しても、それは嘘だと聞く耳を持たない感じであった。しかし、Brianが車から降りて、彼女の死をたしかめ、ブランケットかなにかでカバーしたという話を聞いて、Brianは本当にあった話をしているのかもしれないと思う。

 ふたりが車の中で話に気をとられてドライブしている間に、クルマはBend曲がりに近づき、あいにく対向車がきているのにも気がつかないで、中央分離帯をこえてしまっていたらしい。あわてて気がついたときにクルマは対向車と接触して、溝におち、Brianは頭に怪我をした。はじめて気がついたようにMilesBrianの傷をみて、身体の異常を気遣い、手錠をはずしてやる。相手のクルマはたいした損傷ではなかったようだが、ドライバーはMilesのクルマとけが人を心配する。非はMilesにあるということはあきらかだ。そして姉Sarahのクルマが現場に到着し、弟が頭から血を流しているので、Milesに怒りを発し、自分で病院につれていく。Sheriffもニュースが伝わってやってきて、様子を聞く。

 幸い傷はたいしたことはなかった。その夜、Sarahの家にMilesがやってきた。彼は、彼女が本当に前日初めて弟から打ち明けられたことをきいて納得する。しかし、Brainが彼の妻を殺し、法律を破ったのは事実だといって去っていく。そのあと、姉と弟はそれぞれ自分の住まいで、いつMilesが逮捕にくるかと待っている。しかしMilesは来ない。

 Milesはどこかから古い拳銃を探し出して、持ち運ぶ。SuspensionDeputy Sheriffとしては武装解除された状態である。古い銃を持ってどうするのか。

 どうやら彼の妻を葬った墓場にBrianが花を持っていくあとをつけていたらしい。墓場でやりとりがあり、撃ち殺さないで、沈黙をちかわせる。自分はお前を許さないし、忘れない、お前も2年間俺を苦しめていたことを忘れるな、そして姉にも誰にも何も言うな、・・・という調子である。

 Milesの息子Jonahは、最近、女教師Sarahが来なくなったし、どうしたのかと父親に訊く。Milesは息子がSarahを好きで、彼がSarahとの交際を楽しんでいるのを喜んでいると知って、元の関係に戻りたいと思う。しかし、今はとても無理だ。幸い、Sheriffが自分の別荘を何週間か貸してやるといってくれているので、息子と二人で2-3週間でかけるつもりである。Sarahのほうは、Milesとの関係が駄目になれば、もう彼の居ないほかのところにうつるしかないと考えている。そして、ともかく去っていく。

 男Milesはその後、銃を持ってBendをしらべ、本当にBendの近くの家で大きな犬が出入りしているのを知り、その犬が急にとび出したという話も本当なのだと思い始める。犬を撃ち殺すのかと思えば、犬にもまたかわいがっているOwnerがいるのだと考えて、ただ納得したわけであった。

 1週間ほどしか経っていないのに、Sarahが親の家から自分の家に戻ると、部屋にライトがつき、MilesJonahが自分の部屋でSarahの帰りを待っているのを知って、彼女の心ははずむ。

 二人は不幸な障害を乗り切って結婚にゴールインするようだ。

というのが、あらすじである。

Happy ending.

 Brianは他州に移り、医者になり、結婚して、一応、静かに暮らしている。MilesBrianを逮捕しないで、そして誰にも報告しないで、逃がしたのは、どうやら息子のJonahが傷つかないようにと思ってのことであったに違いないと想像する。逮捕すべき犯人を逃せば、今度は自分もまた犯罪者になるのだから。

 この小説では、ひき逃げが最大のテーマとなっている。ひき殺された妻を思い、その犯人を追う男の執念がテーマである。その異常なまでの執着は、単なる事故が、自首がなかったために、ひき逃げ殺人にかわったというところからくる。

 Nicholas Sparksの既に紹介した別の小説「The Best of Me」では、主人公のおとこがアルバイト中、悪い天候の中で、あやまって医者である男をひき殺し、自首して、罪に服し、数年の監獄生活を経て出獄してから、毎月、彼の働いた乏しい給料の中から、遺族に匿名で送金し続ける話が書いてある。この「A Bend in the Road」では、ひき逃げした男は自首して服役しなかったために罪悪感にとらわれ、特に姉が交際している相手が事件に関係ある当事者だと知って、ますます悩んだ結果、久々にあった姉が弟はきっとドラッグ中毒になっているに違いないと思う。実は、この罪悪感が耐え切れないほど重荷になってきていたのであった。

 結果的には、事件は闇に葬られ、女は男と結ばれるだろうという話である。

 Kristin Hannahの「Night Road」という小説では、高校卒業間際の生徒がたまたまほかにドライバーがいなくて一番よっぱらっていない女性が運転して、事故に遭い、一緒にくらしている親友が死んでしまったため、その母親は検事の起訴に同意して、裁判を起こし、結局、女生徒が有罪を認めたということで、6年ほどの実刑を受ける。この場合、アメリカでは情状酌量とかそういう斟酌はなしに、自分に責任があったと認めれば、それだけで有罪、懲役6年とかという判決が出て、おわりである。

 「A Bend in the Road」にもどると、これは一応、単純なLove Storyであるが、男のひき逃げ犯人に対する執着が異常なほどである。あやしげな男Simsがバーで誰かがしゃべっておどかしているのを聞いたというだけで、その威嚇していた男Otisを撃ち殺さんばかりに狙い、彼のボスであるSheriffが、あとは自分たちが調べるからといっても耳を貸さない。これはすこし反応が異状である。だいいち、酒場で、みんなの居るまえで、犯人未解決のひき逃げ殺人を自分がやって、お前も同じようになるぞ、などというような話はありえないことである。別室でというのならわかるが、このSimsという男が拾い聞きするくらいだから、周りに人がいるなかでのことであり、、そんな進展はありえない。おとこが威嚇のために言っているのはあきらかだから、Deputy Sheriffとしては、それを参考に、また別の角度から調査するとかするほかないはずである。ということで、これは小説だからといってしまえばそれまでである。すこし、話の進展に無理があると私は思った。

 避けられない事故というのは起こりえ、この小説の場合は当事者がすぐに自首しないで、逃亡したままになったために犯罪が成立した。事故で死んだというのと、殺されたというのとはえらい違いである。したがって、Otisという男が、自分が殺したというようなことを言っていると耳にすれば、頭にくるのもわかるが、そのあとのやり方が昔の西部の無法者のやりかたで、ちょっとLove Storyのテーマにそぐわないという感じがする。この男の態度、周囲のものの忠告に耳を貸さないという男の態度は、恋人としてみれば、すこし将来が心配になるような性格といえる。穏やかな、話のわかる男という感じではない。まあ、男女関係はいろいろだから、こういう男女もありうるということかもしれない。

 私はこれでNicholas Sparksを10冊ほど読んだことになるが、今のところ、私が選ぶTopは、最初の「The Notebook」と「A Walk to Remember」である。「A Walk to Remember」は単純で深く感じさせる内容で、読むたびに、そして映画を見るたびに胸があつくなる。小説と映画は異なるが、話のSpiritはよく捉えていると思う。小説のほうは40年前の回想となっているので、1950年代、丁度 Salingerの「Catcher in the Rye」にあらわれた文体、表現がこの小説でもつかわれていて、それが内容の展開に効果を挙げている。映画は現在の話である。

村田茂太郎 2014年11月11日

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