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12/01/2012

「心霊現象の科学」をめぐってーその34 Arthur Guirdham 「カタリ教徒と転生」The Cathars and Reincarnation を読む


「心霊現象の科学」をめぐってーその34 Arthur Guirdham 「カタリ教徒と転生」The Cathars and Reincarnation を読む

[The Cathars and Reincarnation] by Theosophical Publishing House ISBN:0-8356-0506-X 1970, 1978

 Dr.Sandra Gibsonサンドラ・ギブソンPast Lifeのメモリーを、夢と催眠術Past life therapyで確認したが、それは歴史上の具体的な名前と結びつくところまでは行っていなかった。しかし、彼女にとっては、それは事実に等しいインパクトをもつものであった。

 アーサー・ギルダムの「カターリ教徒と転生」という本を読むと、20世紀の若い女性が700年前の13世紀に起きた大事件の渦中にあって、恐ろしい目にあったことが語られ(異端として火あぶりの刑で焼き殺される)、彼女の場合、かなり事実として証明されるほどに有効なPast Life Memoryであることがわかる。彼女のNightmareにでてくる人物が、スペイン異端審問の記録の中に残っていたため。

 この女性(Mrs. Smith匿名)は13歳頃から、夢におそろしい体験を具体的なかたちで見るようになり、20年後に、精神分析医であるDr. Arthur Guirdhamに相談に行ったことから、このCathars(キリスト教徒カターリ派)に関する、有名なReincarnationの話ははじまる。Guirdhamも、この女性も、13世紀に起きたCatharの悲劇については特に目立った知識はもっていなかった。あとで、Guirdhamは自分で調査し、Mrs. Smithのほうは特にたちいって調べるようなことはしなかった。

 わたし(ムラタ)は高校生の時、世界史で、ヨーロッパ中世に起きたキリスト教徒のエルサレム聖地回復運動=十字軍の話は名前だけは知り、そのなかには少年十字軍とか、イギリスのRichard the Lion Heartedリチャード獅子心王などの名前がでたことを覚えている。そして、ひとつ特異な十字軍があったことも。名前だけだが、アルビジョア十字軍Albigensians(1209-1229年)といわれているものである。

アルビジョア十字軍は名前は十字軍だが、アラブ占拠のエルサレムをキリスト教徒のために回復しようというのとは違って、これはキリスト教内部での“異端”征伐であり、ピレネー山脈にちかいLanguedoc方面で栄えたキリスト教の一派Cathars派を異端として抹殺した恐ろしい出来事であった。1万人以上のまじめなキリスト教徒が、ただローマ・カトリックと違うというだけで、異端の宣告を受け、何百人もの僧侶が火刑でころされ、庶民も入れてTotal1万人以上のCatharistが虐殺された事件である。丁度、島原の乱のようなものであるが、Cathars派は島原のChristianたちのように鮮烈な戦いはしなかったようだ。カターリ派の平和愛好の僧侶たちは、カトリックが自分達を異端として、火あぶりの刑で抹殺するとは思っても見なかったに違いない。これは中世後半、異端審問で反対派を火あぶりで処刑し、魔女狩りでつぎつぎと無差別に反対派を焼き殺していった、同じやりかたのはじまりだったかもしれない。一神教は自分だけが正しいと信じると、平気で無差別に反対派を抹殺してゆけるという恐ろしさを保持している。キリスト教内部での粛清で、ローマ・カトリックの方針(三位一体説等)に従わないキリスト教徒(異端)は暴力的に抹殺された。これはフス戦争、そして宗教改革までつづき、魔女狩りとなっていく。

昔、高校生の頃、受験勉強補助教材として買った“数研出版―世界史辞典”の“アルビジョア十字軍”を見ると、こう書かれている。=13世紀初め、南仏のアルビ地方に流行したキリスト教カタリ派の一派。教会と対立抗争し、1209年法王イノケンチウス3世はこれを異端として討伐行動を起こし、教徒はトゥルーズ伯レーモンをいただいてこれに反抗した。20年にわたって仏王と教徒の間に悲惨な闘争がくり返され、教徒の全滅となって終わった。この戦いをアルビジョア十字軍ともいう。

時は有名なイノケンチウス3世の時代であった。この辞典の情報によると、1229年に戦いはおわったように書かれているが、丁度、島原の“隠れキリシタン”のように、カタリ派は存在し続け、1242-1244年のまた別の虐殺(200人の僧侶の火刑など)となっていったことが、この女性のPast Life Memoryから、そして歴史的資料からわかる。

この中世をテーマに歴史小説を書いた有名なフランスの小説家Zoe Ordenbourgは、このカタリ派のアルビジョア十字軍の物語をくわしく展開しているようであり、もしかして、このひともカタリ派の記憶を持って生まれた人間の一人、つまり転生の一人なのかもしれない。

 Cathars キリスト教徒は無抵抗主義ともいえる、寛大で、穏やかな、東洋的・仏教的な信仰(菜食主義、Non-resistance)をもった集団で、当時、カトリックの法王権力は最高に強力になっていたころで、平和にすごしているCathars派を殲滅しなければ、自分達カトリック教の将来があぶないと信じて、“異端”殲滅のための“アルビジョワ十字軍”を起こした。その虐殺の指導をおこなったのは、これも世界史に名を残している“シモン・ド・モンフォール”の父親で、のちに彼は暴徒に殺された。

 この若い女性(Mrs. Smith匿名)のPast lifeの記憶が、これまで不明であった歴史を書き換えることになった。彼女の記憶がHistoryとして記された。たとえば、それまでCatharsの僧侶は黒い衣装を身に付けていたといわれていたが、この女性が黒ではなくDeep Navy Blueの衣装だと主張し、やがてほかの資料から、彼女の方が、それまで歴史的に信じられていた情報よりも正確である事がわかった、つまり、まさにその時に生きていた記憶を持った人間として転生したことを証明したのであった。同じようなことはMany Lifetimesで有名なJoan Grantについてもいえるようで、彼女Grantは自分のPast Lifeの記憶をつぎつぎと歴史小説に書き著し、それまで、エジプト学の専門家でさえ知らなかった事実を小説にあらわして、あとでその正しさが証明されるということになったりした。Past life psychicといえる。このミセス・スミスも、あまりにも鮮やかで悲劇的な夢を何度も見たので、まだ10代のころから、その13世紀カタール派の自分の恋と悲惨な終末を小説に著そうとしていた。

  Reincarnationも研究した、例の、すでにこの「心霊現象の科学」シリーズで紹介した、すぐれたParapsychologist D. Scott Rogo も、その著 「The Search for Yesterday」(A Critical Examination of the Evidence for Reincarnation)の中で、this is potentially one of the most important cases ever documented と言い、Guirdham’s book would be hard to beat.と書いているほどである。(ただし、Dr.Guirdhamは証拠資料の提示を拒絶したため、信憑性に問題は残るとかとRogoはコメントをつけている。もちろん、Fictionで本当のように書くことも可能であるが、彼のケースの場合、彼がMrs. Smithの話の信憑性をしらべるために、専門のフランスのCathars学者に会って調べたりしているので、その方面から追跡することは可能であったろうし、Catharsの悲劇とSpanish Inquisitionがからむ、暗い過去をただ証明するためだけに、彼にとって重要な証拠書類をOpenにしたくはなかったのかもしれない。)

 Dr. Guirdham夫妻がFranceToulouseツールーズの近くで泊まった翌日、Retired Senior R.A.F. Officerと話し合う機会があった。Officerは活動的な人物で、あちこち歩き回るのが好きであった。「わたしはPyreneesピレネーを知っているかと訊ねた。彼は知っていて、その地域を上手に説明した。わたしはMontsegurという場所をわたしは一度も訪ねたことはないが、名前を聞くだけで、ただごとでない感情に襲われる地域であるが、それについて彼に訊ねた所、彼の表情はこわばり、わたしをしげしげと見つめて、“イエス, 私は行ったことがアル、どことなく雰囲気がおそろしいところだ”といった。それで、Awfulとはどういう意味かとたずねたところ、山の頂上に向かってワイフと登り始めて、すぐに説明できないような恐怖の感情に襲われた。それで、ワイフに、自分には、ここは全体が血塗られているような印象を受けたが、お前はどうかときいたところ、彼のワイフも彼と同じような印象を持ったということがわかったという。彼はCatharsについては何も知らなかった。しかし、彼が恐怖を抱きながら山越えをしていた場所は、1244年、Cathars派の僧侶達200人が火刑で焼き殺されたところであった。」

 「・・・あなたが言っていることは、700年経ってからも、その血塗られた恐怖の有様が残っているということですよ。そして、“もちろん、その通り。結局、わたしはそれを感じたのだから。”という返事であった。」

 「わたしたちが何かについて熱心に話しているのを知ったドクターが、何について話しているのかと熱心にきくので、Catharsの件だと説明したところ、彼はCatharsについては何も知らないが、彼は家族のものとピレネー山脈にいったことがある。Absolutely Lovelyだったが、Haunted(亡霊でも出そうなところ)だ、そして長いハイキングの間、鳥の鳴き声を一度も聴かなかったため、子ども達に賞金までだして、誰が最初に鳥の鳴き声を耳にするかと競争したが、だれも聞かなかった、といった。」

 1962年3月、Mrs. Smith は、別のドクターの紹介で、精神分析医として著名なDr. Guirdhamのところにやってきた。子供の頃からNightmareで夜中に悲鳴を上げるので、町中にきこえるほどであった。それが20年間も続いていたという。いつも同じ夢をみて。

そのとき、Dr. Guirdhamは、自分がCatharと関係があるとは全く知らず、気がつかなかった。しかし、この女性の話をきいて(Dr. Guirdhamが13世紀、フランスで、自分の愛人Rogerであったとかという話)、興味を持ち、調べてゆくうちに、ドクターGuirdham自身がCatharのひとりで、実は、本当に、この女性の13世紀の愛人であったということがわかってくる。そのため、Dr. Guirdhamはまじめに、真剣に、Catharに関する調査をはじめ、だんだん、彼女の言っていることが正しいと感じるようになる。そして、彼自身はPast Lifeも何も信じないはずの人間、科学者であったはずだが、いつのまにか、13世紀にCatharの人間として生きていただけでなく、それ以前にもPast Lifeがあったということ、また、この13世紀のCatharの信者達の仲間の何人かが、Dr. Guirdhamのまわりに共存しているということまでわかってきて、それを事実として信じるようになる。13世紀のそれほど有名でもない人間の名前まで、Spanish Inquisitionのレコードによって、証明されてくるという次第で、Rogoの言うように、間違いなく13世紀に虐殺された人間たちが、20世紀に過去の記憶をもって。生まれ変わって生きているということの証明が果たされたといえそうである。

虐殺された、おそろしい、なまなましい記憶がピレネーの山の奥で蘇っただけであれば、その場に残る恐怖の記録Electro-Magnetic FieldRecord がサイキックによって読み取られたとか、Possessionの考えも可能であるが、イギリスの片田舎で生まれ育ち、Catharの歴史について何も知らない少女が、そうしたフランスのピレネー山脈周辺で起きた、恐ろしいNightmareに毎夜襲われるとなると、Possessionでは説明がつかない。

Mrs. SmithDr. Guirdhamにはじめてあった時以降、あの毎夜の如く続いたNightmareから、はじめて解放されることになった。Mrs. SmithDr. Guirdhamが13世紀に、同じ境遇で悲惨な体験をした仲間であることがわかったのである。”It was a hell of a shock to walk into that room and see you there, and I thought my mental condition was worse than I feared.” あなたの診療室に初めて入って、貴方を見たときのショックは大変なもので、わたしは自分が心配していた以上に頭がおかしくなっているのだと思ったほどである。

1966年2月、Dr. Guirdhamは、以下に抄出する“生きたまま焼き殺されたという犠牲者の恐ろしくも具体的な記述”を Mrs. Smithから受け取った。このRealな恐怖に満ちた夢Nightmareは、1949年ごろ、つまり、彼女がまだ10代のころの夢である。この記述は、彼女の体験が、ただに夢であったというだけでなく、まさに彼女が体験したことがホンモノであったととるかどうかは読者の判断にまかされる。彼女はドクターに、最初、その恐ろしい夢の要約だけを送ろうと思ったが、なまなましい印象をふくんだ全体をそのまま届けた方が良いと判断し、書かれた当時のまま、訂正も校正もなしにドクターに送ることにした。

“This is the dream about the burning…..I don’t think I have dreamt about dying before. I hope this dream is not a warning that I shall soon die. My brother says that if you tell anyone your dreams they won’t come true. I can’t tell anyone this, so if I write it that is almost the same thing, it won’t come true. I wonder why I didn’t scream. I couldn’t have or someone would have told me about it and I would have woken up with a sore throat. I must have committed a fearful crime to deserve such an agonizing death. So must the others. There were some more besides with me. They didn’t seem, afraid either. We all walked barefoot through the streets towards a square where they had prepared a pile of sticks all ready to set alight. There were several monks around singing hymns and praying. I didn’t feel grateful. I thought they had a cheek to pray for me. I must be rather a wicked person. I don’t think wicked things when I am awake, but I dream awful things. I hated those monks being there to see me die. A girl at school once said she dreamt of Christ’s crucifixion. I would rather be crucified than burnt. これは燃えることを体験した夢である。わたしは一度も自分が死ぬ夢をみたことがなかった。この夢は、わたしがもうすぐ死ぬという警告でないことを希望する。弟が、夢は誰かに告げると、本当にならないという。わたしは誰にもいえない、そこで書くことにすれば、同じことだろうと思う。わたしはどうして悲鳴を上げないのだろう。悲鳴をあげられなかったのだ、そうでなければ、誰かが私を起こし、わたしはのどが痛かったに違いない。わたしはそんな苦しい死にかたをしなければならないほど恐ろしい犯罪をしたに違いない。そしてほかの人も。私のそばにはもう何人かが居た。彼らは恐れていないようだった。私達は裸足で広場に向かって、通りをあるいていた。その広場ではすでに火が付けられるように薪が摘んであった。何人かの僧侶がうたったり、祈ったりしていた。わたしはあり難いとは思わなかった。わたしは私のために祈るほどに彼らの面の皮が厚いのかと考えた。わたしはむしろ意地悪だったに違いない。わたしは目覚めているときは意地悪なことは考えない、しかし、夢ではひどいものを見る。わたしは僧侶が、わたしが死ぬのを目撃するためにそこにいるのを憎んだ。学校で一人の女の子がキリストの十字架にはりつけになる夢をみたといったことがある。わたしは焼け死ぬよりは、はりつけになったほうがよいと思った。

The pain was maddening. You should pray to God when you’re dying, if you pray when you’re in agony. In my dream I didn’t pray to God. I thought of Roger and how dearly I loved him. The pain of those wicked flames was not half so bad as the pain I felt when I knew he was dead. I felt suddenly glad to be dying. I didn’t know when you were burnt to death you’d bleed. I thought blood would all dry up in the terrible heat. But I was bleeding heavily. The blood was dripping and hissing in the flames. I wished I had enough blood to put the flames out. The worst part was my eyes, I hate the thought of going blind. It’s bad enough when I ‘m awake but in dreams you can’t shake the thoughts away. They remain. In this dream I was going blind. I tried to close my eyelids but I couldn’t. They must have been burnt off, and now those flames were going to pluck my eyes out with their evil fingers. I didn’t want to go blind. 苦痛で気がくるわんばかりである。人は死ぬとき神に祈る。苦痛のなかにいるときも祈る。しかし夢の中で、わたしは神に祈らない。私はロジャーの事を考え、どんなに心から愛したかを思う。私が彼が死んだと知ったときの苦痛にくらべれば、いじわるな炎の痛みはその半分ほどもひどくない。私は突然死ねることをうれしく思った。私は焼き殺されるとき出血するなどということは知らなかった。わたしは熱さのために血がドライに干上がってしまうと思っていた。ところが、私はひどく出血しはじめたのだ。血はたれて、炎のなかで音を立てている。私は炎を消すほどたくさんの血があればよかったのにと思う。一番の問題は目である。私は目くらになることをおそれる。もし目覚めていても、そういうことを思うのは嫌なものだが、夢の中ではソウ思っても、その思いを追いやることが出来ない。それはそこにとどまっている。この夢では私はめくらになる。わたしは瞼をとじようとするが、出来ない。すでに燃え落ちたに違いない。いまや、炎はそのいまわしい指でわたしの目を引き抜こうとしていた。わたしはめくらになりたくない。

The flames weren’t so cruel after all. They began to feel cold. Icy cold. It occurred to me that I wasn’t burning to death but freezing to death. I was numb with the cold and suddenly I started to laugh. I had fooled those people who thought they could burn me. I am a witch. I had magicked the fire and turned it into ice. 炎は結局それほど残酷でもなかった。それらは冷たく感じられるようになった。凍るような冷たさ。わたしは焼け死のうとしているのではなく、凍死しようとしているのではないか。寒さでしびれ、突然、わたしは笑い出した。わたしは、わたしを焼き殺せると思った人びとをだましてやったのだ。わたしは魔女だ。わたしは火に魔法をかけて、それを氷にかえたのだ。・・・

The Cathars and ReincarnationPage88-89の紹介である。いわゆる少女の見る夢というよりも、まさにPast lifeを再現しているような、リアルでおそろしい夢である。

こういう夢を常習的・日常的にみると、たしかに、Sandra Gibsonが考えたように、頭がおかしくなったのか、どこかに問題があるのではないかと思ってしまうであろう。この Mrs. Smith の場合は、 精神分析医で、前世でカタリ派の仲間・愛人Roger(?)= Dr. Guirdham に会うことによって、自分の夢は、悪夢ではなくて、実際に起ったできごとを思い出しているのだということを、ただちに理解して、(自分の13世紀の愛人であったRogerが、この Dr. Guirdhamとして転生しているのをさとり、夢は事実であったことを自分で確認でき)、Nightmareは消え、あとは、過去の再生と向かうわけである。

これは、非常に面白く重要な本である。Dr. Guirdhamはこのあと、カタリ派の仲間が1960年代同世代の人間として生きているのを突きとめる話を本にし(We are one another, Group Reincarnation)、それから、自分の中世以前の前世の記憶の話を本(The Lake & The Castle)にしている。

村田茂太郎 2012年11月29,30日、12月1日 執筆

 

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