村田茂太郎 (Murata Shigetaro) のブログ　”海外子女教育”、”心霊現象の科学”、など: Big Bend National Park

Shigetaro Murata 拙著「寺子屋的教育志向の中から」（瞑想と回想と感想とーロサンジェルス日本語補習校あさひ学園での１５年）全内容を紹介し、同時にほかのエッセイも紹介、私が親しんだアメリカの自然　（California並びにSouthwestなど）を紹介したいこと、また、いくつかの「日本の自然ならびに文化史跡など」を紹介しています。「心霊現象の科学」超常現象も私には大事な領域です。私のブログ内での検索機能は便利です。このブログの中で調べるのにご利用ください。表紙写真　　Bee Canyon Park,　Buster &　Che Che　(2 senior dogs) 、　Granada Hills,　 Los Angeles, California

8/01/2012

Big Bend National Park－Rio Grandeをめぐって（Texas）エッセイと写真紹介

Big Bend National Park－Rio Grandeをめぐって（Texas）エッセイと写真紹介

　Big Bend　National Parkを見た人が感じることは、様々な景観の多様性ということであろう。Big Bendの中の孤立したChisos Mountains（チゾス山脈）にコケとサボテンとが同じ場所に育っているという風変わりな生態系からもわかるような多様性がどこに行っても感じられ、それがユネスコから貴重なBio-sphereとして、地球上の保存区域として指定されたわけである。Big Bendで見かけられた鳥の種類は４００種を超えるといわれ、これは全米のNational Parkの中では最高である。鳥で象徴されるように、他の動物も植物も多いのである。

　Big Bendといえば、ドライな砂漠で囲まれたParkであり、ホンの少しの山があり、メキシコ国境を形作っている川（Rio Grande）があるだけなのだが、それがどうしてと思わせるほどの動植物の多様さを生み出している。Big Bendに限らず、規模としては小さいGuadalupe Mountains　National Parkも、Silver Cityの上のGila National Forestも、他の北部のNational ParkやNational Forestに比べると、驚くほど沢山の動物や植物が生育・棲息しているし、見つかっている。

　なぜだろうと考えてみる。エルパソ近郊のHueco Tanks　State Historical Parkがその答えを出しているように思われる。ドライなエルパソ近郊で、雨量も少なく、まわりは砂漠に似たような地域だが、Hueco Tanksはソノ岩の特殊性によって、水をためることが出来たため、湧き出たわけではないが、砂漠のオアシスの役目を果たし、そのまわりに草木が育ち、自然と、水と食物を慕って動物が集まるという環境が生まれた。何もない岩だらけのようなHueco Tanksにやってきた鳥の数（種類）は１９０種を超えるといわれているのである。GuadalupeもGilaのForestも、Big Bendも、いわば、砂漠の中のオアシスであり、どのような生物も砂漠で生きているかぎり、あるいはメキシコからアメリカへと南北を渡ろうとするかぎり、オアシスに立ち寄らねばならず、命を支える水分が見つかるから、そして食物があるから、すべての生物はこれら水分を含んだ地域に立ち寄ることになるのであろう。

　そういう意味で、Big　Bendを見た場合、何といっても、Rio Grandeのもつ大きな役割を認めざるを得ない。Rio Grandeはコロラドに発してGulfにそそぐまで、トータル約１９００マイルのうち、１０００マイルにわたって、テキサスでメキシコと国境を形成している。他の川には見られない、重要な役割をもった川であるが、そういうことを離れて、Big Bend National Parkの地域だけを見た場合でも、この川のもつ素晴らしさは明白である。Rio GrandeはBig Bendにおいて三つの大きな深いCanyon渓谷をつくり、それはすばらしい景観を生むと同時に、川下りの冒険を楽しめる立派な環境を生み出している。Santa Elena Canyon,　Mariscal 　Canyon,　Boquillas Canyonという三つの有名なCanyonはRio Grande（Los Rio Conchos）によってつくられ、それは感動的な光景を生むと同時に、いかにもBig Bend風と呼ぶしかない広大で遥かなる空間を生み出している。Rio Grandeの流域にひろがる大草原と壁のように立ちはだかる壁のように立ちはだかるSierra Del CarmenやSierra Del Ponceの光景は荒々しさと雄大さ、そしてあらされていない自然さの象徴のようで、ひとは思わず、人間の位置、卑小な自分と言うものを振り返ってみる気になる。

　Mississippi Riverのように、豊かに流れているわけではないが、Rio Grandeはその流域に膨大なBosque湿地帯や大草原を生み出し、それはBoquillas Canyon辺りでは大森林のように広がって、多様な動植物の生息環境をつくりだしている。広大な空間の下に広がるリオ・グランデとソノ流域の草原は、Sierra del Carmenの絶壁と美しく調和して、たとえようもないほど豊かで見事な光景に見える。豊かな自然の生命に満ちた生活環境という事実が、この光景をより美しく誇らしいものに仕上げているといえる。よく夕陽に映えるリオ・グランデとチゾス山脈をシルエットで捉えた写真を見かけるが、全くソノ通りで、見事な美しさを感じる。

　従って、Big Bendを本当に味わうためには、Boatか何かに乗って、この３つのCanyonのどれかを実際に下ってみることが必要である。私はまだ実行していないが、いつかやり遂げたいと思う。有名なRoss Maxwell Scenic Driveの終点にあるSanta Elena Canyonを二度訪れ、一度目は対岸に渡る時間はなかったが、二度目は何としても対岸に渡ろうと、私は濡れてもよい運動靴を別に用意して出かけたところ、幸いにも丸太を４本ほどしばって渡してあり、苦労しながら何とか対岸に渡れたので、そのSanta Elena CanyonのTrailを終点まで歩くことが出来た。その間、Lajitaから出発したと思われるボートが何艘か静かに１５００Feet（４５０メートル以上）の切り立った断崖の間を流れて、草原のかなたに消えていくのを見て、私もこうして上から見たり、岸から見るばかりでなく、舟の中からBig　Bendを味わいたいと切実に思った。

　Boquillas Canyonは川岸に草原だけでなく、Sand Duneを岸との間のスロープにつくりだし、大人も子供もはるかな高みに上がって、砂遊びと特異な光景を楽しんでいる風であった。私も上からの光景を味わおうと砂の坂を苦心して上り、楽しいひと時を過ごすことができた。

　Rio GrandeはBig Bend National Parkの中だけで１１８マイル（約２１０キロ・メートル）あり、最後のBoquillasから川下の１２７マイルLangtryまでをRio Grande Wild and Scenic Riverと名づけている。（トータルで２４５マイルのFloatable River）。全部見てまわろうと思えば、大冒険で何日もかかるわけで、ふつうは３つのCanyonのどれかをトライするらしい。それでも１日から３日はかかるという。Santa Elenaは急流で有名で、Mariscalも困難だとか。素人だけでRaftingを試みて死ぬケースもあるそうである。わたしはもっともEasyというBoquillasを３日かけてFloatしたものだと思う。もちろん、プロを雇っての話である。季節は１０月１１月がベストとか。川くだりは水量が少なくても多くても難しく、一番適当な時期は１１月ごろということになるらしい。１８９９年Dr.Robert HillはLocal TrapperのヘルプでPresidioからLangtryまで、はじめてFloat Downに成功したが、１ヶ月かかったという。コロラド川とはまた違ったWhite Water Raftingなのである。Rio Grandeは一部をFoatするだけですばらしい体験ができるらしい。

村田茂太郎　オリジナル執筆　１９９６年４月１８日、Word Input 2012年８月１日

（追記：川下りを実行しようと、１９９６年１０月早い目にFloatの予約を入れたが、クルマの事故でCancelしなければならなくなり、結局、Rio Grandeの川くだりは実行できなかったのは、本当に残念。）