Nicholas Sparks ニコラス・スパークス「The Rescue」(救助)(2000)を再読して
この本のPaperbackは2001年に出版され、わたしはその年に2日かけて読み終わったらしい。420ページの本である。
どうしたことか、この本の内容に関する記憶がまったくなくなっていた。もっと前に読んだ「Message in a Bottle」とか「A Walk to Remember」などは一度読んだだけで、内容を覚えているのに、どうしたことかと思って、また読み始めたわけであった。いつもGood!とかGreat!とか というチョッとした読後感・メモを本の最後のページに記すのがつねであるのに、この本には、ただ読み終わった日付が記してあるだけであった。したがって、たいした印象をもたなかったのかしらという興味もうまれたわけであった。
いろいろな本を同時並行で読み進めているので、3日かかったが、感想としてはGood!であった。どうして、最初に読んだときにGoodと書かなかったのか。
人によっては「Message in a bottle」がNicholas Sparks Love StoryのベストだとReviewに書いているのをAmazon.com Bookで見かけた。この本“Bottle”は、最初はすばらしいが、わたしには主人公の男性が過去のトラウマまたはObsessionから自由になれず、結局、それから解放されたときは手遅れで、Unhappy Endingになっていたわけだが、この主人公の、Obsessionから自由になれないという“もどかしさ”が私の気に入らず、いいところもあるが作者のベストだとは思わなかったわけである。
同様のことが、再読したこのThe Rescueについてもいえ、そのため、最初に読んだときにはGoodと書く気にならなかったのだろうと、今、思う。このThe Rescueでも、主人公の男性が、自分が作り出した事件のトラウマ、罪の意識、Obsessionから解放されず、もう駄目な人間は駄目だということで終わってしまう寸前に、やっとさまざまな人の手助けで、自分の新たな人生に目覚め、最後にHappy Endingになるという話であったので、わたしは躊躇したのであろう。私にとっては著者の最初のLove Story である「The Notebook」が文句なしにベストである。幸い、この「The Notebook」 は映画もすぐれていて、最近、やっと私はDVDを手に入れることができ、すぐにまた見て、満足した。
しかし、この「The Rescue」は再読して、別な“よさ”を発見した。どちらかというとHandicapといえる子供をかかえた主人公の女性が、Single Motherとして苦労しながら、子供にすべての愛情をそそぎ、言語障害といえる子供を全面的に、そして体験的・実験的に教育しながら成長を見守る姿はうつくしく、それに愛情を見出した主人公の男性との家族的な生き方もみごとなもので、特に悪漢Villainも居なくて、素直に楽しく読める本だとわかった。ただ、彼のNegativeな、なかなか結婚に踏み切れない姿勢が“もどかしく”、Notebookの“潔さ”とは格段の差を感じざるをえなかった。Notebookでは主人公の女性Allieは富みも栄誉も将来もすべてすてて、本来の自分がまちがいなく生きれると確信した最初の恋人のもとに潔くかえっていくわけで、最近、Soul Mateとか、運命の出会いとかについて考えることが多い私には気持ちのよい選択であった。
この「The Rescue」での女主人公Denise Holtonドニーズ・ホルトンは魅力的で、美しく描かれている。Volunteer Firemanである主人公の男性Taylor McAdenテイラー・マッカデンもすばらしい。わたしはこの本を読んで、丁度、Kristine Hannahの「Home Front」を読んで、初めて、Military軍人の家族がもつ運命的な生き方を知ったが、この本でもVolunteerとはいえ、Fireman消防士の危険と接した生き方が家族に与える影響などについて、なるほどと感じたわけであった。去年(2013年?)であったか、アリゾナの山火事救援隊消防士がたくさん焼け死んだ事件があった。日本では雨も多く山火事もあまり起きないと思うが、アメリカでは毎年のように膨大な地域にわたって山火事が発生し、何百軒の家が焼かれ、消防士が突然の風向きの変化で、包囲網から脱出できずに犠牲になるケースが頻繁に起こり、Firemenという職業は本当に命がけなのだと確認することになる。
この物語は、他のすべての著者の物語と同様、North Carolinaが舞台で、場所は海に面した小さな町であるため、正式の消防士はひとりで、あとはVolunteerが緊急時にヘルプに出動することになっている。大都市と違って、小さな町ではそういうこともあろうと感じさせる設定であった。
この物語でも、Rescue Workで主人公のFiremanはVolunteerとはいえ、何度も命がけの行動をするわけで、最後には、もう子供と家族のためにVolunteerをやめるといっていた彼の親友が、工場火事の消火作業の中で落命するという出来事が発生する。主人公の唯一の親友で、4人の子供の親として夫婦で仲良く楽しんでいた生活が一転してがらっとかわってしまう。今も無常の世界に生きているのは確かだということが確認できるような内容であった。
ふたりの主人公男女の出会いは、偶然がもたらした。雨の中、ドライブ中に小鹿がとびだして道路の真ん中でとまってしまったため、避けようとして、かえって自分が車の事故をおこし、なかに乗っていた子供がどこかへいってしまうという事件にであう。たまたま、各地で報告がある救援要請に応じてVolunteer Firemanとしてドライブ中のTayor McAdenが彼女の事故現場に出遭い、そのあとの子供を捜す手伝いをする。それが大規模な操作を必要とすることになる。しかし、彼が子供を見つけて保護し、母親と同じ病院に運び込む。それがこの男女の出遭いであった。
206ページ目で次の文言に出遭った。「I can’t help but
believe that everything happens for a reason. Kyle needed someone like you.」(何かが起きるにはそれだけの理由があるに違いないと信じざるを得ない。子供Kyleはあなたのような人が必要であったのだ。Tayorが母親Deniseに言ったことば。)わたしは今、ブログの「心霊現象の科学」その81でSuzane Northropの「Everything happens for a reason」というサイキックの本の紹介文を書いているところである。この小説を読んでいて、まったく同じ文言に出遭って、なにか感じることがあった。
この本「The Rescue」は悪漢が出てこないので、まあ、読みやすい。気楽に読める。わたしは物語の中で女性や子供をいじめて、虐待する人間が出てくると、素直に小説を楽しめなくなる。同じ著者の「Safe Haven」避難場所 という題名の小説は比較的最近の作品だが、すぐに映画化された。わたしはLA図書館から借り出して読み始め、半分ほどはすばらしいと楽しんでいた。ところが途中で、主人公の女性が悪逆な刑事である夫にいじめられるBattered Wifeであったことがわかり、その夫が怒り心頭に来て妻を探し出そうとする。そこで、わたしは読むのをやめて、まず映画を見ようと決め、同じLA図書館からDVDを借り出して、映画をまず見た。俳優が、まさに上手に残忍そうな演技をうまくやっていて、女性のほうもきれいで、映画としてはよくできていたが、まあ、映画も私の好きなタイプではなかった。わたしは悪漢・VillainがでてこないLove storyが好きである。(たとえば「赤毛のアン」シリーズ “Anne of Green Gables”は大好きであるが、それは犯罪者が出てこない、日常生活を描いた美しい小説だと思うからである。)ともかく、この「Safe Haven」の結末を知って、ふたりがHappy endになるのを確認してから、小説の続きを読み始め、すぐに読了した。まあ、悪くは無かったが、やはり、女・子供をいじめる男が出てくる物語は、わたしは好かないということを確認したわけであった。わたしはこういうLove Story関係の本は、たいがい一日か二日で読み終わるのだが、悪漢が出てきて悪いことをしはじめると読む気をなくすため、その種の本はなかなか読み終わらない。Nicholas Sparksの「The Guardian」という本も買ってあったのが見つかったが、すぐに読み終わらなかった理由はやはり暴力的な男が出てくるためであった。
この物語に現れた親子の関係を見ていると、親子関係のすばらしさと責任重大ということを切実に感じ、わたしは子供としてどうであっただろうかと自分を反省する始末である。
この「The Rescue」は、この、母と子供の関係を見事に描いた物語としてすばらしいものであった。また、Volunteerであれ、何であれ、Firemanもまた命がけの仕事を日常的に遂行している敬虔な職業なのだということを遅ればせながら確認した次第である。
村田茂太郎 2014年3月21日
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