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4/03/2014

「心霊現象の科学」をめぐってーその86 Melvin Morse, M.D. 「Closer to the Light」を読む


「心霊現象の科学」をめぐってーその86 Melvin Morse, M.D. 「Closer to the Light」を読む

 この本「Closer to the Light」(Learning from the Near-Death Experiences of Children)は有名で、臨死体験・NDENear Death Experience)探求の基本文献のひとつとして知られている。230ページほどの小さな本であるが、そこに盛られた内容は豊富で、これは人類の必読書のひとつだと私は思う。Goodとか Very goodでは不充分で、Great!という表現が適切な本である。

 1975年にRaymod Moody ,M.D. , Ph.D.が「Life after Life」という本を出版して以来、On Death & Dyingで有名なElizabeth Kubler-Rossとの二人で、Near Death臨死体験の斬新なデーターを提供して、Afterlifeの研究の重要さを全世界に知らしめたわけであるが、それから10年ほど経っても、まだまだ臨死体験をまじめに受け止める医者・心理学者・精神療法家、脳生理学者はすくなく、そういう研究が出てきても批判的に反応するだけで、一般的には状況はすぐにはよくなっていかなかった。

 このDr. Morseの本を読むと、彼もこの本の出版に至るまでにずいぶん苦労をしたようである。19世紀末に偉大な心理学者・哲学者William Jamesたちがアメリカに、イギリスから学んで、心霊現象を探求する組織をつくったときも、テレパシーのような現象でさえ、まじめに研究できる段階ではなかった。まじめに研究に取り組むには非常な勇気が必要であった。このMelvin Morseの本を読むと、1980年代でも、同じように、臨死体験をまじめにとりあげようとすると、援助資金もうちきられるというような状態であったことがわかる。

 Dr. MorseDr. Moodyの本に刺激を受けて、では自分がその研究をつづけようと覚悟を決め、同じような意欲を持った同僚の協力のもとに、まじめな研究を実行した。

 それを始めるにあたって、丁度、Past life TherapyReincarnationの研究に深入りすることになったBrian Weiss, M.D.のきっかけが、Catherineと呼ばれた女性が彼のOfficeをおとずれてRegression Hypnosisを受けた結果からはじまったように(すでに、このブログで紹介ずみ)、Melvin Morse, M.D.の場合もKatieという7歳の女の子との出遭いが彼のその後の人生を完全に変えてしまうことになった。

 Dr. MorseIdahoの小さな町でInternをしていて、もうすぐSeattleに移る事になっていた。その小さな町で彼はSwimming Poolプールでうつぶせになって浮かんでいた女の子を蘇生させることになった。すでに何時間経ったのか、器具によってかろうじて息をしているだけで、生き返る確率は10%もなかった。血液の酸素濃度を測定するために血管にカテーテルをつかうという作業が必要になったとき、彼女の親たちは、その手術台の身近でPrayerお祈りをみんなでささげてもよいかと彼に訊ねた。Dr. Morseは、どうせ助からないのだから、まあ、好きなようにさせてよいだろうと判断し、OKをだした。医者たちが緊張して手術しているときに、親たちは平静なおももちで、お祈りを続けていた。ところが3日後にKatieは完全に回復した。それは不可能なことが起きたのであった。事後の検査にやってきたとき、ドクターはKatieと話すことができた。彼は、何が起きてプールでうつぶせになって浮かんでいたのかを覚えているかどうか確かめたかったが、何を覚えているのと訊いた時にかえってきた返事が「天界にいるFatherに会った時のこと?」{わたしはJesusHeavenly Fatherに会ったの}。それを聞いた自分の反応があまりにもショックであったのを取り違えたのか、彼女はこのときはもうそれ以上は話さなかった。次回に会って彼女が話してくれたことを聞いたことが、彼Dr. Morseのその後の人生を根本的にかえてしまうことになった。まさに、Brian Weiss M.D.の場合と酷似している。そして、それは彼がまさに科学の心を持ち、虚心に探求しようという姿勢を崩さなかったからであって、援助資金打ち切りとか、まわりの非難・冷笑にも、どんな逆境にもめげず、徐々に探求を深めていったのであった。

 彼女はおぼれたことについては何も記憶がなかった。暗黒の中にいて、体が重く、動けなかった。するとトンネルがひらいて、そこからElizabethがやってきた。エリザベスは背が高く、Niceで、あかるい金色の髪の毛をしていた。彼女の案内でトンネルをあがると、そこには亡くなったおじいさんが居た。ほかにも何人かいた。彼女の新しい友達になったのはAndyMarkで、ふたりはSouls waiting to be born次に生まれる順番が来るのを待っているのだった。そして、この二人が彼女を案内した。

 ある時点で彼女は自分の家を覗き見させてもらった。兄弟姉妹が遊んでいる姿、母がキチンで料理を作っているところ、居間を見ると、父がCouch(ソファー)で静かに前方をみつめているのを見て、彼女は病院に居る彼女を心配しているのだなと判断した。後ほど、彼女が家族のものにこの家を垣間見た話をすると誰もがびっくりした。母が何を料理していたかまで知っていたのだから。

 最後にElizabeth(どうやら、このエリザベスは彼女KatieGuardian Angel守護霊であるようだ)が彼女をJesusHeavenly Fatherにつれていってくれた。Heavenly Fatherは彼女に家に帰りたいかとたずねたので、彼女は泣き出してしまった。彼女は彼と一緒にここにいたいといった。するとJesusがお母さんをもう一度見たいかとたずねたので、Yesと応えたら、彼女は目が覚めた。

 これを話すのに1時間ほどかかった。彼女はShyな控えめな女性であったが、言っていることに対しては確固とした力がこもっていて、自分Dr. Morseはその話をそのとおりに信じた。彼女は何かがあったのは確かだが、何が起きたのかわからなかった。そして自分Dr. Morseもまったくわからなかった。そして、まずICUの看護婦にあって、彼女が最初に発した言葉が、MarkAndyはどこにいるの?だった、と教えてもらえた。つぎに、ドクターはKatieが天国とか守護霊とかトンネルとかといった信仰にどっぷりつかっていたのかどうかを母親に確かめた。母親自身はモルモン教徒で、Afterlife死後の世界を信じているけれど、家の中の誰もそういうことには無関心で、いちども家庭の話題になったこともない。念のためモルモン教徒で医者の同僚にたしかめたら、Spirit GuideとかGuardian AngelとかTunnelとかはモルモン教ではタッチしないということであった。彼女の体験はMemoryからきたものではないことを確認してから、Dr. Morseは医学の文献を調べ始めた。そして、NDE, Raymond Moody, M.D.に出遭うことになった。

 このNDEに関しては、Drugや酸欠や麻酔やいろいろほかの理由で説明できると考える人がたくさん居た。しかし、本当にいったん死んだ人、そして奇跡的に生き返った人だけがユニークな体験をしてきたということがわかった。それはDrugその他では実現できない超常現象の体験であった。

 Dr. Morseは、数ヶ月経ってKatieIdahoから去って、予定通りSeattleの病院に赴任した。そして、そこで臨死体験を研究する体制をととのえた。すでにその道で有名になっていたDr. Bruce GreysonNear-deathの研究ですでに有名になっていたKim ClarkKimberly Clark このブログですでに紹介済み)(彼女がSeattle, Harborview HospitalでのNurseであったときに、Mariaという患者の対外離脱体験の証拠品といえる靴を見つけたがそれは、このKimberly Clarkが病院の5階の窓のそとからPick-upしたということで、世界的有名になっていた)などが、このリサーチ・グループに加わった。

 NDEを体験するには本当にNear Deathを体験しないといけないのかどうかを調べるため、コントロール・グループ121人の子供たちをえらんだ。彼らはCriticallyIllだがNear Deathの状態ではない。重態だが死ぬ確率は5%以下の子供たちであった。研究グループに該当する子供たちは12人がえらばれた。それは過去10年間の資料を基にInterviewもおこなったものであった。注意深く調査を行った結果、判明したことはNear Death Experienceをもつためには、本当にNear Deathの体験が必要ということで、121人の重態の子供たちの誰も、いわゆるNear Death Experienceは体験しなかった。

 そして、臨死体験者はそれぞれがユニークでしかも共通性のある体験をしたのであった。

 1986年にDr. Morseは彼の研究結果を医学雑誌に発表した。反応はあったが、否定も強く、まさにPublish & Perishの体験となった。Dr. MorseStanceは人々は、ほとんど病院で亡くなるのだから、Dyingのプロセスも病院で調べるべきだというものであったが、大方の意見はDeathに触れるのはタブーという感じで、だれも積極的に取り組もうとしなかった。

 臨死体験者に共通するものは、大人であれ子供であれ(Dr. Morseは子供の臨死体験研究で有名になったのであるが)、だれも大いなる光(Light)を体験することであった。太陽よりも明るく、しかも目を傷めない光、それに接するだけで愛情に包まれ、やさしく、あたたかく、大切に保護されたような、安心できるもの。これはどのDrugも麻酔も酸欠も生み出さないものであった。Light! たいていのものは脳のある部分のはたらきで説明が可能なのは確かであるが、脳では説明が不可能なもの、それがLIGHTであった。だれもが、NDEFinal段階でLIGHTにであうのであるが、それは単なる光ではなく愛情に包まれた何ものかで、あるひとはその光の中から神の声を聞き、そしてまさに人間が変わったようになるのであった。

 ひとつ印象的な話を紹介しておこう。7歳で自殺を図って、ほとんど成功しかけたが、生き返った女性の話で、彼女は不幸な家庭に育ち、信頼できるひともいず、たまりかねて自殺を実行したのであった。険しい丘の上からセメントでできたベンチに頭からぶつかって死のうと決心し、Sledに乗って、実行したのであった。うまくベンチに当たった途端、彼女は対外離脱の状態にあった。子供たちが彼女の体を囲み、調べたりしていたが、誰も彼女をヘルプしようとしなかった。彼女にはそれは驚きではなかった。そういう同情や愛情を期待できる町に住んでいるわけでないことを彼女はすでによく知っていた。彼女はどんどん上にのぼっていき、ビルの屋根をこえた。まだ上がってゆき、突然、傘のようなものに包まれた。そして彼女は輝かしい光の中に居た。その中から声が聞こえた。「おまえは間違いをした。おまえの命はおまえがあずかっているのではない。帰りなさい。」わたしは逆らった。「誰も私を気にしていない」。その応えはわたしに驚きであった。「そのとおり、このPlanetで誰もお前のことを気にしていない。おまえの両親も含めて。だから自分で自分の世話をしなければならないのだ。」

 彼女はひどいけがをしていた。首の骨はおれ、いたるところめちゃめちゃに怪我をしていた。できれば、もう一度、坂を下って、今度は本当に死のうと思った。そう思った途端、彼女はまた傘につつまれ、対外離脱の状態にあった。暖かい愛のバブルにつつまれて、雪と氷がとけて、まわりは緑で、彼女はリンゴをもいで食べることができた。それは楽しく、喜ばしいことであった。冬と夏。彼女はVisionが見せてくれた意味を理解することができた。今の彼女の人生は厳しい冬といえるものだが、そのあとには明るく楽しい夏が来るのだとわかり、肉体に戻る決心をした。そのあとも大変であった。何ヶ月もComaの状態であった。対外離脱から肉体に戻ることがどんなに苦しいことであったことか。そして、彼女はChild Abuseの犠牲者におわらないで、自己を主張するたくましい人間に成長してゆき、恵まれなかった家庭のかわりに、家庭愛を築くことに心がけ、結婚して三人の子供に恵まれた。自分を傷つけると、すべてのものが傷つく When you hurt yourself, everything is hurt.

 臨死体験でいきかえった人間はみなうまれかわったようになる。人生には意味があり、目的があり自分の任務がある。それを果たさねばならない。しかし、いつかはもとのこの大いなる愛に包まれた光の下にかえるのだ、という認識が、この地上での人生におおいなる励ましの力となる。

 脳には右の耳のうえに位置するRight Temporal LobeSylvian Fissureという部分があり、そこを刺激するとOut-of-Bodyを体験するという。Wilder Penfieldが40年以上前に研究した書物の中にみつかった。NDEが起こる脳の領域はみつかったが、それが起きたときになにが起こっているのかはまだ何もわからない。臨死体験でなくて対外離脱体験をしたという人間を調査したが、だれも本当に対外離脱して自分の目で見たものを確認できなかった。一方、本当の臨死体験者は全員、本当の対外離脱を体験して、そとから目撃していることがわかった。

 いっぱい紹介したい話がかかれているが、この辺で終わりにしよう。

 これは、この本の紹介・私の感想ということで、このブログでの無断の一部内容紹介も許されるだろう。もし、正式にこの私のブログから本を作成する必要に迫られたら、出版社または著者に連絡して許可をもらわねばならないと思う。

 例示された話は場合によっては涙が出てくるほどであった。どうも、世の中には小さい子供のころから、ひどい病気でくるしみ、そして死んでいく人がたくさん居るようだ。ほかのAfterlifeの話を読んでいても、若い人で事故死、殺人事件に出会う、病死、その他、苦しんで亡くなった人がたくさん居るようだ。そういう哀れな人たちも、死んでたのしい世界によみがえり、それを知った家族のものは心から慰められるようである。Death & Dyingは今では病院でおこなわれ、あるときは誰も気がつかないで一人さびしく死ぬことになるようだ。著者Dr. Melvin Morseはそういう病院のありかたにも疑問を投げかけ、またNDE研究のいろいろなアイデアも披露して、この本は小さいとはいえ、膨大な情報を秘めたといえる、すばらしい本であった。誰もが読んで、DeathDyingに関心を持ち、今後の自分の人生、家族の人生を考えていく基本資料としてもらいたいとおもう内容であった。

Indeed Very Good!

Ballantine Books ISBN:978-0-8041-0832-4 Paperback USA$7.99

Closer to the LightMelvin Morse, M.D. with Paul Perry

Foreword by Raymond A. MoodyM.D.

 

村田茂太郎 2014年4月3日

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