「An Invisible Thread」(見えない糸)By Laura Schroff & Alex
Tresniowskyを読む
別の本を読んでいて、その中でこの「An Invisible Thread」が紹介されていて、興味を持ち、Amazon.comで調べてすぐにオーダーし、今日(2014年4月18日)、読み終わった。
Very good! であった。感動的で、心温まるストーリーの展開であった。同時に、こんなひどい環境の中で生きている子供たちも居るのかと現実のおそろしさを実感させる話であった。
Sandra Bullockのアカデミー賞受賞映画に「Blind Side」というのがある。立派な家に住んでいる富裕な家庭の主婦であるサンドラが家族の協力も得て、大きな黒人の男であるが、ホームレスの高校生を家に引き取り、一緒に住まわせ、すべての面倒を見、Footballへの道を歩ませるために家庭教師までつけて、Adoptまで正式にすませ、最終的に男を成功させる話である。この映画はサンドラのてきぱきとした行動振りとその家族の和気藹々とした生活ぶりがうつくしく、何度も見直したい映画である。こういうストーリは見るものの心にさわやかな感動をもたらし、人間の世界にまだ希望が持てそうだという喜びをうみだしてくれる。これは実話を映画化したものらしい。
このLaura Schroffの「An Invisible Thread」も実話である。まだ若い(30代半ば)ビジネス・エリートの女性が、たまたま、New YorkのManhattan 56番街の路上でホームレスの黒人の子供がよびかけた「小銭を頂戴」ということばに一度は無視して去りかけたが、なにが起きたのか、もどって子供と話あい、Macdonaldで一緒に食事をするということから始まった二人の奇妙な交際が、20年以上にわたって継続し、お互いがお互いから何かを学ぶという形で展開した。そのいわば交遊録であるが、それが内容的に、この女性の半生の回想録ともなり、またこの黒人男性の成長の記録ともなっていて、興味は尽きない。
Panhandler(こじき、物乞い)をして飢えをしのいでいた黒人の子供(約11歳)の生活ぶりは、こんなにひどい子供時代をすごすこともあるのかと、驚くほどである。親も関係者(さまざまなUncleおじ)もすべてドラッグ中毒者であるだけでなく、ドラッグの犯罪者であり、一部屋に8人から12人ほどが住むという恐ろしい生き方をしてきた子供が、特に悪き犯罪者にならず、無事大人に成長して行けたのはひとへにこの女性の献身的な愛情とサポートのおかげであることは確かであり、このMauriceという男の子もそのことをよくわかっていて、彼女から学んだ教訓を生かして、まともな家族生活を築いていくことに成功したわけであった。
このLauraという女性は彼女自身問題のある家庭に育ち、母親と兄弟姉妹との関係はよかったが、父親がアルコールを飲むと完全に人が変わったみたいになり、ものすごい暴力をふるって、本人以外のすべてのものを恐怖のどん底に突き落とすのであった。この普段はまともな父親が酒を飲むと恐ろしい人間に変貌するという話をよむと、すでに私のブログの「心霊現象の科学」をめぐって で紹介した、Georgie Ritchieの話などがまさにこれにあたると私は判断する。(心霊現象の科学―その66記載)。Georgie Ritchie M.D. は臨死体験の中でOut-of-Body Experience体外離脱体験をし、空を飛んで、ある町のバーに入って、普通の人はAuraでProtectされているが、アル中のようになった人間は防御のAuraがとれて、その間にまわりにいたアル中の亡霊がとりつく様子を目撃したのであった。
この種のアル中の亡霊がPossessedの状態でいりこむと、酒を飲むたびにこの亡霊がコントロールするかたちになり、自分の本来の個性がなくなってしまうのである。
今なら、このような男に必要なのはDepossessedというかPossessedしたSpiritをその人間から取り除く作業が必要なのであるが、この話に出てくる父親の異常な乱暴振りは信じられないほどであった。この父親がなんとBarで働いていたのだから、毎晩、夜遅く帰ってくる父親の音を恐怖でふるえながら感じていたというのは毎晩のことで、よく耐えたものだと思う。この著者はそういう、家族すべてに(特に母と弟に)暴力をふるい、恐怖の毎日をすごさせた父親を許すことができなかった。ここで、私はDianne Arcangelの「Afterlife Encounters」のなかの Elizabeth Kubla-Ross の Workshop に参加した女性の“許してあげなさい”という話を思い出したほどである。(心霊現象の科学―その84記載)。許容するということは、なかなか難しい場合もあるわけだ。しかし、Elizabeth Kubla-Rossは、こういう場合でも、最後には許してあげなさいといったであろう。
この異例なふたりの交遊録は黒人の子供の育ってきた過去と自分の苦しんだ過去の話を現在の交友ぶりの話にはさみながら、興味深く展開している。
Invisible Threadとは、Chinese Proverbからえらんだ題名で、運命的に見えない糸が二人の人間を結びつけ、相互に影響しあうという話からえらばれたもので、まさに、この話は一見、金を持った心のやさしく豊かな女性が一方的にあわれな黒人の子供を助けているように見えるが、じつは彼女のほうも、この子供の対応振りをとおしてたくさんの大事なことを学び、自分の人生が豊かになっていくのを直接感じることができたわけで、実に、彼女の愛情、やさしさ、寛大さは相互扶助的な効果をもたらしたわけであった。ただのビジネス・ウーマンとしての物足りない生活ぶりから脱して、彼女の生活に生きがいと喜びを生み出すような関係であった。
毎週、月曜日の夕方、ある時間におちあって一緒にどこかで食事をするという交友が、彼女のアパートに招待するという形に進展し、おかげで家庭生活らしきものをまなびはじめ、彼女の姉妹のPartyにも友人として一緒に参加し、ほかの子供たちが彼を特別に差別しないで受け入れてくれることを知って、人間的にも成長していくわけで、丁度、映画「Blind Side」のなかで、サンドラの家庭の子供たちが黒人の大男を受け入れ、彼の成長をヘルプするすがたが感動的なのと同様、心温まる展開である。
1000回以上も続いたこの月曜日の食事その他の交友も、時には理由があって途絶えたりしたわけであるが、この黒人の子供が結婚し、家庭を築き、彼の夢を実現していく姿を確認でき、ふたりは母と子のような信頼した関係を生きることができたのであった。
いろいろな意味で、印象的で自分を振り返らせる、すばらしい実話であった。
「An Invisible Thread」Laura Schroff & Alex Tresniowski
Simon and Schuster ISBN: 978-1-4516-4897-3 (2011)
村田茂太郎 2014年4月18-19日
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