「心霊現象の科学」をめぐってーその67 Dr. Edith Fiore 「Unquiet Dead」(成仏できない仏たち)を読む
すでにGeorge Ritchieのところで(その66)、Possessionについて触れたので、Earthbound Spirit(地上をさまよう亡霊たち)によるPossessionを研究したこの本についても紹介しておきたい。
副題はPsychologist treats Spirit Possession (心理学者がとりついたほかの人の魂を扱う) となっている。1987年に発表され、その後のDepossession(とりついた魂を取り除く)またはSpirit Releasement Therapy(とりついた魂を解放させる療法)の基本資料となった本である。
その後に、Dr. Fioreから学んだと思われるDr. William BaldwinやDr. Louise Ireland-Freyの本があらわれた。どれも面白く、またある意味ではおそろしい内容を含んだ本だといえる。つまり、簡単に、死んだSpiritがからだにとりついてしまうわけで、それは普通の人でもいくらでも取り付かれる可能性がある状況でとりつかれるということであるから。つまり、手術で麻酔のもとにいるとき、アルコールやドラッグで意識不明に近づいたとき、出産時、Emergencyで死にそうになったとき、お墓や葬式の場で悲哀に陥ったとき、その他、精神的に落胆して無防備に近い状態に陥ったときなど、なんでもないような状況の中で、Earthbound Spirit(地上をさまよう、昇天できなかった魂)がとりつくというのだから恐ろしい話である。
そして、こういうことを書いているドクター自身、自分はOKといっているわけではなく、友人のTherapistに手伝ってもらって、2つか3つの、自分に取り付いたEarthbound Spiritを解放させてもらっているのである。つまり、すべての人間が体内になんらかの外からやってきた魂と共存しているということになる。極端な場合は何人もの人格がすみついたような人間にあてはまるが、(Three faces of Eve, Sybilなど)、そういう極端な場合でなくても、肉親の霊でもついているケースが多いという。
これらの本を読むと、私自身何度も耳の大手術や虫垂炎の手術など麻酔を使った手術をやっているので、いくらでもSpiritが入り込む機会があったことになり、誰か信頼のできるドクター、テラピストをみつけてSpirit Releasementをやってもらいたいとまじめに考えている次第である。わたしは耳が悪いので私の英語で大丈夫かしらという不安がいつもつきまとうが。
Possessedといっても、有名なHorror Movie ホラー映画Exorcist(エクソシスト)にあらわれたような怪物ということでなく、自分で死んだことも知らない魂が、さみしさのなかで、よい宿を見つけたような感じですみついているという場合がおおいようであるが、時にはアルコールその他に異常反応を示すことがあり、Deja Vueの現象にも影響してくるケースがあるわけである。したがって、基本的にからだにとりついたSpiritをReleaseさせようというのが、この種のドクター、テラピストの行っていることである。
Dr. Edith Fioreは1978年に「You have been here before」という本を出版した。彼女の専門であるHypnosisをつかってPast life Regressionを実行し、それぞれのひとが何度もいろいろな人生を過去に生きてきたというReincarnationの例証として、彼女がReincarnationを実感したことから生まれた本である。 この本の副題は“A Psychologist Looks at
Past Lives”となっている。Parapsychologistとして有名であった、わたしがよく引用したD. Scott RogoのReincarnation研究に関する本「The Search for Yesterday」(A Critical Examination of the
Evidence for Reincarnation)の中には、このDr. Fioreのこの本が、この種の本の中で最悪に属する例だと書かれている。それは、科学的証明という視点が欠けていて、ただ、彼女のPast Life Regression Therapyで症状を持った患者が回復したというだけのケースを列挙しただけにすぎないからというわけである。
こういうScott Rogoの指摘があったからか、この「Unquiet Dead」には科学的とかそういうことは抜きにして、彼女のやり方でPossessedしていたSpiritらしきものが解放され、患者の症状は回復したという形で展開されている。そして、私たち読者はOpen mindをもって、生命Lifeは死後も継続するContinueする可能性が強いということを知っていることが必要だと記されている。また、Reincarnationが本当にあるのかどうかを信じる必要もない。ただ、彼女の方法で患者たちが回復したということだけは事実である、ということを記している。
わたしも以前Hans HolzerというGhost Hunterとして有名な人の本をたくさん読んで、彼があまり科学的探究に必要ないろいろの可能性を検討しないで、いきなり死後の世界が存在するという信念のうえで本を書いているので、ある意味では信憑性がうすく、まゆつばものだという感じがしていて、わたしの本「寺子屋的教育志向の中から」(“心霊現象の科学への私の歩み”)にもそういう感想をつけくわえたことがあるが、今、Life after Deathが存在し、魂は不滅、したがって、ReincarnationやPossessionの可能性があるとなってみると、わたしの彼に対する評価はあまりにも、いわゆる科学主義的で、まちがっていたのかもしれないと思い始めている次第である。
地動説を展開したコペルニクスは、それまでの複雑怪奇なプトレミーによる天動説の説明を一挙に粉砕し、太陽をめぐる惑星運動はみごとに解決された。
今、科学者たちはテレパシーや透視、念力などはもう疑わずとも存在するというところまできたので、今度はそれを使って、After Lifeの存在に関しては、あるいは臨死体験(Near Death Experience NDE)などについても、Super ESPという説明を持ち出して、それ以外では説明不可能な現象をそれで説き伏せようとしている。したがって、霊魂不滅(地動説の原理にあたるようなもの)という原理を認定すれば、すべてがスムースに説明がつくのに、それができないため、苦労しているように見える(つまり天動説で惑星運動を説明しようとしたために複雑怪奇な説明を生み出さねばならなかったようなもの。)のがParapsychologyの現代階であるといえる。ただ、University of Arizonaでは Dr. Gary Schwartzなどが MediumをつかってAfterlife Experimentsを行って、努力している段階であるが、100%ということは不可能であろう。
Dr. Fioreは序文で、自分はSpiritsが存在するということを証明しようとしているわけではなく、また患者たちがPossessedされているといっているわけではないとまず書いている。ただ、彼女も患者も、Personality人格・個性は死後も存在し続けるという仮定のもとに働いたという。
ふつう人が死ぬころに、お迎えがやってきて、光を求めて一緒に別の次元に移行しているようであるが、どうしたことか、自分が死んだのも知らずに、あるいは宗教的恐怖感から罰せられるのをおそれて地上にとらわれたように漂っている状態EarthboundのSpiritsというのがいて、それが時には危害を加えるような反応を示すということで、いろいろな症状に悩む人たちに催眠術を施したところ、いくつものすみついた魂が見つかったというわけで、そうしたPossessしている魂に、死んだことを教え、光を求めて移行するように教えるのがこのテラピーの基本である。
なかには、悪性のSpiritたちもいて、なかなか取り付いた人間から離れていこうとしないこともあるようであるが、すでにこういうことに関してベテランの領域に達したTherapistはうまくSpirit Releasement(とりついた魂を解放)を実行できているようである。
なぜこういう現象がおきるのかのひとつの原因は、人は死んでも死ぬ前と同じ意識・個性・生前の性格・体質を持ち、同じ視覚聴覚をもっているため(あるいは生前以上になっているため)(これは目で見ているというよりも意識で見ているというべきか)、自分が死んでしまったことに気がつかず、どうして誰も自分が見えないのか、聞こえないのかと不思議に思うだけであるため、いつまでも地上にとどまっているということのようだ。映画「Ghost」(1990 Demi Moore,、Patrick Swayze、Whoopi Goldberg)はうまくそうした状況を描きあらわしていて、たいがいのMediumはこの映画がそういう状態を描いてすぐれているという感想を漏らしている。
すでに、「心霊現象の科学」をめぐってーその65で紹介したGolightlyのParanormalに関する本のなかで、彼女の家にたくさんのGhostが住みついているのを、訪れたサイキックの友人が感じたというのも、Earthbound Spiritsの類であろう。別に特に危害を加えるわけではなく、普段は黙って見物しているような存在だが、それでもサイキックが予告したように、Ghostにとって嫌いな現象が発現した場合は、暴力的な反応を見せた。サイキックの言ったとおり、どこか倉庫に保存したGhostにとってきらいなものを焼き払うというおそろしい能力も保持していたようだ。これはEarthbound Spiritsの存在そしてGhost現象の実在を証明するものである。
Depression沈滞感, Phobias恐怖, Addiction中毒 そういったものは、この外からのPossessionによって引き起こされるケースが多く、それをHypnosisによって解明しようとして、Spirits Possessionがわかったということである。
この本はとても面白く有益である。180ページにも満たない本であるが、盛られた内容は豊富である。中身を紹介したいが、版権所有者の許可も得なければならず、面倒なので、省略する。
もし日本語に訳されていれば一読をおすすめする。面白いし、ためになり、ある意味では怖い本である。ただ、そのPossessedの可能性に対する対処法ものべられている。光を求めろというのは、何も死んでからだけでなく、イメージで、白光が自分の周りを取り巻いているように、あるいは頭の部分に現れるようにすることが、Earthbound Spiritsから身を守る確実な方法であるとのことであり、(これはどのサイキックも必ず実行することをすすめている。)家にいるGhostなどに関しては、やはり猫がそしてたまには犬が敏感にCatchするとのことである。したがって、猫が異常反応をしたときなどは何かがあるということ。
ともかく、Dr. Fioreは科学的に証明されたとは断言していない。彼女の方法でPossessしていたらしいSpiritが解放され、相談に来た患者は完全に回復したという報告だけである。ただ、彼女自身は、われわれの肉体が死んでも、意識・個性・人格はかわらずに存在しつづけ、そのためにうまく成仏できなかった仏たちは生きた人間に取り付いて変な反応をしめすことになっているという解釈であり、彼女のStanceである。
Dr. Edith Fiore The Unquiet Dead (1987年) 174Pages
Foreword by Dr. Raymond Moody
ISBN: 0-345-46087-1 Ballantine Books
村田茂太郎 2013年11月14日、15日
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