「心霊現象の科学」をめぐってーその92 「90Minutes in Heaven」Don Piperを読む
この本は「臨死体験」の本の中でも有名な本らしく、New York Times
Bestsellerで、6Million Copiesが 売れたと本のカバーに書かれている。別な本を読んでいて、この本の名前が出てきて、部分的に引用されているのを見た。
彼の場合は、クルマでドライブ中に、TexasのTrinity Riverの橋にかかるまえに、対向車である大型の18WheelerTruckが道路を越えて彼のクルマにぶつかってきて、ほとんど押しつぶすかたちで彼のクルマを破壊した。相手の車はテキサスの囚人が運転していて、看守の依頼で食料をとりにゆく途中とかで、うしろから保護・看視のクルマがついてきていた。
目撃者はおり、ほかの車もトラブルに巻き込まれたが、一応、彼のクルマ以外は無事に済んだといえたが、彼の場合はクルマも彼の身体もめちゃめちゃで、かけつけた警察のメンバーも緊急隊も彼をDeadと判断した。(彼はそのとき、苦痛も感じずに、いきなり天国に到着した。)
彼はクリスチャンの牧師で、会議に参加した帰りの出来事であった。
事故にあったのがクリスチャンの同僚とも言える人間だとは知らずに、先に会場を出てドライブしたが、コーヒーを一杯と、寄り道をしていた牧師の男が事故に気がついて現場に近づいた。彼には、どこかでささやくものがあった。車の中の事故にあった人間のためにお祈りをしろとGodが何度もささやいた。PoliceもEmergency救助隊のメンバーも、この男が近づくと、もうすでに死んでいるから、祈っても役に立たない、とてもひどい現場だから見ないほうがよいだろうと何度もアドバイスをした。しかし、男はGodの声がPray祈れとささやくので、ひどい惨状の車に近づき、苦労してDeadといわれているBodyにアクセスした。
すでにこのひどい状態で大分時間が経っていて、顔も頭もあらゆるところから出血していて、脈拍もなく、EMT(Emergency Medical Technician)はこの男はDeadと宣言していた。しかし、この男・牧師であるDickにGodは何度も祈れとささやいた。彼はこの車の中のおとこが誰か、Believer(神を信じる人か)か知らなかったが、ともかく、彼の内部で祈れとささやくものがあり、彼はこの死んだように見える男がInternal Injuries(内部の損傷)から無事であるようにと祈り、そのうち自分でも感情的に興奮して歌を歌い始めた。彼も男の脈拍をしらべて死んでいるのを確かめた上で、祈り始め、歌いだしたのであった。
そのとき、彼はDead manが歌いだすのを感じ、彼が生きているのを知った。あわててクルマからとび出し、“生きているぞ!”と叫んだ。しかし、Paramedicは容易に信じようとしなかった。われわれはProfessionalだ、人間が死んでいるかどうかは見ればわかる、あの男は死んでいると主張して何もしようとしなかった。そのうちに何台も救急車がかけつけてきた。しかし、死んでいるということで、去っていく車が多かった。Paramedicは死んでいると決めて、Dickの叫びを無視しようとした。Dickは自分はこの橋の上に横たわる、彼をもういちど確かめなければ、あなたは自分を轢いてMoveしなければならないだろうと叫んだので、最終的に、素人を相手にしていたのではどうしようもないという感じに、車に向かい、男の腕に触ったとき、さすがのParamedicも男が生きているのを信じないわけにゆかなかった。急遽、救助作業が開始した。
こうして彼は助け出されたが、すでに死んだと宣言されてから90分以上経っていた。病院に運ばれても、結局は助からないだろうと誰もが思っていた。ここで、また別の親友の牧師Davidがお祈りをささげただけでなく、彼の教会だけでなく、全世界の教会に対して彼のためにお祈りをささげるように働きかけた。それは不眠の祈りであり、祈っている本人もこれほど真剣に祈ったことはないと感じたほど、熱心に祈り、その効果があったのか、もう助からないと思われていた病状から抜け出したことがわかった。
肉体的Damageは大きく、彼は病院で寝たきりの生活を105日、家にもどって13ヶ月続けねばならなかった。そして、30回を越える外科手術を受けねばならなかった。しかし、Dickの最初の祈りが功を奏して、まさにミラクルとしか言いようがないが、脳も内臓もまったく損傷は無かった。だれも信じられないほどであった。
使い物にならない足を切るかどうかということで、たまたまその病院にその筋の専門家が居て、切り捨てないで、Ilizarov Bone Growth Deviceを施すことになった。これは、大変な苦痛を24時間伴う、欠けた骨の増殖を補助する装置で、シベリアのDr. Ilizarovが工夫したものであった。彼は羊で実験し、欠けた骨や短い骨を伸ばせるかトライしたのであった。毎日、誰かがやってきてネジをTurnしなければならず、病院では看護婦が、家にもどってからは彼のワイフがそれを手伝った。一時、彼の左足には30のHoleがあけられ、そとからも見える状態であった。これは痛みがひどい、時間のかかる、骨をのばす療法・技術であったが、確かに効果はあり、Don PiperはHideously Wonderful“身の毛のよだつように、すばらしい”発明と書いている。
これを施していると体験者は外部からでもわかるので、Don Piperは自分の苦しんだ体験から、同じような苦しみを味わっている人間を見ると、声をかけ、確かに効果があるから頑張るようにといいつづけたのであった。ドクターたち自身、この装置を人間にトライするのははじめてと思えるほどで、だれも気休めの言葉も吐けず、I don’t knowをくりかえすばかりなので、患者の中にはかえって絶望的になるひともでてきて、そこでもDon Piperの牧師としての、そしてこの苦痛に満ちたIlizarovの体験者としての知恵を生かして、同じ仲間を元気付けることができたのであった。
Don Piperには、こんな死んだほうがラクで、すばらしい世界が待っているということはわかっているので、なぜ、自分が死なずに生かされて。こんな苦悩を体験しなければならないのかわからず、いつもGodに文句をいいたいくらいであった。しかし、同じIlizarovを体験して苦しんでいる何人かを見て元気付けることができ、かれの残された仕事のいくつかが、そういうことであったのかと悟ったのであった。
そして彼の最大の課題が、自分のHeaven体験を公に発表するかどうかということであった。彼には、誰も彼の話を信じないで、あの男は気が狂ったと思われるだろうという不安がやどっていて、まだ誰にも話していなかった。
事故から2年経って、はじめて、親友である牧師、彼のために全世界に祈りを呼びかけて徹夜で祈ってくれた牧師Davidが今回もその橋渡しをすることになった。Donはまだ彼のワイフにも自分の天国体験を話していなかった。親友の牧師DavidがはじめてDonの天国体験談をきき、これは全世界に知らせる価値があると思ったが、DonのNegativeな気持ちを変えるのは容易でなかった。DonはこれはPersonalな体験であり、またキチガイだと思われるということで、公表する気はなかった。しかし、親友Davidは、みなに分かち合わないで、どうして自分だけHeavenを体験したと思うのかと訊ねた。Davidは何度も、ひどい体験をして天国を訪れたDonが、なぜ痛みのひどい、残酷な体験をしてまで生き返らねばならなかったのかを問い、それはPublicに天国について公表するのが彼の義務だからだと説得し、だれも彼を精神異常だと思わない証拠に、まず二人だけでいいから、その話をしてみるように、そしてもしその二人がDonがキチガイだと思うようなら、もう二度と公表しないでよいといったので、それなら、自分の知っている、秘密が守れるような友人に話してみようということになった。
そして、事実、Donの話をすこし聞いただけで、もっと知りたいと催促し、誰も妄想だと思わなかっただけでなく、David同様、これはPublicに発表しなければならない、あなたの体験はあなただけのものではない、みんなのもののはずだというのであった。そこで彼は話の輪を広げ、たまたま彼は教会の牧師であったので、まず教会で話、たちまち有名になって、ラジオやTVにも講演会にも呼ばれるようになった。そして、とうとう自分の体験を本に表すことができた。それは、予想にたがわず、何百万部が売れるベストセラーとなった。
では、彼Don Piperは天国で何を見たのか?実は本の第二章で“My time in Heaven”として、そして第三章で”Heavenly Music”でその音楽が語られている。
彼の場合は有名なトンネルをくぐらないで、いきなり光の下に包まれている自分を発見したのであった。声も聞かず、身体がはこばれるのも感じず、ともかく、説明不可能な大いなる光の下に居るのであった。
喜びが彼をつつんだ。よくみると大勢の人がまわりに居た。彼らは神々しいGateの前にあつまっていた。彼らは私のところに駆け寄ってきた。わたしはイエスをみなかったが、私に駆け寄ってくる人は、みなすでに亡くなった人だということはわかった。でも私には彼らの存在が自然に感じられた。誰もが私に駆け寄り、笑いかけ、叫び、神をたたえていた。誰もそうだといわなかったが、私は彼らが天界のWelcome Committeeのメンバーなのだと感じた。
まず気がついたのは子供のころから親しんだおじいさんであった。彼はDonnieと呼びかけ、抱擁してくれた。そのほか、幼友達で、19歳のときに車の事故で亡くなった友人がむかえてくれた。彼の死は、その時点までのDonにとって最大のショックであった。おじいさんが現れたり、古い友達があらわけたり、どうなっているのだろうといぶかっていた。もちろん歓迎してくれているのはあきらかで、明るく楽しいムードがみちあふれていたが。自分の知っていた、たくさんの人がみな喜んで迎え入れてくれた。Great grandfatherも見かけたし、歓迎してくれた。また高校時代の友達で、Lakeで溺れ死んだ旧友もあらわれた。そして、彼をJesus Christに導いてくれた二人の教師を見つけた。誰もが彼を歓迎して抱擁し話しかけ、笑い、Godをたたえていた。この歓迎が無限に続くように感じ、しかも、ぜんぜん疲れを感じさせなかった。
誰もが彼の訪問・到着を喜び、歓迎し、興奮していた。そして彼は自分の知っている限りでは、背骨のまがった老婆という感じのGreat grandmotherがわかわかしく、健康そうな様子で彼を歓迎してくれるのを見た。ここでは、時間も年も関係なかった。彼が最後に見た状態で、しかし健康体であらわれたのだった。そして、そこでは言葉は必要でなく、完璧な愛が満ち満ちていた。そうして、すべてが神々しい輝きで満たされていくのだった。彼が歩を進めると輝きは一層増し、しかも目を傷めることは無かった。
そうしてMusicが聞こえてきた。どこから音が流れ出しているのかわからなかったが、想像を絶するような絶妙な音楽がひびきわたり、身体の隅々まで浸透してゆくようだった。それはGodを讃える音楽であった。誰かがHallelujahとかPraiseとかGlory to Godと叫んでいるようであった。それをしたのがAngelなのか誰なのかわからなかった。たくさんの音楽が一度に鳴り響いているように感じながら、彼自身はそれぞれの曲を聞き分けることができていた。Gateの前に立ちながら、すばらしい音楽に耳を傾けていたが、どれひとつとして悲しい音楽はなかった。
彼は自分がHomeに戻ったのを感じていた。彼には不安も心配もなにもなく、完全な中に居る自分を見出していた。彼はGodを見なかった。だがGodはそこに居るとわかっていた。もし彼がGodをみかけたら、もう二度と地上に戻りたいとは思わないだろうとはわかっていた。そして彼はGateの向こう側をのぞきみしながら、天国の恩恵と喜びを感じ続けていた。
また動き出し、彼らはGateの前に居た。Gateに近づくにつれ、すべてがまばゆいばかりに輝いていた。友人・親戚、彼の前に居たすべての人がついてくるようにと誘っていた。彼は天国に居て、Gateをくぐろうとしていた。そのとき、音楽がただ流れてGodを讃えているだけでなく、彼自身がそこコーラスの一員となって歌い始めていた。
すると突然、天国のGateに着いたように、今度は天国を離れていた。
ここで最初に紹介したシーンにうつる。EMTがDeadと告げたにもかかわらず、一人の牧師Dickが同僚の事故とは知らずにGodのささやきを真剣に受け止め、EMTの意見を無視して、クルマに近寄り、Bodyにさわりながら祈りをささげ、そのうちに自分でも真剣さに興奮して歌を歌い始めていたのであった。一方、Don Piperは天国のGateの前で、美しい歌をききながら、いつしか自分も歌を歌い始めていたのであった。それを聞きとめたことが彼Don Piperの救済となっていくのであった。
事故から1年以上経って、彼Don Piperはこの牧師Dickの教会で話をした。Dickが祈ってくれたから自分は今こうして生きて地上にあると彼は開口一番に述べた。
どうやら、まさにそういうことであったらしい。彼は天国のゲートの前に居て、入る寸前であった。入ればそれで本当に死に、子供や妻、友人とはそれまでであった。そこへ牧師Dickの歌う歌声が聞こえてきて、彼は我知らず歌い始めていた。そしてDon Piperの生存が確認されることになったのである。
つい最近、Santa BarbaraでひどいShooting事件が発生し、何人かの若者が殺された。UC Santa Barbaraの学生であったらしく、カリフォルニア大学のあちこちで蝋燭をともすVigilが集われた。祈り、灯明、線香、IncenseなどどれもSpiritualに効果があるようである。あの世でさまようSpiritたちにも、こうした祈りや灯明は迷っている魂の天国への道標となるようであり、ばかげた行事と笑うことはできない。
「90Minutes in Heaven」(A True Story of Death and Life) Don Piper With
Cecil Murphey 206ページ 2004年
ISBN: 978-0-8007-5949-0
村田茂太郎 2014年5月29日
No comments:
Post a Comment