「心霊現象の科学」をめぐってーその75「Many
Lives, Many Masters」Brian L. Weiss, M.D.を読む
この本は世界的に有名になったようである。著者はColumbia
UniversityやYale Universityで医学、特にPsychiatry精神分析を勉強した医者である。この本を出版するまでは、その専門の関係論文をたくさん発表していたらしい。MiamiにあるMount Sinai Medical CenterのPsychiatryのChairman Emeritus(名誉会長)をもつとめていた。
それが、丁度、Carol
Bowmanが自分の子供が過去のライフの記憶に関係する異常な反応を示した際に、それを真剣に受け止め、それが彼女のその後のライフを決定するものになっていったように、このDr.
Weissもある女性の相談でHypnosisを実施しているときに、いつのまにか、彼女は過去の別人としてのライフを語りだし、それをまじめに受けとめたWeissは、彼女のPast life regressionを探求する中で、Reincarnation転生その他に深く関心をもつようになったわけである。彼も、このCatherineという女性との出会いが、彼の運命を変えてしまうことになるとは思っていなかった。しかし、このCatherineを契機として、Dr. WeissはPast lifeやReincarnation を深く研究し, そして、Mastersその他に関する大家に成長していくのであった。
第一回のCatherineとの出会いで、彼女がまるで触媒のように彼自身に作用して、彼のこれまでの人生・信念を転倒してしまうことになるとは想像もできないことであったとは彼自身、第一章の終わりで述べていることである。
このPast
life regression自体、もう1980年代では別に珍しいものではなくなっていたはずである。すでに私があちこちで名前を挙げた医者やサイキック、精神科医も、このPast
life memoriesについて発表していた。
Dr.
Weissのほかの人とちがったところは、彼が立派な病院の科学的な素養を身につけた医者であるということだけでなく、このCatherineとのHypnosisで出現したMasterに関する別の次元の瞥見であった。
しかし、これもサイキックEdgar
Caseyなどとあまり違わないとも思えるが、彼(Dr.
Weiss)の場合はCaseyと違って、自分でHypnosisを相手に施しながら、その反応を確認できたわけで、より科学的に冷静に判断できる立場にあったということになるかもしれない。
ただし、このCatherineのHypnosisも、会って、すぐに始まったわけではない。18ヶ月ほど、ふつうの心理療法のように、毎週1-2回会って、彼女のもった夢や感情、考えなどについてふたりで語り合い、ほとんどなんでも了解したような状態になっていながら、肝心の病状というか症状はまったく改善されていなかった。
1982年に医者である彼女の恋人がシカゴでの学会に参加するときに、自分も希望して参加し、そして彼に一緒に美術館(エジプト展)を訪れるようにうながした。彼女は子供のころからエジプトの美術品や骨董品に興味があったのだ。エジプト美術品展示の場面で、彼女は、エジプト学者でもなんでもなく、特に強く勉強したわけでもなかったが、自分が親しんだ場所にいるように感じ、ある場所ではガイドが説明したのに対して、彼女は自分がガイドの誤りを訂正している状態であるのをみつけた。
それで、Hypnosisに対してはおそろしいように思っていた彼女だが、自分でもこのエジプトでの反応におどろいており、今度はHypnosisを受ける決意をした。その時には、したがって、最初の心理療法の患者としてのCatherineとの出会いから、2年近くたっていたわけである。
Age
RegressionでCatherineは6歳のときの歯医者でのTrauma的な体験を語り、5歳のときにプールのDiving Boardから落とされて水を飲み、恐い思いをしたのを語ったが、そのときはまさにリアルに大人の彼女自身、息が詰まったような症状を見せたので、ドクターは、もうそれは終わったといって安心させねばならなかった。3歳のときにさかのぼったとき、彼女は最悪の事態が起きたことを知った。父親がMolestしたのであった。すでに、その恐い経験から25年経っているわけであるが、その体験を語るときは3歳の女の子の泣く様子で泣き始めたのであった。
彼女のいくつかの症候の原初形態らしいものは、この幼児期の抑圧された記憶の中にあるのはわかったが、なぜ彼女がエジプトの美術品を見て、ガイドの誤りを訂正するほど、深く知っていたのかわからない。そこで、さらに2歳までさかのぼったが、目だったことはなかった。思い切って、ドクターは、あなたの症状が発生した時限まで戻りなさいと指示した。
そうすると彼女は面前の不思議なシーンを述べ始めたので、よくわからないドクターは何時ごろの話で、あなたの名前は何なのかといった質問をしたところ、名前はAlonda、時代は紀元前1863年という返事が返ってきた。18歳で、不毛のドライな暑い地帯にいる。さらに、もう少し時代をすすめると、彼女は25歳で、Cleastraという名前の女の子がいる。(そして、突然、Catherineはこの自分Alondaの娘は、Rachelだと叫んだ。Rachelは今の彼女の姪にあたり、彼女とは特別に親しい関係なのであった。)
これはドクターにとっては驚くべき発見であった。その語る調子、イメージ、感情、すべてが空想とは思えない、確固とした、まさにVividなリアルな記憶を語っているのであった。そこで、その女性が死んだころに時間をすすめるように指示した。そうすると洪水が村を襲って、木もなにもかもが流され、自分の娘もながされ、自分も溺れ死んだのであった。そして息苦しい状態を過ごした後、彼女はCloudsを見、娘を見、兄弟も見たのであった。この彼女のひとつのLife Timeは終わったのであった。Past Life? Reincarnation? ドクターにとっては、その筋の専門医として、Catherineの語ったことが単なる空想などではないことはあきらかであった。いわゆる精神病の症状に属さないのも専門家として明らかなことであった。 Go
on. つづけなさい。何かほかに思い出せるものがありますか?
私の名前はLouisa。スペイン人。時代は1756年。汚染された水でたくさんの人が死んでいる。自分も具合が悪かったが、死ななかった。あとで、彼女は、このときには自分はProstituteであったが、自分でもとまどって、ドクターにはっきり言えなかったと語った。
それで、彼女の姪であるRachelがエジプトの昔に、彼女の娘であったという話から、ドクターは興味をおさえることができず、あなたの過去のLifeのなかで、自分Dr. Weissが出てくることはあるかと訊ねた。そうすると彼女はすぐに You are my
teacher といい、時代は1568B.C.、名前はDiogenes。SymbolsやTriangleについて教えていた。You are very wise.賢者であったが、自分はちっともわからなかった。Diogenesという名前は当時珍しい名前ではなかったようだ。
こうして、Hypnosis第一回は終了した。このあと、まだまだ驚くような情報がHypnosisを通じて現れてくるのであった。
そうして、CatherineのHypnosis, Past-life Regression の中から、Master(とCahterine そしてDr. Weissが呼ぶ)一種のあの世の賢者ともいえる人物があらわれてきて、彼にいろいろ説明するのを驚嘆してきくことになった。それはCatherine本人の過去のLifeそのものとは関係の無い、まさにあの世の世界に関する話であった。
これは、HypnosisでTrance状態に入ったCatherineがどこかの情報源に接して語りだしたということかもしれない。まったくCatherineとは異なる人物があらわれたようであった。
「われわれの仕事は、学ぶこと、知識を通してGodのような存在になるために学ぶことである。われわれは本当にわずかしか知らない。あなたは私の先生としてここにいる。わたしには学ばねばならないことがたくさんある。知識によって我々はGodに近づく。それから少し休む。そして戻ってくる、ほかの人を教え導くために。」
Dr.
WeissはこういうメッセージがCatherineの口から出てきたのをきいて、驚嘆してしまった。Hypnosisのさなかで、ある人生を終えて死んだばかりで、光の下にいて休んでいる。After
Death, In-between-lifeの状態である。そして。急に、先ほど述べたようなことを語りだしたのである。CatherineはNear Death Experience(臨死体験)で有名なDr. Elizabeth Kubler-Ross も Dr. Raymond Moodyも Tibetan Book of the Dead も読んだことがない。それなのに、これらの書物で書かれたと同じような内容の話を展開し始めたのである。これは、あきらかに何かの証明であった。
次のSessionでさらに驚くべき内容が展開された。同じように、話しているのはCatherineなのだが、語る調子がまったく別人の様子で話し始めた。
「彼らは、多くのGodsがいると告げている。というのは、各人の中にGodがいるからだ。」
「あなたのお父さんがここにいる。あなたの息子も。・・・お父さんは言っている、医学はある程度までは進歩するが、そのScope範囲は本当に限られている、と。」
Catherineは、私Dr. Weissに関する私的な情報など何も知らないはずであった。私は自分のDr。のDiplomaもOfficeに掲示していないし、自分にとって最大の悲劇であった、生まれたばかりの息子が一ヶ月もたたないで亡くなったことを誰にも言ったことはなかったし、Catherineに、私個人のことについて話したことは無かった。
このCatherineの話の中で、誰も知らないはずの彼の父親のHebrew Nameが語られ、One-in ten millionのまれな心臓病で亡くなった息子のことが語られ、娘の名前の由来についてまで明らかにされた。これは偶然ではありえない。好奇心が沸き立つばかりで、ドクターはTrance状態のCatherineに、誰がそこにいるのか、誰がこういう情報をあなたに語っているのかと問いただしたところ、「Masters―Master Spiritが私に告げている。彼らは私に、このPhysical world地上で、私は86回違った人生を生きてきたと語っている。」。
Dr.
Weissは自分の人生はもう二度と今まで過ごしてきたような同じような人生ではないだろうと強く感じた。そして、Dr.
Weissは浩瀚なReincarnationをめぐる、そしてPsychic Scienceをめぐる領域の探求に入っていったのであった。そして、Carol Bowman同様、手に入る、ほとんどの文献を読みこなして理解を深めていったのであった。
その後、彼は、この書でベストセラーになって、世界的にも有名になり、さらに探求を進めて、このPast
life Regressionによる治療的効果を確信し、さまざまな本を書き、セミナーを開き、いわば、予定されていた魂の教師としての役割を果たしていくのである。
この本もほんとうに面白く、わたしは10月のある日に読み始めて、翌日、読了したのであった。その後、彼のほかの本も何冊か手に入れ、いくつかはすぐに読み終わった。
このCatherineと名乗る女性との運命の出会い、そして、それをまともに受けとめたことからすべてが始まったのであった。 今や彼の名前は医学界だけでなく、ひろく一般に親しまれるようになっている。
ひとつのBasicな文献といえる。ISBN: 978-0-671-65786-4 Simon & Schuster。1988.
版権許可なども得ていないので散発的な紹介で終わった。原著を読んでみようという好奇心を喚起することができれば幸いである。
村田茂太郎 2014年1月30日