Translate 翻訳

12/04/2015

「心霊現象の科学」をめぐってーその112 ”Thirty years among the Dead” Dr. Carl Wickland(1924年)を読むーその4


「心霊現象の科学」をめぐってーその112 ”Thirty years among the Dead” Dr. Carl Wickland(1924年)を読むーその4

 この本は本当に素晴らしい。これ一冊で死後の世界のある様相が手に取るようにわかる。Ralph Harlowの「A Life after Death」も、一冊でAfterlifeがあることを確信できるものであったし(「心霊現象の科学」その53~63)、Maurice Barbanellの「This is Spiritualism」もこれ一冊で、Afterlifeの存在は確信できるものであるが(その35~46、44は別)、どちらも、いわば確実に次の次元に移れたSpiritたちの、反応振りを示していた。この「Thirty Years among the Dead」は、Afterlifeの存在を確信させるだけでなく、死んでから次の次元に無事移行するまでに大変な遍路歴程が、多くのある人々にとっては存在するということを示し、この現世での生き方死後の世界に関する知識が大きな意味を持つものであることを歴証しているといえる貴重な文献である。

 第6章 (P.121-140) は Spirits and Crimeと題されている。犯罪者の死後の世界を含めた動向を扱っている。これも重要な展開を示している。

 1894年、Harry Haywardという男が絞首刑になった。(原書Page 128-133). 刑務所で刑の執行を待つ間、最後まで快活な態度を維持し、警備員とカード・ゲームに興じ、大好きなアイスクリームをオーダーして楽しんでいた。彼は警備員に、「あんたが地獄にきたら(自分はそこへ行くことになっているが)、アイスクリームをごちそうしてやるよ。」と言っていた。この死刑執行までのあいだに、実は自分(ドクター・Wickland)は、匿名で、本とSpirit worldに関する書類を送ってやったのだが、それ以外では彼とは無関係であった。

 1908年2月にNurse看護師が、患者であるMrs. McAがどうやらSpiritに影響されているようだと感じ、ドクターのヘルプを求めた。Nurseは、自身、サイキックで、あきらかに患者はSpiritに侵犯されていると感じ始めた。ある日、Mrs. McAHome-made Ice creamをたまらなく欲しくなった。彼女自身はアイスクリームなど見向きもしなかった人間なのに。それで、Nurseが苦労してアイスクリームを手に入れて、部屋に入ろうとしたとき、何かが彼女に向かって突進してきたように感じ、あわてて彼女は逃げるように部屋を出た。気分が回復してから、部屋に戻り、Spiritが居るのを感じて、窓を開け、Spiritに出て行くように黙って命令した。

 このNurseMrs. McAが、ドクターのサークルに参加することになり、その場で、MediumであるMrs. Wicklandに、このPossessしていたSpiritが乗り移った。いきなり、Mediumはのどに痛みを感じた。そして、Mediumの口から、自分はHarry Haywardで絞首刑になったときに首の骨が折れて、その痛みを感じているのだといった。誰かアイスクリームをくれないか、今日はもうちょっとでアイスクリームを味わえるところであったのに、女が自分を窓から追い出したのだ、俺は女に窓から追い出されるのは好きじゃない。

 Haywardは、Spiritとして地上をさまよっているのだと知っていた。それで、普通の、自分が死んでいるのも知らないで、地上空間をさまよえるSpiritとちがうので、どうしてSpiritのことを学んだのかとドクターが訊ねると、彼が刑務所に居た間に、だれか知らない人がある本を送ってきたのだと返事した。彼は、しかし、どこへいっても、誰も自分に気がつかないと不満を洩らした。しかし、今ようやく、話しあえる相手が見つかったと非常に喜んだ。(ドクターの妻であるMediumの口を借りて)話ができるのを喜んで、裁判や刑の執行などについてたずね、特に親しんだ警備員についてたずねたりした。自分・ドクターはこのGuardは死んだはずだと思っていたので、そう伝えると、しばらく沈黙して何か探っているようだったが、「いや、彼は死んでいない、ミネアポリスの息子の家でカード・ゲームに興じている。」とこたえた。

 HaywardSpiritの世界で向上する意欲と姿勢を示し、ドクターのサークルから離れていった。

 あとで、わかったことは、Guardはまさに、Haywardがいったとおり、息子の家でカード・ゲームに興じていたのであった。(これでわかることは、Spiritはその人について考えるだけで、その人の居る空間に達することができるということである。)

 Haywardは、10年後、またドクターを訪問してきた。

 彼はドクターが送った本を読んだおかげで、Spiritの世界について知り、改悛してSpiritの向上を目指し、Earthboundの状態から、立派な次の次元に移行することに成功する。いわゆるHell 地獄 などは無い ということで、殺人を犯したものでも、悔い改めて努力し、人を助ける仕事をすれば、救われるということであった。そして、彼はなによりも、Spiritの世界ついて案内してくれ、救済をおこなったドクターとワイフに感謝したのであった。

 彼は金持ちの夫婦の子供として、何不自由なく、したい放題をして育った。働く必要が無いほど金持ちであったので、遊ぶばかりで、あるとき、親からもらう金よりも、遣う金のほうが多かったため、金が必要になり、女友達に保険をかけて自分ではなく、ほかの男に殺させて、保険金を取ろうと考えた。1万ドルの保険(1890年ごろの1万ドルは、今現在だと1千万ドル以上の金額ではないか?)を、自分を受取人にしてかけさせ、男を雇って女を殺させた。すぐにつかまったのは、あさはかにも、まだ事件が解決しないうちに保険金を受け取りに行ったため、怪しまれ、逮捕され、裁判されて、結局、絞首刑ということになったのであった。

 彼は母親のせいにするわけではないが、両親が自分の思うとおりに金も使い放題、したい放題の生活をさせないで、悪いことをすれば叱りつけ、ちゃんと善悪の区別をわきまえさせ、自分のためではなく、人のために生きるような生活をえらぶように指導してくれていれば、死刑になるほどの犯罪者にはならなかっただろうと思う。そして、世の親に、ちゃんと厳しく叱ることの大事なことを告げるのであった。

 彼はインテリな好男子であり、女が好きで遊び暮らしていたが、あるとき、そういう保険金犯罪を思いついたために、結局死刑になってしまった。しかし、ドクターが送ってくれた本を読んでいたおかげで、Earthboundの状態から脱出することに成功し、改悛して、今度は地上でのろわれた状態に居るSpiritsを助ける仕事をしているのであった。

 I tell you, if my mother – I do not condemn her by any means – had trained me properly, so that she could have said “No” to me, instead of worshipping me and letting me have all the money I wanted, and if she had punished me when I did wrong, I would have been different. わたしは母を非難するつもりはないが、母が私を崇拝するような態度をとり、欲しいだけの金を与えてくれるかわりに、Noといって、それにふさわしい躾をしてくれていたら、そして私が悪いことをしたら罰していてくれたら私は違った人間になっていただろう。

 No, I would not have been hung if my mother had taught me the beautiful lesson of living for others, and of loving my fellow man as myself. そう、ほかの人のために生きるということ、そして私自身を愛するようにほかの人たちも愛するという美しい教育をしてくれていたら、私は絞首刑になるようなことはなかったであろう。

 If mothers would think of their children’s welfare and raise them in the beautiful thought of living for others, they would all be better. … My misfortune was that my mother and father were rich. Work was a disgrace for me, they thought. It would have been far better if they had put me to work instead of giving me money each time I asked for it.  もし、世の母親たちが子供たちの幸福を願い、ほかの人のために生きるという美しい考えで育ててくれたら、子供たちはすべてより良くなっているだろう。--- 私の不幸は父母がお金持ちであったということだ。労働は息子には不名誉なことだと親は考えた。私がお金を欲しがるたびにくれていた代わりに、働くように仕向けていたら、はるかに良かっただろう。
 I had a scheme. If somebody killed her, I would not get the blame, but I would get the money. I laid a bold scheme. I hired a man to kill her. 私には計画があった。もし、誰かほかの人が彼女を殺せば、誰も私を非難しないだろう、そして私は金を得るだろう。そこで私は大胆な計画をつくって、彼女を殺害するために人を雇った。 ・・・ (そして、計画は実行され、自分は別の女性とデートをしていて、直接の加害者ではないことを証明されたが、おろかなことに、すぐに保険金をとりにいって、疑われ、つかまり、最終的に、有罪、そして死刑となった。)
---
 You cannot imagine the sensation you have when you realize that you have only a few hours to live. Still, the little message which had been sent to me gave me a little courage, and I thought probably only my body would be destroyed and not my spirit. So at the last moment, I kept up my courage and felt that I wanted to see what the hereafter was. あなたには、あと数時間の命しかないとわかったときの気持ちは想像できないにちがいない。しかし、私に送られてきた小さなメッセージが私に小さな勇気を与えてくれた。私は考えたー多分、肉体は滅ぶが、Spirit魂は死なない。そこで、最後の瞬間まで私は勇気を維持し、あの世があるのなら見たいものだと思った。
 I have to thank the one who sent me that pamphlet, because it was a bright, cheerful spot to me at the last of my days. 私はあのパンフレットを送ってくれた人に感謝しなければならない。なぜなら、それは私の最後の日々の、私にとって輝かしく陽気な場所となってくれたから。
 When I realized that I had passed out of my body, my first thought was:”I am not dead.” I went to my mother, and I spoke to her, and she felt my presence. I still clung to my body, however, and I felt I could not leave it. I got out of it quickly, but I went back to it again. When my body was cremated I stood by and saw it burned. 私が肉体を脱したとわかったとき、最初に思ったのは、「自分は死んでいない」ということであった。そこで、私は母のところに行き、彼女に語りかけた、そして彼女は私を感じ取ったようであった。私はまだ肉体にとりつかれていた。私はそれから離れることができなかった。私はすばやく肉体から抜け出たが、また戻った。私の肉体が火葬されたとき、私はその傍らで燃えるのを眺めていた。
 
 
 
 After that I walked around, but I could not find the spirit world. I walked and walked, from one place to another. I still had my feeling for nice pretty women, so I traveled.  In a way, I realized that I was dead, yet I did not fully realize it. そのあと、私は歩きまわった。私にはSpiritの世界が見つからなかった。歩き歩き、ある場所から別の場所へと歩いた。私はまだ、きれいな女性にあこがれていたので、旅をした。ある意味で、私は死んでいたが、自分ではそのことがよくわかっていなかった。
 One time I felt I would like to take a journey and I wanted to travel by train. I went to the ticket office to get a ticket, but I had no money. I thought I would talk to the agent nicely and he would give me a ticket, but he paid no attention to me. So, I thought, “All right! I’m going on the train anyway,” so on I got. あるとき、旅をしたいと感じ、電車で旅をしようと思った。それで、切符売り場に行った。お金は無いので、係りのものにうまく話せば切符をくれるだろうと思った。しかし、彼はぜんぜん気がついてくれなかった。オーケー、それなら自分で電車に乗るぞ、と思った。
 I sat down on one of the seats, and, before I knew it, a great, big, fat man sat right down on my lap. I got real mad, I tried to push him off, but I could not, and I could not get up either, I had to let that man sit on me until he was ready to get off the train! 私はひとつの席についたが、私が、気がつく前に、立派で大きな太った男が私のひざの上に座り込んだ。私は頭にきた。彼を押し出そうとしたが出来なかった。私は立ち上がることさえ出来なかった。とうとう、男が電車を降りるまで私の上に男は座り続けた。
 I had not learned the power of thought, to think myself away; I had only learned to walk. I had not yet learned the little thought lesson to think myself in a place I order to be there.  私はまだ思考の持つパワーというものについて学んでいなかった。私は歩くことを学んだだけであった。私は、自分が行きたいところに思考するだけで行けるというレッスンをまだ身につけていなかった。
 Before long I came to a beautiful lady (Mrs. McA), and I commenced to like her. Before I knew it, I was in her magnetic aura and I could not get away. She wanted to be in bed all the time, and there I was! まもなく、美しい女性のところへやってきた、そして私は彼女が好きになりだした。自分で気がつく前に、私は彼女の磁力の圏内にいた。今や私はそこから去ることが出来なかった。彼女はいつもベッドに居ることを好んだ、それで私もそこに居た。
 Once I heard someone say: “You must leave this lady and go away; if there is any spirit around her, it must leave and go away.” I was there, however. あるとき、誰かが、「お前はこの女性から去らねばならない、出てゆけ、もし彼女の周りにSpiritsがいるのなら、出てゆけ!」と言うのを聞いた。だが、自分はそこに居続けた。
 I was very fond of ice cream, and I wanted some, so I impressed the lady to ask for it. When it was brought in, I wanted it. I seemed to come in contact with the lady who was carrying it, and I felt that I could only get a good hold of her I would get the cream. 私はアイスクリームが大好きであった。わたしは食べたいと思った。それでその女性(Mrs. McA)に求めるようにそそのかした。アイスクリームが届いたとき、彼女(Nurse)をしっかりつかめば、自分の好きなクリームが食べられると感じた。
 
 All at once I was a lady myself, and when I tried to get that ice cream I had the sensation that I had when I was hung. But the lady who was carrying the ice cream had such power that, before I knew it, she had thrown me out of the window – bodily, mind you. ただちに、私は自分が女性と一体になったのを感じた。そしてアイスクリームを手に入れようとしたとき、首をつったときの感じを抱いた。しかし、そのアイスクリームを持っている女性は、すごいパワーをもっていて、わたしがわかるまえに、彼女は私を窓から外に放り出していた、いいかい、身体ごとだよ。
 I have to thank you for delivering me from all that trouble and also want to thank you from the bottom of my heart for the sermon you gave me at that time, which helped me to understanding of the beautiful world beyond. (ドクターへ)私を、そんな、あらゆるトラブルから助け出してくれたあなたにサンキューをいわねばならない。それから、あなたがそのときにくれた説教に心の底から感謝する。それは、あの世の美しい世界を理解する手助けをしてくれた。
 I wish again that I could stand on every street corner and tell the mothers to raise their children to be good men and women, and when necessary, punish them while they are little, and not spare the rod and spoil the child. 私はすべての道の街角に立ち、世の母親たちに子供たちを立派な人間に育てるように、そして必要があれば、まだ幼いときに、罰し、鞭をおしんだために子供を駄目にしてしまうというようなこと起きないようにアドバイスが出来ればなあと思う。
 If mothers raised their children properly, there would not be the selfishness there is in the world. もし母親たちが子供たちを適切に育て上げれば、世の中に、今ある利己主義はなくなるだろう。
 I have a nice little home in the spirit world now, and I have much to do, for my work is not yet done. I am trying to extend help to all those who wish help. 私は小さな素敵な家をSpiritの世界に持っている。私には沢山のしなければならないことがある。私の仕事はまだ終わっていない。私はヘルプが必要なものに、ヘルプを差し上げたいと努力している。
 I thank you for enlightening me in the first place. Good Night. まず、一番に、私を啓蒙してくれたあなたに(ドクターに)、サンキューをいいます。お休みなさい。
 
 Patrick SwayzeDemi MooreWhoopi Goldbergの映画“Ghost” に、殺されたPatrickSpiritが苦労する場面がいくつかでてくる。最終的にMediumを演じていたWhoopiの助けで、そして自分でもそれなりに能力を身につけて、愛人を危機から救い、無事、光を目指して昇天するという話で、かなりMedium体験から学んだ、信憑性のあるストーリの展開となっていた。
 
 
 
 
 ともかく、この本は面白く、ためになる。いっぱい紹介したいところがあるが、ほかの本も紹介の必要があるので、次回、その5 で、このすばらしく、面白い本の紹介を終わることにする。
村田茂太郎 2015年12月4日

No comments:

Post a Comment